作品タイトル不明
side――ジェイド
「お前らはどう思う?」
「どう・・・って、なんのことかしら?」
唐突とも言える問いに、あなたねぇ・・・と呆れ気味に返してくるエイラ。
「そりゃもちろんアイツのことだよ」
「ゼネスさん。でしょ? 場合にもよるけど、今後は様付けになるかもしれないのよ? 馴れておきなさい」
「場合って・・・内乱でか?」
「他になにがあるっていうのよ。皇王陛下直々の命令なんでしょ? 結果次第じゃ単独で爵位を賜ることだってあるかもしれないじゃない」
「そんなもんのために戦ってると思うか?」
「なにを思って戦ってるか、じゃなくて。戦った結果どうなるか―――って、話をしてるのよ。私はね。それで? どうって言うのはそういうこと?」
「まぁ・・・そうだよ」
俺様の家へ来た時もそうだったが、なにより。
教会で別れる間際に見たあの横顔―――・・・・・・。
「復讐って・・・どんな気分なんだろうな?」
「そんなの分かるわけないじゃない。だって、そんなことにはならないよう、ゼネスさんが教えてくれたんだもの」
「そんなお人が今、”復讐に駆られている”というのは皮肉なものですわね」
ガチャリと扉を開けて会話にも入ってくるキューティー。
「父上達は?」
「陛下のおっしゃられることなら――と、すぐにご了承いただけましたわ。私達が無理を言って、武功のために内乱へ参加したがっているわけではないことを理解して貰えたので、話は速かったですわね」
「これで本当に戦場へ行くことになるんだな」
「ええ、それも―――通常とはかけ離れているでしょう戦場へ、ですわ」
話を聞く限り、俺達が向かうのはヨハンかリミアの実家がある領地。
そして、そこで戦う相手は一般人らしい。
どういうことだ? と思うかもしれないが、詳しいことは知らねぇ。
ただ留守を襲うようなものなんだと・・・。
そんなことをしていいのか? っていう道理の話はどっか別でやってくれ。
攻め込んでくるのは向こうだからな。
「それにしても大丈夫かしら?」
「あんな顔してても大丈夫だろ。アイツは・・・」
「馬鹿ね。ヨハン達の方よ。ゼネスさんは自分でどうにかするでしょ。大人なんだから」
「その辺りはゼネスさんも気にはしていましたけれど、本人が大丈夫だといっているのですから、心配するのは見下すことと同じになってしまいますわよ?」
「そうかもしれないけど、まだあの子達は子供じゃない。私達と違って成人もしてないのよ? 一時の気の迷いだって事もあるかもしれないでしょ? ゼネスさんからの言葉がその原因になり得るんだし・・・」
「それを見下してるって言うんだろ。あの2人だって、ただ流されてるだけじゃねぇはずだ。自分で選んだんだろ。俺達も―――」
だから戦場へ行くんじゃねぇか。
そんなことはわざわざ言葉にしなくても伝わる。
「2人はまだ・・・?」
「ケイトと一緒に教会で話を聞いているはずですわ。リミアはそこでまた、自分の考えを纏める機会を得るのですから、エイラが心配する必要はありませんわよ」
「そう・・・家族と敵対するなんて、私なら考えたくもないわね。後悔しないといいけれど」
「後悔はもうしたんだろ。そうでもなきゃ冒険者になんてならねぇっての」
「あら? そういうあなたは後悔したのかしら?」
「それは―――まぁ、色々と・・・なくはねぇよ」
兄上達に対抗しようとして、上手くいかなくて。
逃げたわけじゃねぇけど、身体を張るぐらいしか・・・。
そんな先でアイツに出会って。
自分の弱さを知った。
こいつらを巻き込んだ責任や、その先で起こる可能性について目にした。
目の当たりにした。
それらは後悔と呼べると思う。
恥ってのはそういうもんだろう。
でも、だからこそ。
「・・・何があっても、生き残るぞ」
「そうね」
「当然ですわ‼」