軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

北の動揺

「やあやあ! 元気そうじゃないか! 神様になった気分はどうかな?」

「・・・なにしに来たんだ?」

噂をすれば、というやつか。

ジーナが向こうから姿を現した。

「随分なものいいじゃないか。目立ってはいないが先の事柄の立役者だよ? 私は。それに向かって、君という奴は・・・」

「その節はどうも」

「うむ。許そう。して、そちらの彼女はどうしたんだい? 慌てふためいている様子だけれど」

「気にするな。家の鍵を締め忘れたことでも思い出したんだろ」

「ここ最近の皇都は物騒だからね。確認のために戻ることをお勧めするよ」

「そういうわけじゃありませんので、お構いなく‼」

「そうかい? だったら、なにをそんなに――・・・」

「用件はなんだ? 遊びに来たわけじゃねぇんだろ?」

マルチナの返答に興味を示したのか、ジーナがさらに深堀しようとするより先に主導権を握る。

「私が遊びに来たらダメなのかい?」

「そんなに暇じゃねぇはずだがな?」

「時間とは作るものだよ」

「それで俺の手間を増やすな」

「まったく。わがままだね」

「どっちがだよ! で? なんの用だ?」

「ふむ。緊張も解れたようだし、まあいいだろう」

ジーナはそんなことを言いながら腕を組み、短く息を吐いてから言う。

「君は私が公爵であることは知っているね?」

「不本意ながらな」

「そこに本意があるのかどうかはおいておくとして、私は公爵として君を呼びたてに来た」

「どういう――」

ことだ? とつなげたかったんだがな。

「皇王陛下が君達をお呼びだ」

意味が分からなさ過ぎて声が出なかった。

「そなたを帰してすぐだというのに、またも呼び出して苦労を掛ける」

「いえ、そのようなことは」

「ライザードとバロンもいるな」

「「はい。陛下」」

皇王陛下の呼びかけに、子供達2人も身を屈めて答える。

ジーナは言った”君達をお呼びだ”と。

だから今は、あの場にいた全員で謁見の間へ来ている。

もちろんジーナとマルチナもいる。

「先の件で、なにか伝え忘れでもありましたか?」

違うだろうとは思いつつも、一応陛下にお尋ねする。

「そういうわけではない。結論を求めているわけでもないぞ。むしろその件は反故にしても良い」

「どういうことでしょう?」

「ダンデ。説明を」

言われた御父上がハッ! と言いながらスッと前に出て話始める。

「ゴウガ帝国から使者が送られてきた」

「「「―――ッ⁉⁉⁉」」」

マルチナとバロンを除いて一様に険しい表情を見せる。

「確かな情報なんだろうね?」

「我が息子。現北側辺境伯のグランからの情報です。間違いや虚偽と言ったことはないかと」

「知らせが届いたのは?」

「つい先ほどだ。内容については陛下と共に確認した」

「使者はなんと言った来たのですか⁉」

「血に塗れた歴史を繰り返さぬため協力を要請すると。断れば、戦端が開かれることになるかもしれないとも」

ジーナと俺、そしてライザードの質問に次々と答える御父上。

俺以外には丁寧な口調で話しているが、公爵と皇太子嫡子ならまぁ当然か。

「協力要請・・・ということは帝国側でなにかあったということだね? そのあたりは詳しく書かれていなかったのかい?」

「帝国側でなにがあったのか、まではまだ・・・続報があれば分かるかもしれませんが、それを待つべきかは陛下とご相談させていただいた上で、迅速に動くべきだという結論に至りましたので、公爵閣下とゼネスを。そして、ライザード殿下とバロンもお呼びしました」

「では、私に帝国へ協力しろということですね」

「そういうことだ。やはり話が早いな。そなたを呼んだ甲斐があるというものだ。すまぬとは思うが、どうか力を貸して欲しい」

「陛下。私は国民であり貴族です。謝罪のお言葉など勿体なくございます。是非なんなりとお申し付けください」

すんなりと頭を下げる俺の姿を見て、

「どういうことですか? なぜ、ゼネス様がご協力を?」

マルチナだけが状況を理解できずにいた。