軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

side――ケイト

「おかしい・・・」

ルーフロンス領、南側の門を前にして。

なにも起きない。

「どうなってんだ?」

「東側が上手くいってないのかしら?」

「不気味なほどに静かですわね・・・どう致しますの?」

キューティーに聞かれても、すぐには答えられなかった。

今回は私が指揮権を持ってる。

ジェイドもエイラもそれを了承してくれた。

20人いる兵士の皆さんも。

だから、失敗はできない。

「なにが・・・起こってると思う?」

「東側でってことだよな?」

「そう」

「そうね・・・合図は向こうも気付いているはずだし、動いてないってことはないでしょ? だとすると―――」

「単純に押し込めなかったってだけだろ。アイツも言ってたが、橋と外堀のせいで人数が掛け辛い。初動で押し込めなかったせいで、門の制圧に失敗したんだ。その可能性については聞いてただろ?」

「それは、そうなんだけど・・・」

2人が言ってるのは前提からの予想通りの話。

そうなってもいいように作戦は立てられているから問題はない・・・そう思うのも仕方がないけど。本当に予定通りなら、もっと動きがあるはず。

「ケイト? 貴方は目の前の門が静かすぎて気になっているんでしょう?」

「うん。聞いてた話通りなら、連絡が来るはずだけど・・・」

「見張りが微動だにもしない。確かに気になりますわね?」

「合図は見えてる。事前に作った雲が都を覆ったら決行。今がその時のはずなのに緊張感がない」

「・・・というか、微動だにしないにも程がありませんの? あの見張り、ずーーっと一点を見つめてますわよ? しかも、空中を」

「言われてみれば・・・――もしかしてッ!」

「嫌な予感の方が辺りやがったか?」

「そうかもしれないわね」

キューティーの指摘で注視すれば、見張りは本当に動かない。

まるで人形みたいだ。

それを確信したところで、2人も思い出す。

ゼネスさんの言っていたこと。

『領地の住民全員が敵かもしれねぇ』

精神操作にはそれだけの力があると、聞かされた吐いたけれど。

その片鱗を感じただけで、胆の冷える感覚が身体の内側に広がる。

失敗すれば、ああなるかもしれない。

自分が、だけじゃない。仲間も・・・。

それが身を震わせる。

「で? どうすんだよ? 仕掛けてみりゃ実態もわかるが・・・見てるだけかよ?」

「そんな簡単に・・・」

「簡単だろ? 駄目なら逃げればいい」

「それじゃ作戦がッ⁉」

「アイツも言ってただろ? 作戦が予定通りにいくなんて考えてねぇって。まあ、上手くいくに越したことはねぇけどよ」

「でも・・・いいの?」

「俺様はこんなこと程度でアイツに認めさせられるとは思ってないからな。むしろ、無理に作戦を優先したらそれこそあの時の――」

「あの時?」

「――ッ‼ 気にすんな‼ なんでもねぇっ‼‼」

少し変だけど意外なくらいに、ジェイドは冷めた意見を言う。

ゼネスさんと絡むともっと熱くなるかと思ってたけど・・・。

「いいんじゃない? ジェイドもこういってるんだし、様子見してみても。無理そうなら逃げればいいって、一番危ういのが言ってるんだから」

後押しするみたいにエイラが続けた。

それに対して『誰が一番危ういのだ‼‼』『あら? 他に候補がいたかしら?』なんて、減らず口ばかり。

「様子見といえど、中まで見てしまってもよろしいのでしょう?」

「そういう台詞は失敗の元だと思う」

「いいのですわ‼ その方が燃えますもの‼‼」

きっと、皆が覚悟してる。

なにかあっても、全部自分のせいだって。

でも、そうはさせない。

それが私に出来ること。

そのはずだから。