作品タイトル不明
帝国へ。一問
「そういや、お前らの目的はまだ聞いてなかったな。どうするつもりだ?」
「それは――・・・・・・」
突然の問いだったからか、言葉に詰まるカーナ。
「言わずもがな。姫様には帝王の地位へ就いてもらうつもりだ」
代わりに答えたのはフリードリヒ将軍。
「こんな状況でどうやって王と認めさせるのか、興味がありますね・・・」
それを聞いたライザードが王になるための方法を求める。
「これだけ立て込んだ状況なら、現状を解消するだけで自ずと王として認められる」
「つまり?」
「望福教の排除。そして、それを宣言すること」
「排除というのはどうやって証明するつもりです? ただ宣言すればいいというものでもないでしょう?」
「当然だ。この宣言はどの陣営においても必須の条件になる。それは姫様の姉、ミレ様にしても同様。そうなれば、おのずと・・・」
「衝突することになるわけですね・・・ということは、やはり。この僕らが目指すことになるのは――」
「帝都。さらに言えば王城を抑えねばならん。どうしたってそこが国の中心なのだからな」
それはそうだろうさ。
国の政はすべてそこで決まる。
ここを押さえない限り、なんの決定権も得られねぇんじゃ、なにを宣言しようが実際の力にはならねぇ。
「ですが・・・気になるのは、今の城の状況ですね」
「前帝バーリ様の忠臣達が残ったまま、どの陣営も手を出せずにいる」
「なぜでしょう? そんな状況なら早い者勝ちになりそうなものですが」
「言ったろう。暗殺があったからだ。暗殺されたのは王城に近付いた王子達。継承順位が高かったんだから、城に行くのは当たり前なんだが、結果がな。王城には刺客が居る。そういう認識になった」
「だったら望福教も――」
手を出せないんじゃないか? ライザードはそう言おうとしたんだろうが、その前に気付いた。
それこそが、望福教の策だと。
「そうだ。暗殺が奴らの手によるものなら、その旗頭であるミレ様が暗殺されるはずがない。つまり、敵は王城に辿り着いた時点で勝ちってわけだな。今の布教はそのための下地作り。賛同者が居なければ、王位を宣言した所で意味がないからな」
本来であればカーナと同じく、姫である人間に王位の継承は不可能だった。
しかし、それを可能にする程の混乱が起きた。
内容は暗殺。
手引きしたのが望福教だろうことは、こっちからすりゃぁ透けて見えるが、国民からすればそうじゃねぇ。
だから、早く平和に収まって欲しいという国民の心につけ込んで、望福教を浸透させようとしてるってことだ。
これに成功すれば、望福教の旗頭たるミレだか言う姫様は、晴れて国民の支持を得て、帝王になる権利を手に入れる。
ここにいるカーナ達は、それを阻止することで支持を得て、暗殺という凶事を跳ね除け、強さを証明する。それにより、これまでの強い帝王の印象を使って、王位に就くのが目論見というわけだ。
理解はできる。
勝算もあるだろう。
だが、
「お前はそれで納得してるのか?」
俺の質問に言い淀んだカーナに、王位という席に就くだけの気概があるのだろうか?