軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

side――ダンデ・L・グラーニン

意識が朦朧としている。

そう感じることが多くなった。

私ももう歳だなどと、言いたくはないが・・・現実としてそうなのだろう。

―――それでも。

軍人として、貴族として、そして友人として。

私は民を守らねばならん。

より多くの者達をだ。

それはとてもではないが、叶いもしないであろう理想を語り合った仲であれば、当然の選択だった。

故に、希う声に従ってきた。

なのに、だ。

「将軍、貴方はいいんですか⁉ アイツはあのまま・・・神になりますよ⁉ くだらない理想論のために! より多くの幸せの犠牲になります‼ なのに貴方は‼ 守るべきものを見誤ったまま、なにも出来ずに! 責任まで息子に押し付けることになる‼」

それを否定するものが居る。

くだらない理想論。より多くの幸せのための犠牲。

それのなにが悪い?

あの時代。あの戦場を知らぬから、それが尊いことだとわからぬのだ。

故郷を焼かれ、友を殺され、尊厳を踏みにじられる、戦争という地獄を知らぬから・・・・・・!

しかし、おかしなことを言う。

軍人が身を粉にするなど当然のことのはず。

守るべきものは民。それも間違ってはいまい。

「あの手紙はなんだったんですか⁉ 側近の自覚を持って、躍進の旗となり、貴方の意図を理解しろって⁉ どうやって⁉⁉ 立場は奪われ、進むべき道は途切れ、その真意はわからないまま‼‼ どこへ行こうって言うんです‼ アレは反攻の手紙でしょう⁉ その合図はいつです⁉ いつまで!! 指をくわえてみているつもりなんですか‼」

そう捲し立てるな。

なにより、話が前後しているではないか。

手紙を出したのはもっと前の話だ。

そう、ノクアッド侯爵の小倅に―――・・・こうならぬよう手紙を出した。

その意図も取り違えていないのだろう? であれば―――・・・なぜここにいる? まだ合図はしていない。動くべき時ではないはずだ。

いつまで見ているのか? なにを? 指をくわえるような真似はしていない―――・・・では、息子に押し付ける責任とはなんだ?

神になるとは、どういうことだ―――・・・?

その瞬間だろうか。

急激に肝が冷えるような感覚が押し寄せてくる。

冷や水を浴びせられたような目の覚めた感覚が。

今はいつで、ここはどこで、私はなにをやっていた?

なにか・・・駆り立てられるような思いでここに立っていた気がする。

使命感を持って、理想を体現するために。

しかし、現実はそうではないと私の警鐘に告げている。

周囲をよく見渡してみろと。

なにが起こっているか、思い返してみろと。

私達は大勢に取り囲まれており、そしてその多くの視線に貫かれたまま、あり得ないことが起ころうとしている。

神である証明?

なぜそのようなことに⁉

それと同時に漠然と理解した。

こうなってしまったのは私の至らなさに起因すると。

なぜなら、ノクアッド侯爵の小倅がそう言ったのだから。

だが、もはや止められはせぬ。どんな結末を迎えようともだ。

なれば、私は私のしでかしたことに決着を付けよう。

せめてそれぐらいは、しなければならぬはずだ。

形勢を固めるために状況を掌握しなければ!

そう思い絞り出した言葉が、

「―――それはもう結構だ」

これには我ながら失望ものだ。

それでも、止まってはならぬ。

「神が居らぬなら望みを叶える手段をと思ったが、そうでないならば神へ祈ろう。戦の責任を只人が負うには重過ぎる。一時の気の迷いで世話を掛けたことを謝罪しよう。大儀であった。これ以降、その責は負わなくて結構だ」

引き返す道などないのだから。

その責を我が子に押し付けようともだ。