軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

帝国の噂

ゴウガ帝国。

この東大陸の覇者と呼ばれる大国。

その国の来歴を詳細には知らねぇが、わかる限りで列挙していくと――。

建国は東大陸北の果て。今から約180年ほど前にできた国らしい。

建国理由は謎。建国当初の名はゴウガ国で、帝国を名乗ってなかったとか。

ガルバリオ皇国が建国された200年前の頃は、今ほど大陸の内情は安定しておらず、村同士、町同士での諍いも多く記録されており、国という存在の定義が大きく揺れていた頃でもあった。

だからこそ、多くの国が建ち上がっては崩れ去っていった激動の時代だと残されている。

そんな折の建国。その理由が目白でなくともおかしくはない。

ただの自衛だった可能性もある。

このガルバリオ皇国がそうであったように。

ゴウガ国が侵略を仕掛けるようになったのは、建国してしばらくが経った10年後。その間は力を蓄えていたんだろう。

初めはすぐ南にあった同程度の国。国土、国力共に互角程度だったと予測されているが、結果はゴウガ国の圧勝だったようだ。

そんなことをなんで知ってるかって言うと、ゴウガ国の歴史的大勝として細かく記録が付けられていた資料が発見されていて、それが公表されているからだ。

ゴウガ国はこれを皮切りに、侵略戦争を繰り返していくことになる。

北は頭打ちであるから、南に。南が取れれば西、東。両方取れればまた南。

そうして、100年もしない内に”帝国”との戦争になった。

これに打ち勝ち、吸収することで。以後、ゴウガ国はゴウガ帝国と名乗るように。

吸収される前の帝国は、ガルバリオ皇国より長く君臨していた国であり、皇国発足の理由にもなった存在らしいのだが、ガルバリオの建国記は英雄伝的な扱いをされ、脚色され過ぎたせいでどうにも曖昧すぎるため、この以前の帝国について、よくはわからない。なので、ここでは割愛する。

その後、帝国を名乗るようになったゴウガは、侵略先として皇国を狙った。これが先の、そして今に至るまで続いている戦争の正体だ。

その中でゴウガ帝国はガルバリオ皇国北部を奪い取り、数年間の支配を行い、それを押し返したのが御父上率いる部隊だった。その時の恨みは今も尚残っており、敵対意識だけが誇りとなり果てている・・・と。

――これが現在の俺達と帝国との関係。あるいは認識だが・・・問題は、

「帝国に浸透してる宗教なんざあるのか?」

ということだ。

ガルバリオ皇国に浸透しているのは加護信仰。これは建国の英雄譚で初代皇王を支えた仲間の1人が神官であり、その神官が加護信仰を崇めていたからだと言われている。

実際に、初代ガルバリオ皇王は建国後。真っ先に教会を建てたと言うし、それを大事にしていただとか、よく教会に赴いていただとかの記録もある。

だが、帝国はどうだ?

侵略を繰り返すってことは、次々に国を飲み込んでいくってことだ。

それぞれの文化や宗教なんかもその中に含まれているはず。だってのに、なにを信じれば――なんぞと言ったところで、受け取り方に差異が出るだろ。

「帝国にも宗教はありますヨー? 元は精霊信仰の強い国でしたが、今では加護信仰の人の方が多いかもですネー。マー問題はそこではありませんガ」

「そこじゃない?」

「ハイ。帝国は侵略国家。神より王族の方が強いと言えばいいでしょうカー。帝王サマが神などいないと言えば、神は居なくなりますカラ」

「なるほどな。力で奪い取ってきたが故、力を強く信奉してるってことか」

「その象徴が帝王サマなわけですネー」

「ん? だったら―――」

「そう、本来ならこんな混乱起きるはずがないんですヨー」

そうだろうな。この場合、帝王ってのは1人を指してるわけじゃぁねぇ。その役職に就く人間、もしくはその帝王の強さや権力のことを指す。

だから、帝王とさえ認められてりゃ誰でもいいんだ。

「ってことは・・・――」

「エエ。現在、帝王サマは不在。空位ということになりますネー」

「「「ッ⁉⁉」」」

あんまりにもあっさり言いやがるもんで、その場に居合わせた全員が自分を疑った。

そんな話は皇王陛下からも聞かされちゃいねぇぞ。

もしかしなくとも、まだ誰も知らねぇんじゃねぇのか⁉

そう思った瞬間に、嫌な予感が脳裏をよぎる。

「いやッ⁉ 待て‼ なんで帝王位が空位になった⁉」

「詳しくはミーにもわかりません。所詮はしがない行商人ですカラ。ですガ、噂ですトー? どうやら暗殺されたようですネー」

暗殺。

実行犯は余程の実力でもなけりゃ身内だ。

そして、つい最近。その身内を操られる事件が発生してたな。

「しかモー、真実かはわかりませんガ、暗殺のあった日の夜。竜の眼を見たという人物までいるようですヨ?」