軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

上がる狼煙が呼ぶものは8

「・・・本当に迷惑だと思っているのか?」

「思ってたさ。巻き込まれる身にもなれってな」

昔は本当にそう思っていた。

アンナのことも、エリックのことも、フェリシアのことも。

なんでわざわざ面倒を抱え込むような真似をしなきゃならねぇのかってな。

直接クライフにそう言ったことさえあった。

だが、それは決して悪いことなんかじゃなかったし、結果としてそれ以上に大事なことなんざなかった。

一番簡単に繋がりを作る方法は、手を差し伸べること。

有難迷惑だと思われることもあるだろうが、そればっかりなんてことにはならねぇ。

なにより、必ず解決させなきゃならねぇわけでもねぇ。

一緒に悩んで考えるだけでも、何かが変わることもある。

俺はそれを知れたことに感謝している―――・・・・・・。

だからこそ、その繋がりを断ち切るような真似を許そうとは思わねぇ。

「まるで他人事だな」

「他人事だからな。俺の周囲にはそういう人間が多かったってだけで、俺がそうだとは言ってねぇだろ?」

「今、この場にいるのにか? そこの出来損ないに乗せられて、いいように使われていることにも気が付いていないのか?」

「ハッハッハッハ! そう見えてたのか? とんだ節穴だな‼」

「ならばなにゆえ、この地に来たというのだ⁉ 他でもなく、最も幸福たるこの領地にッ⁉」

顔を真っ赤に震えて吠える領主。

「幸福だったらなんだってんだ?」

「なに?」

「幸福であることと、誰かから脅かされないことのどこに関係がある?」

「君は・・・いや、貴公は皇王陛下の使徒なのだろう? であれば、優れた統治を実現している我が領地、あるいは私自身へ提起する問題など在りはしないはずだ‼ 宗教の違いなど些細なこと! 領主に任されるは管理だ! 人と金の管理‼ そこに問題がないのだから、文句など付けらえるはずがないだろう‼」

統制の仕方など、別段お触れが出ているわけでもない。

結果として陛下が求めているものを提供できていれば、それは優れた統治なのだろう。

が・・・、そんなもんは俺にとっちゃどうでもいい。

俺がどこの誰だかは調べたようだが、何のために動いているかは突き止めきれなかったようだ。

まぁそうだ。

私怨なんざ知りようがねぇもんな。

「仮初の幸福がそんなに大事か?」

「なにを言う‼ この地の幸福は誰がどう見ても疑いようがなかろう‼」

「マーモウを使った薬。心水だったか? そいつを作る過程で立ち昇る煙。アレにはマーモウの幻覚作用が含まれてるんだろ? 丘から吹く風に乗せて都を燻すことで、住民を幸福だと錯覚させてるだけ・・・違うか?」

「中を見たのかッ⁉⁉」

「さぁ? どこのことだか知らねぇが、その反応なら間違いはねぇんだろう。押さえた証拠を陛下へ届ければ、それで問題に出来るはずだな?」

「・・・・・・なるほどな。この短時間でそこまで―――そして、私を逃がさぬように、あのような仕掛けまで。よもや、そこまで考えられているとは思ってもみなかった」

予想していなかった反応が返ってくる。

そこまで意気消沈するような場面か?

こっちとしては動揺を誘えるだろう程度の揺さぶりだったんだが・・・、なにがそこまで?

「そうまでして私をここに誘き出したのはなぜだ? 目的もなしにこれほど大きな騒動を起こそうなどとは思わぬはずだ」

表情だけは変えずに考える。俺のあずかり知らぬところで今なにが起こっているのかを。

「・・・・・・・・・」

しばらく沈黙が続くと、

「まさか、そんな出来損ないのためだけにこのようなことを? いいや! それだけは許さぬ‼ 断じて許さぬぞ‼‼ それだけは決して、認められはせんのだ‼‼‼」

勝手に喚き始める。

このまま放っておいても碌なことにはならねぇだろう。

これ以上待つことはできそうにない。

「教祖はどこにいる?」

誤魔化しようもねぇ短い問い。

気取られれば、どうしようもない正面衝突を生むだろう問い。

けれども。

隠し、偽れない問いである。