軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

陳腐に繋がれた鎖

核心を突く一言に、動きを止めたのはカーナだった。

「・・・どういうことよ?」

「そうね。心外じゃない? こっちは正真正銘のお姫様なのに、ごっこなんて言われちゃったらね~?」

動揺するカーナとは裏腹に、軽い態度を続ける女がもう1人。

「何に気が付いたのか・・・私にも分かるように説明してもらおうか」

「トカゲというのは教祖を示す竜の眼を揶揄しての事ですよね? それなら、この僕にも聞く権利があるはずでしょう?」

「私も、望福教の話ならお聞きしたく思います」

将軍、ライザード、マルチナは続くが・・・取り残されている奴も。

「面白くもねぇ。簡単な話だ」

そう、とても単純で。

だからこそ勝手に、あり得ないと判断して選択肢から消していた。

「望福教は精神魔法を使う。それは信者を増やすためだと思っていた」

「ッ‼ 待て! 違うのか⁉ 精神を操作していたのわけではないと⁉」

「ああ、正確に言えば違うな。精神を操作してたんじゃねぇ。乗っ取ってたんだよ。コイツはな」

「のっとって・・・? 乗っ取るッ⁉⁉ まさか、そんなことッ‼ いや、だが‼ 私はこの目で見てきた! 恩人の虚ろな姿を‼ あれは確かに意識を薄弱させられていた姿のはずだ‼ それほどの芸当ができるなら、そんな姿を晒したりは・・・ッ‼」

あまりのことに将軍が取り乱すが、それもしょうがねぇことだ。

普通ならばあり得ない。

精神の乗っ取り。

それは到底、人には成し得ないような奇跡。

自分の外見を変えるならまだしも、人の中身を書き換えるなんざ・・・。

「それが必要な過程だったのか、あるいはわざとだったのか。俺の知る所じゃぁねぇがな。そうしねぇと、どうしても説明のつかねぇ事がある」

「――なるほど。それが、竜の眼・・・ということですね?」

勘のいいライザードが気付く。

「そうだ。竜の眼をした人間。それが生まれつきなら、もっとどこかで噂なりを聞いたはずだ。人の口に戸はたてられねぇっていうぐらいなんだ。子供が竜の眼をしていたなら、隠し通すのは無理だろう。子供の完全な制御なんてのは聞いたことがねぇ。あるならそっちが有名になるだろうしな」

子供っつーのは好奇心の塊みたいなもんだ。

やるな、言うな、見るな、と教えたところで無理がある。

「本当にそうかしら? そっちの子供は結構いい線行ってるんじゃない? それに、人の口には戸が立てられないっていっても、死人に口なしとも言うでしょ? やり方なんて、幾らでもあると思うけど?」

「ああ、そうだな。全くもってその通りだよ。だがな? 人が死ねばそれも噂になるのさ。迷信っつってもいいな。例えば”あの辺りには人食いが出る。死にたく無ければ近付くな”とか、そういう奴がな。人の心ってのは弱い。どうしたって死を恐れるし、不幸を遠ざけたくなる。そして、それを打ち消せるのは、ただ一つ」

「――信仰、ですね」

一番心当たりがあったんだろうマルチナが答える。

「そう、完全じゃなくとも、弱い人の心を掌握しやすいのが信仰だ。恐怖や損益を信仰心に寄って和らげる。神様が居るから大丈夫だと、自分は守られている、導かれていると勘違いさせることで集団を形成する。その中で順位を付けて事実であるかのように錯覚させる。その全てが悪いわけじゃない。結局は本人次第だ。なにを信じてどう生きるか、それが幸せかどうかは自分で決めりゃぁいい。そこを問うつもりはねぇ」

だが、

「それらを正しく認識して、利用できる人間は少ない。あまつさえ、精神魔法を利用してまで徹底出来るような奴が何人いる? そいつが竜の眼を持って生まれてくる確率は? それらが偶然だったとして、その知識と力はどこで手に入れた?」

「逆なんじゃない? 竜の眼を持って生まれたから、精神魔法の適性を持ってて、その眼が知識と力をくれた。だから、効率よくそれを利用出来るように勉強をした。その方が理屈が通るでしょ?」

ニンマリと笑って返すそれは、事前に用意してあった台詞かのようだ。

「そうだったとして・・・なんでそんな奴が。同じ時代に、何人も、居るんだろうな?」