軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

あけられた扉と穴と窓

扉に張り付き、外の気配をより正確に読み取る。

25人ってところか・・・4人を待ち伏せるにしては多いが、屋敷全体の気配からすれば思った程じゃねぇ。

手を開いて見せ、指折って頃合いを示す。

「行くぞっ‼」

声と同時に部屋から飛び出す。

両開きの扉を前に立っていたであろう使用人を吹っ飛ばしながら、勢いよく転がり出る。

「突き当りまで行き、左へ。その後すぐ右の階段を登りましょう! 最上階へ着いたら右へ、一番奥の部屋まで走ります!」

廊下を塞ぐ使用人共を蹴飛ばしながら走る俺の後ろでリミアが指示する。

「了解っ!」

「わかりました!」

続く2人。ヨハンとユノが声に出して承知する。

普通に考えて、そんな打ち合わせは部屋でやっておくべきだろうと・・・そう思うかもしれねぇが、やった上での決定だ。

突き当りを曲がり、階段へ。

階段では、下の階から使用人共が。

俺が登り口を押さえている間に、リミア達3人は上へ。

適当なところで近くの奴を蹴落とし、隙をついて俺も上階へ続く。

気配を探ったからわかってたことだが、上階は手薄だ。

人が空を飛ぶなんて発想が無いんだ。当然、余程特殊な想定でもしてなけりゃ下を固めるのが定石。

蹴落とした使用人の反応を確認しながら、どんどん上へ。

落ちた使用人も、下敷きになった使用人も、痛がるような素振りは見せず。だが、立ち上がれないままに歩こうとする有様が見えた。

本当の意味で、人形のようだ。

自律するアンデッド系のモンスターよりも無機質で、質が悪い。

それに―――。

階段を上り切った辺りで、ドダダダダッ‼ と、多数の足音が迫ってくる。

別の階段から登って来たんだろう追手が、尋常じゃない速さで近付く。

先に3人が入った部屋へ急ぐと、中に3人は居らず。

代わりに。

天井の一部が開いている。

天井の穴へ続く梯子を退かし、壁を蹴って飛び込む。

腕の力で素早く身体を引き上げると、すかさず穴を塞ぐことで傍目からは消えたように見せる。

その直後、ガンッ! という音が響いた。

扉の取っ手と壁がぶつかった音だ。押し寄せる足音が辿り着いたんだろう。

一瞬で収まった足音はまた、1つ2つと部屋の中を移動する。

しかし、それも束の間に途絶え、情報が途切れる。

それを知っていたかのように、薄暗い光を浴びるリミアが少し離れた位置で指を差す。そこで3人は準備を終え、俺の到着を待っていた。

恐らくは窓だろう。そこから屋根に出る手はずだ。

足音を鳴らさないよう、細心の注意を払いながら窓の前まで。

窓は既に開け放たれ、リミアに影が掛かっていなかったわけを知った。

まず俺が。次にリミアを引き上げ、ヨハンが飛び出し、ユノを抱え上げる。

「ゼネス様のおっしゃられた通りに追いかけて来られましたね」

「出来れば違った方が楽だったんだがな」

「まさかホントにそうなるとはって感じでしたけど・・・でも、だとしたら指示を出してるのって――」

「あの男と同等の立場か、あるいはそれ以上の存在ということになります」

「そんなことが出来そうな奴は1人しか思い浮かばねぇが・・・さっきの男って例もある。利用する方法については考えるが、使えるかは微妙だな」

そう。指示役は死んだはずなんだ。

まさか身体を撃ち抜かれ高所から叩き落されて、それでもまだ生きて意識があるなんてことはねぇだろうから、今も動く操られている人間は、事前の指示か、もしくは引き継いだ誰かの指示で動いてるってことになる。

事前の指示なら階段を上った時点で、この策を予見していたことになるが、流石に不可能だろう。

俺達を絶対に逃がすなっつー指示だったなら、部屋の前の人数が少ねぇし、少数隊に分けて指示を出して居たんだとしても、きっかけも無しに動き出したりはしねぇ。

扉の前を抜けられたからってんなら、隊を分けた意味がねぇ。要所を守る、敵を囲む、時間を使わせるための手段だ。一直線の追走なんざやらせるなら、最初っから扉の前に全員配置してりゃいいだけだろう。

っつーことは・・・だ。

さっきの追走は誰の意思か?

柔軟な対応は現場を見ている奴にしか出来やしねぇ。

あれが柔軟か? それとも。

現場に居ない誰かが動かしたんだとしたら、それは――よっぽど精神魔法に長けた奴の仕業なんだろうな。