作品タイトル不明
止まる時
「・・・・・・・・・・・・」
「「「・・・・・・・・・」」」
全員が集まってしばらく、話をする準備はできた。
ただ、なんて言って切り出すか・・・その迷いが沈黙を生んだ。
これは真剣な話し合いだ。
その前提を共有しているからこそ、沈黙は重い。
そして空気が重くなればなるほど、言葉を発し難くなる悪循環だ。
言葉を待っているのはわかっているが、どんな言葉を待っているのか?
大変だったなと労うべきか、仕方ないことだと励ますべきか、あるいは。決別の時が来たんだと鼓舞するべきなのかもしれない。
けど、本当にそれでいいのか?
慰みや哀れみを向けて、それで2人が折れてしまえば、内戦への参加など――――と、どこまでも自分本位な俺にも気付く。
だからこそ迷った。
ここで俺が発すべき言葉とは何なのか。
上っ面の同情か、復讐心からの扇動か、もしくは。
「・・・俺は望福教を潰す」
「「「「「っ⁉」」」」」
絞り出した先にあったのは、
「理由は単純に復讐だ。望福教を潰したとしても、奪われたものは帰ってこない。そんなことは承知の上で、それでも。奴らを許すつもりはねぇ」
飾らない本心を打ち明けるという、酷く不格好で簡単なこと。
「その途中にどんな障害があろうと、障壁があろうと、止まることはねぇ。どんな犠牲も、誰が相手でも。手加減しねぇ」
こんなことを急に言われても、こいつらが困ることは容易に想像できた。
だがそれでも、伝えるべきだと思ったんだ。
この決意を。この怒りを。この憤りを。
我慢することなどできないと。そんな必要はないのだと。
伝えなければと、思ったんだ。
「そのためにヨハン。リミア。お前達の力を貸して欲しい。そう思ってここへ来た。それがどういうことなのかも理解して・・・な」
「先生は・・・どうしてそこまで怒っているんでしょう?」
当然の疑問をリミアが抱く。
「俺が故郷でどういう扱いを受けたかは覚えてるか?」
「それはもちろん」
「その後、学園を卒業してからすぐに冒険者になったことも・・・」
「はい。覚えています」
「その間――学園に通ってた頃にな。俺は教皇グレアムと出会ってたんだ」
「そういえば教会の話を聞いた時に・・・つまり、復讐というのは――」
「そうだ。敵討ちってことになる」
そうだったな。元は教会のことを知ろうとしていたんだったなリミアは。
親に反対されて冒険者になったんだったか。
「ですが、教皇様は暗殺されたと・・・先生は犯人をご存じなんですか?」
「帝国の方でも色々と似たようなことが起こった。詳細は省くが犯人は望福教の教祖。教皇の死因は暗殺じゃなく自殺だ」
「ッ⁉ 自殺、ですか⁉ なのに犯人が・・・ッ⁉ どういうことです⁉」
「これは機密事項だが、お前らは当事者だから伝えておく。ジェイドお前らはついでだが・・・このことが外部に漏れれば―――」
「そんなに脅されなくてもわかってんだよ‼ さっさと続きを言えよ‼」
一応の念押しのつもりだったが、そこまで馬鹿じゃねぇか。ジェイドが吐き捨てるように返すんで、本筋に戻る。
「望福教の教祖は強力な精神魔法によって人の精神を乗っ取る事ができる」
「「「ハァ⁉⁉」」」
「しかも、身体を乗り換えることで生命活動の維持も出来るらしい」
「「「――――ッ⁉⁉⁉」」」
もはや意味が分からなさすぎるせいか声も出ていないが、話はここで終わりじゃない。
「その正体はドラゴンである可能性が濃厚だ。覚えてるか? 龍王だとか言ってたアイツの話の中に出てきたドラゴンだ」
「「「・・・・・・・・・」」」
開いた口が塞がらないまま、全員が目だけで訴えてくる。
ちょっと待て、と。