軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

根源を探る

話が一段落したこともあり、マルチナの鬱陶しい態度に言及してみる。

「なんでそんなに名前で呼んで欲しがったり、褒めて欲しがるんだ? こいつら見たいなガキでもねぇだろ」

「言ってくれますね。この僕こそは未来の皇王だというのに・・・」

「なってから言えよ。なってからな」

「僕はその・・・・・・やっぱり褒めて欲しいかな・・・?」

素直にそう言えるバロンが眩しく見えるぐらいにライザードは不遜だった。

「おかしいですか?」

「異常だとは言わねぇが、異様ではあるかもな。誰だって歳を食えば自分を持つようになる。そうなりゃ人からの評価なんざ、良くも悪くも信用を得るための積み立てぐらいにしか思わなくなる。自己を肯定するだけの理由は自分で見つけられるからな。そういう欲求は薄れるもんだと思うが・・・っつーか、以前はそんなこと言ってこなかっただろ?」

「以前というのは、学園でのことですね。その節は失礼を――どうか、お許しください‼」

「そうじゃねぇだろ。俺が聞いてるのは名前で呼ばれたがる理由と、褒めて欲しがる理由だ」

「そんな・・・敬愛するお方に名前で呼んでいただきたい、褒めて欲しいと思うことがおかしいだなんて⁉」

「なにも、おかしいとまでは言ってねぇだろ? ただ、過ぎるっつーかな」

「態度がですか⁉」

態度が過ぎるって言うとまた違うだろ。調子に乗ってるみたいになるじゃねぇか。肯定したらそれはそれで変な感じに・・・いや? 合ってるのか? わかんねぇな、これ。

「直せとは言わねぇから、原因に心当たりはねぇのか? もしくは、望福教ではそれが普通だったのか?」

直さなくていいのかと、俺の言葉にホッと胸を撫でしてマルチナは続けた。

「どうでしょうね? 私の育った地域ではそうだった・・・としか。望福教がどれほど大きいかまでは判断しかねます」

「育った地域ってのはどこのことだ? 確か東の領地だとか・・・・・・」

「私に興味を持ってくださるのですか⁉」

「面倒くせぇからそれでいいけどな。で? どこで生まれ育った?」

「ルーヴェント領です! あそこは素晴らしい土地ですよ‼ 皇都からは少し遠いですが、天候も安定していますし、水も豊富で‼ 内陸国としては珍しいですよね‼ その分、春の雪解けには気を付けなければなりませんが、それを差し引いても! 畑は丹精を込めれば答えてくれると両親が力説するくらいには豊潤な大地があって、多くの人が幸せに暮らしているんです‼」

「ルーヴェント領・・・・・・」

「あの・・・、どうかしましたか? ルーヴェント領はなにかまずかったでしょうか?」

「大したことじゃねぇよ。そこが故郷の奴がいたなと思ってな」

「それは――! きっと素晴らしい人ですね‼」

「未来が気になる冒険者に育ったよ」

そうだ。

ルーヴェントはヨハンの家名。

アイツが冒険者になるしかなかった原因は間違いなく望福教。

親の望んだギフトを授からなかったせいで、ヨハンは最低限の教育だけで捨てられた。それほどまでに望福教が浸透している領地。

コイツと一緒なら見に行けるか?

もしかすりゃぁ身を隠したはずの教祖達と鉢合わせる可能性も・・・。

つっても、皇都軍の司令部以上の巣窟だろうからな。

あそこでさえジーナが居なけりゃどうなってたか―――・・・・・・。

そういえばアイツには、まだちゃんと礼を言ってなかったな。

皇都では見かけねぇから研究所にでも籠ってるのか・・・? 礼ついでに、あの時に教わった魔法を使った感想と、気付いたことなんかも伝えようと思ってたんだが周りがうるさくて忘れてたな。

皇王陛下からのご命令はコイツの真偽を確かめることだが、それについはもう決着がついた。これで偽りは熟練の詐欺師でも無理だ。

期間が短すぎて俺の方が疑われそうではあるが、これをお伝えすれば取り敢えずの仕事は終わり。

だが、そうなればコイツを手元に置いておく必要はなくなる。

ルーヴェント領に赴いて望福教の内情を探るのも1人で行くことになる。

かといって、皇王陛下をお待たせしていいものか。

1人で行くのが不安だなんぞと言うつもりはねぇが、精神操作を喰らいそうになったのは事実。

魔法道具の補充も兼ねてジーナに礼を言ってそこで人手を借りるか?

そうするとジーナの奴が張り切ってついてきそうなんだよな。

アイツには別にやって貰わなきゃならねぇこともあるし・・・と、悩み始めた頃。

俺が黙ったことで不安を感じたのか、おろおろとし始めたマルチナと、そんな俺達の態度を見ながらひそひそ話すバロンとライザードを差し置いて、またしても俺を呼ぶ声が聞こえてきた。