作品タイトル不明
悪夢を冷ます方法を7
「やっと終わったのか?」
朝。町はずれまで移動した先で、待機していたジェイドがぶっきらぼうに訊いてくる。
「あ、はい! お待たせしました。ジェイドさん」
それに一早く答えたのはヨハン。
「・・・どうなった?」
「ケイさんと一緒だった兵の皆さんの内から半分もの人を出してもらって、父を南の領都まで送ってもらう形になりました」
「半分って・・・100人もか? そんなに必要なのか?」
「先生は信用の問題だって」
「ああ、逃がしたりもあるかもしれねぇからか・・・」
「はい。兵の皆さんには襲撃を考慮してって説明してましたけどね」
「そりゃ本当のことは言わないだろ。けど、逮捕か・・・良かったのか?」
「どうでしょう? ジェイドさん達は直接内部を見てないので、口頭で伝わるかわかりませんけど、父に――いえ、この領地に利用されていた子供達が居て。でもその子達は命令されてしか生きて来れなかったので、代官の人が皇都から来るまでの間。無法地帯になるかも知れないこの都で、無事に過ごせるか・・・」
どうにも要領を得ないヨハンの言葉にジェイドは疑問符を浮かべるが、
「そうじゃねぇって! その、お前が! つまり――・・・、そう! 満足できたか? ってことだよ‼」
そういうことを訊いたんじゃないと、ヨハンの心に訴える。
「満足・・・ですか。正直に言うならわかりません。父への請求は皇都で行われるでしょうし、それに伴って家族のことも決まっていくんでしょうから。そうなって初めて、僕は実感できるのかもしれません。これで、終わったんだって・・・・・・」
今はまだ、道の途中。
ヨハンから見た父の、倫理を欠いた悪行は止める事ができた。
だがそれは、新しい被害者が生まれなくなったというだけで、今までの被害者が助けられ、正しい生活を手に入れられたわけではない。
ただ加害者の一部が、惨めな死を迎えたにすぎず、その頭目も未だ。罪を清算したわけではない。
であれば、終結という実感が湧くこともない。
「・・・・・・・・・」
冒険者としての、明確な終わりがある戦闘と違うという答えに。ジェイドは何も言えないでいた。
その気持ちを少しでも理解しようと、自分に置き換えて想像でもしていたのかもしれない。
「でも、嬉しいことならありましたよ!」
「・・・なにがあったんだよ?」
「先生がですね! 僕のために。本当に色んなことを、隅々まで考えてくれてたんですよ!」
「色んなこと・・・って、例えばどんな?」
「例えばですね―――・・・」
嬉々としてヨハンが語り始めた頃。
「ゼネスさん。言われていた通り、怪しい人を引き留めはしたのだけれど、どういうことなのかしら?」
スッと脇からエイラが現れ、腕を引くように誘導される。
その先に居たのは、
「お待ちしておりました」
外套を被って顔まで隠した怪しい人物。
引き留められるのも当然と言える風貌で、しかも。
「この人。町の中からじゃなくて、外から来たんだけれど・・・?」
怪しい人物から出たさっきの言葉を聞いて、エイラは訝しんでいた。
何か知っているの? と、そう言いたそうな目で。
もちろん。知らないわけがねぇ。
これは最悪の状況を考慮して打っておいた一手。
しかしながら―――、
「状況が変わった。とはいえ、まずは報告から聞かせてくれ。それによっては対処の順番も考えなきゃならねぇからな」
「わかりました。ではまず、危惧していたことから・・・」
どちらを優先するべきか。