軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

深く刺さり突き動かす

階段直ぐにある扉を叩く。

特別な合図など決めちゃいねぇが、こんな状況で悠長にノックしてくる奴は他に居やしねぇと、流石に意図は伝わったようで。

「早いな? もう大丈夫なのか?」

「しばらくは・・・だがな」

サンが待たせることもなく扉を開いた。

「まだ地図を広げたばかりですが、どうするんです?」

中へ入るとライザードが地図を広げていて、マルチナやヤーレンもそこに描かれた図面と睨めっこしていた。

「出来るなら急ぎたいところだが、問題でもあったか?」

「忘れたんですか? 3階部分のことですよ」

3階部分・・・俺達が侵入した側とは反対の3階部分がどうなっていたか。

そう舞踏会用の広間がある。

ここの階段は3階までは続いているが、3階では廊下を進んで広間の前を横切って奥まで進まなければ、次の4階への階段に辿り着けない。

広間の前を横切るとなれば発覚は確実。

しかしながら、広間はその名の通り広く、出入口も多数ある。

隠れてどうこうといった今回のような手段は使えない。

なら、―――。

「押し通るしかねぇだろ? 最悪の場合は兵士を殲滅して進む」

「・・・どうかしたんですか? あまりにも雑というか、貴方らしくないのでは?」

「詳細は省くが皇国の方でも動きがあった。時間をかけてらんねぇんだよ。4階に部族の仲間が全員いた場合、俺達はその時点でここから離脱する」

「ちょ、ちょっと待ってください‼ 皇国でなにがあったと言うんです⁉ この僕は未来の皇王ですよ⁉ 説明の義務があると、そう思うはずでは⁉」

「手短に言えば前回の反逆の続きだ。望福教が旗揚げをしやがった」

「そんなまさかっ⁉」

俺の言葉に反応したのはマルチナだ。

そういえばコイツの親は今も東の領地に居るんだったか。

「一応、信用できる筋からの連絡だ。嘘はねぇだろう。俺は、一刻も早くそっちに行かなきゃならねぇ。だからさっさと引き上げたい。例え、不義理だと言われようともな」

「この帝国での出来事は囮だったと言うことでしょうか? それとも、同時に動かなければならない理由でもあったんでしょうか? ですがいずれにせよ、貴方が急いで皇国へ戻る必要性が理解できませんね。この僕が、というなら分かりますが・・・」

事情を知らねぇライザードが疑問を呈す。

「こういってはなんですが、貴方は貴族であるというだけの部外者のはず。 国にとっては一大事でも。貴方は皇族ではありませんし、派遣される軍人やその関係者でもありません。ましてや、北の領地で旗揚げがあったわけでもないのでしょう? なぜ急ぐ必要が? 宗教問題ならば教会も黙ってはいないでしょうし、時間はあるのでは?」

それは至極全うな疑問だと言える。

だが、

「それじゃぁ俺の気が済まねぇからだよ―――」

自然と出たその言葉と同時に、ライザードの方がびくりと跳ねた。

ライザードだけじゃねぇ。マルチナやヤーレン、蒸気の騎乗者の全員さえもが警戒しながら様子を窺っているように見える。

「・・・・・・なにか、あったのか?」

恐る恐るといった感じでサンが聞くが、

「色々とな」

ここで一から十まで説明する時間はねぇ。

教皇グレアムが死んだことぐらいは伝えるべきかと思ったが、そこから発生するなぜ? や、暗殺といった符合に気を取られると時間がかかる。

そう思い、これ以上の情報は伏せる。

「この上に、本当に部族の仲間が居るかはわからねぇが、予想通りに見つかったなら、ヤーレンには悪いが、至急人数とそれで全員かの確認を頼む」

「かしこまりましたヨ。お任せいただきましょうトモ」

「蒸気の騎乗者には、部族の仲間が見つかった時点でそっちの護衛に回ってもらう。もちろんヤーレンのことも引き続き任せる。この国から皇国へ戻るまでの護衛をな」

「元からそう言う依頼。異論はない」

「スイにお任せです‼」

「正体を隠しても旅は慣れたもんですからね。ま、大丈夫でしょうよ」

「大所帯になるから、安請け合いはしたくないんだけどね。仕方ないか」

「不満がなくて助かるけど、一回ぐらい俺に確認してくれないか?」

そう言いつつ、サンも了承しているようで、なんだかんだ言いながらも、ここで断ったりしないだろうという仲間同士の信頼を感じる。

「ライザードとマルチナは俺から離れるなよ? なにがあろうとな」

最後に名指しされた2人は、お互いに顔を見合わせてから、いったいなにがあるというのだ? という表情で視線を返してきた。