軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

止まった時

「・・・どういうことか、もっと詳しく説明してもらってもいいかしら?」

手を挙げてまでそう言ったのはエイラだった。

「詳しくって言われてもな。こっちもわからねぇことだらけなんだ。どこがわからねぇのか、具体的な点を挙げてくれ」

「―――そうね。まずはドラゴンっていうところから・・・かしら。それが本当なら、多少のことは目を瞑れるわ」

「お前らは龍王を名乗った次元龍の話を覚えてるか? 竜族の間で起きた事件と神を自称するようになった竜について」

「復興作業を手伝っていたから全部は覚えてないわね。確か家族を殺された竜が神様に反逆するとか・・・そんな話だったわよね?」

「そうだ。そのための手段の1つが望福教の設立だったってわけだ」

「まさかあの時の話だけで教祖がドラゴンだって言ってるのッ⁉」

「いいや。教祖の特徴を纏めるとどう考えても人外になるんだ。その中で最もあり得るのが、あの話に出てきたドラゴンの存在ってだけだ」

「教祖の特徴・・・?」

「ああ。竜の眼を持ち、精神を乗っ取る。どっちも人らしいとはお世辞にも言えねぇだろ?」

「竜の眼に関しては生まれつき・・・ということはないのかしら? 物語なんかでは稀にあるでしょ?」

「出てくる教祖が全員、竜の眼を持ってるのにか?」

「そう言われると・・・そうね。自信がなくなるわ」

「精神の乗っ取りについても同じだ。少なくとも、生まれつき竜の眼を持ってなかった奴が竜の眼を持っていた。そして、そいつの様子もおかしくなっていた。それらの事を結びつけて考えるなら、精神を乗っ取られた者は竜の眼になるって考える方が普通だろ」

「そうしたら必然的に、尋常ならざる精神の乗っ取りなんて言う方法を人間が使えるのか? っていう話になって、竜の眼になるんだから竜が犯人ってことになるのね・・・単純すぎる気もするけど、通りはある――のかしら」

「それと一応、俺は教祖らしき奴の意識と会話もしたしな」

「それを先に言って‼‼」

この上なく強く主張するエイラ。俺としては、それこそ嘘かもしれねぇと疑うべきところだと思うが。

「だったら、ドラゴンが犯人だっていうのはまあ信じるんだけど・・・その、身体を乗り換えることで生命活動の維持っていうのは、どういうこと?」

「簡潔に言えば、精神を乗っ取られた人間を殺したところで教祖の精神は死なねぇってことだ」

「幾らでも替えが利く身体があるってこと?」

「それはわからねぇ・・・」

「わからないって・・・」

「精神を乗っ取るために必要な条件がわからねぇんだ。だから、どの程度替えが利くのかっつー予想はできねぇ」

「ああ、そういうことね。でも特別簡単な条件じゃないってことでしょ?」

「さぁな。それほど時間はかからねぇってことぐらいしか・・・」

「時間が・・・掛からない?」

「恐らくな。ただ、そんなことがわかった所で対策なんざ立てられねぇし、どちらにせよ課題になるだろうな」

「ちょっと待って! なんで時間が掛からないなんて言えるのよ?」

「教皇が殺されたからだ」

「教皇様が・・・?」

「グレアムの爺さんが教祖と会っていた時間は長くはなかったはずだ。だが、爺さんは殺された。精神を乗っ取られてな」

「教皇様がその教祖と会っていたのって、皇城の正門前で起こった騒動の間だけ・・・なのよね?」

「そうだ。だから何かしらの条件があるはずなんだ。つっても、それを知る機会は逃しちまったんだがな・・・」

「じゃあゼネスさんはなんで乗っ取られなかったのかしら? 直接会話までしたんでしょ?」

エイラは当たり前のように浮かんだ疑問を口にした。

そういえばそうだ。

擬態していたとはいえ、あの場での会話は正門前での騒動の時と同じか、それ以上には長かったはずだ。

なのに、誰も精神を乗っ取られたりはしなかった。

「いや、精神の乗っ取りは同時に1人にしか仕掛けられない。帝国では擬態してまで身体にこだわる理由があった。だから乗っ取れなかったんだろう」

「でも、その人は―――深くは聞かないけれど、最終的には亡くなったんでしょ? なのに遠慮する必要があるのかしら? それに、そこまで追い詰めてきたゼネスさんを放置しておくのって危険すぎると思うのだけれど?」

「それは―――・・・」

俺だけじゃない。

あの場にはカーナやフリーダムの他にも、ライザードやマルチナまで居た。

カーナが後に繋ぐための保険だとしても、それこそ元教徒であるマルチナであれば、使い捨ててもなんの問題もないはず。

それをしなかったんではなく、出来なかったんだとすれば・・・?

だったら――なんでグレアムの爺さんは殺されたんだ?