作品タイトル不明
あけない空
「やっぱり、空白だと思っていたこの場所は軍事施設で正解でしたか・・・どうします? このまま教会へ向かっても、教会と施設が近いので兵の介入は避けられないでしょうが――」
リミアは自分では描けなかった部分、空白ではなくなった実際の地図を指でなぞりながら言葉にする。
「一旦、都を脱出する。ジェイドやケイ達と合流を優先だ。いくら集まったところで多勢に無勢とはいえ、今よりはマシになるからな」
「であれば来た道を戻ることになりますが・・・その場合も。両施設の近くを通るので、一筋縄ではいかないかと」
「緊急時の抜け道も使えそうにないか?」
「外壁内部へ通じる抜け道こそ知ってはいますが、当然ですが待ち伏せされているでしょう。通路は狭く1人通るのがやっと、出口で待たれては為す術もないと思います」
「相手が通路の存在を知らねぇ可能性は?」
「通路の存在を知らなくとも、出口が門番の待機所に繋がっているので鉢合わせになるでしょうね」
「待機所を空けさせるような騒ぎを起こそうにも手が足りねぇな。力技で通っても、門番と近くの住民が押し寄せて来るとなるとジリ貧か。外壁に穴をあけるってのは?」
「敵の攻撃で外壁に穴をあけられ、通路がバレてしまえば本末転倒ですから、無理に穴をあけた時点で瓦解する仕組みになっています」
「ま、そうだよな」
良くて生き埋め、悪けりゃ圧死ともなれば、通路を使う意味はねぇな。
「北門を目指すのと、どっちがマシだろうな?」
「突破の容易さで言うならば断然、北門でしょう。ですが、その後の合流を考えるなら、西門を選ぶほかにないのでは?」
「・・・元がそういう作戦だったしな」
ジェイドやケイと事前に決めた作戦では、門の制圧に成功しても、失敗しても、合図で離脱。その後に合流する予定だった。
だからこそ、都を覆うほどの雲を事前に風上で作っておいた。
襲撃は全体を雲が覆ってから、撤退は頭上の雲が晴れたら、だ。
都全体を覆うのはジェイドの側からでも確認でき、且つ中央まで攻め込むジェイド達が先に撤退出来る合図として思いついたのがこれだった。
今はまだ雲が晴れるには速すぎるが・・・・・・待ってさえいれば、合流はかなうはず。
逃げ遅れでもしなければ、だが―――。
それは俺達も同様か。
まずは眼前の課題をどうにかするべきだろう。
「道は封鎖されてると思うか?」
「わかりませんが、少なくとも馬車を使うことは出来ないかと。道に馬車を置かれているだけで通れませんし、人だかりがあった場合に突破できる保証がないですから」
「住民全員が操られてる想定だと、道に通れる隙間はあるか?」
「袋の中に砂を詰めるようなものです」
「無いってことだな・・・」
道を使わずに門までたどり着く方法・・・。
隠し通路が使えないなら、似たような地下移動も不可能だろう。
そうなると必然。
「・・・飛ぶか」
「魔法で空が飛べるんですか?」
「いつかはな。今は落下の勢いを殺すのが精一杯だ」
「それを利用する。ということで間違いないでしょうか?」
「ああ、外壁上部から外へ飛び降りる」
「外壁の外側には堀がありますし水も張ってありますが、底は浅いですよ? 最悪。失敗しても大丈夫・・・なんて、考えてませんよね?」
「堀に飛び込むつもりはねぇよ。あんま綺麗な水でもねぇだろうしな」
「畑にも使われている水なので、どうしようもないほどに汚れているということは無いと思いますが、それなら安心です」