作品タイトル不明
side――ケイト2
都の出口へ向かって歩いてきたのは2人組の兵士でした。
「ん? おい、あれって・・・」
「なんだよ! 出口じゃねぇか‼ な~にがこっちだ! どこ見てやがったこの節穴‼」
「んだとぉ~⁉」
こちらを・・・というより、出口を認識して喧嘩を始める2人。
「ちょっと⁉ やめなさい‼」
いきなりの展開にも遅れることなく、エイラが止めに入る。
大柄な兵士2人の間に割って入る度胸は私には真似できない。
どうにか落ち着かせて事情を聴くと。
「怪しい奴を追いかけてたんだよ」
「けど途中で見失っちまって―――・・・」
「怪しいって・・・どんなふうに?」
「こう、見るからに怪しい感じだったぜ?」
「顔まで隠してたもんな?」
確かに怪しい人物ではあるみたい。
街中で顔を隠しているのは普通じゃない。
「俺達はそういうのを見つけたら捕まえろって言われてたからよぉ」
「全力で追いかけたら逃げられちまって・・・」
「正面から追いかけたの⁉」
「いや? 追いかけてるんだから後ろから・・・」
「だよなぁ?」
「そうじゃなくて‼」
エイラでさえ力強く否定するぐらいの反応だった。
「静かに近づいて捕まえようとは思わなかったの? って聞いたのよ!」
「そういうふうにやれとは言われなかったからなぁ・・・」
「追いかけて捕まえろって言ってたしな?」
2人の兵士は顔を見合わせて頷き合う。
「それで逃がしてちゃ意味がないじゃない・・・」
「あ! そうだ‼ お前があそこで曲がったとか言うから!」
「それ俺を言うならお前だって―――ッ‼」
呆れるエイラを引き鉄に、また熱くなる2人を、
「もういいって言ってるでしょっ‼」
ピシャリと黙らせるエイラ。
あの謎の貫禄はどこから来るんだろう?
「そういえば、アンタらはなんでこんなとこにいるんだ?」
「俺様達も似たような命令を受けてんだよ。ここで怪しい奴を止めろって」
「そうなのか? じゃあやっぱりこっちには来てねぇんだな?」
「ええ、さっき聞いたような顔を隠した怪しい人物は見ておりませんわ」
「そっか! じゃあ俺達はまら、その辺見て回るか!」
「だな! そんで見つけたら、今度は見失わねぇように追っかけねぇとな」
なんて言って笑い合う。
「ちょ・・・っと、待ってください! なんでまた追いかけるんですか?」
そのことがあまりにも腑に落ちなくて、つい話しかけてしまった。
「なんでって言われてもな?」
「ああ、俺達は言われた通りに動かねぇと怒られるからよぉ」
「えっと、どういう・・・?」
「なんて言っていいか分かんねぇんだけど、取り敢えず言われた通りにやらなきゃいけねぇんだよ。余計なことをするなって、そう言われてるからな」
「じゃないと俺達は生活できねぇんだ。軍に居られなくなるんだと」
「だからってそんな・・・一々、やり方まで?」
「まあそうだな。訓練でも違うやり方をすると勝手な真似をするなって怒られたし」
「提案するだけでも口を挟むなって言われたよな?」
思い出・・・というには無理がある話だ。
過去がそうだったんじゃない、今現在もそうなんだろうと分からせられる口振り。
「だったら報告は―――」
「しねぇよ! しねぇ‼ 報告なんか行ってみろ! なんで捕まえなかったんだって詰められるだけじゃねぇか‼」
「場合によっては吊るし上げられるかもな・・・」
その場面を想像したんだろう。
「じゃあ俺達は行くから!」
「アンタらも頑張れよ‼」
そう言い残して、こうしてはいられないと駆け出して行った。
ほんの数分の出来事だけど・・・・・・。
「どう思う? 私は尋常じゃないと思うのだけれど?」
「終わってるって・・・ああいうのを表現した言葉なんだって感想かな」
エイラの問いに答えた口は閉じられなかった。
新兵だから? それとも他に原因が?
だとしても、あんな人達がどれだけ居ても。
大した役になんか立たないと。
それだけは理解できた。