軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間語の後に

「なるほど。その責任を感じていらっしゃるわけですね・・・」

「うむ。儂がもう少しでも寛容であれば――と、今尚思ってしまう」

しばらくして、一通りの話が終わったようだ。

サンパダは爺さんの話を聞き、しきりに頷き返す。

「くだらねぇ話は終わったか?」

「ゼネスさん! そんな言い方は――・・・」

「いや、良いのだ。ゼネスは事の顛末を知っておる。今更そんな話を聞いても、詰まらんのは仕方のないことだ」

「じゃぁまぁ、さっきの話の続きと行こうぜ? 俺が皇王陛下へ会いに行ったとしたら・・・どうなる?」

「―――ッ⁉ その気になったのか⁉」

「気になる事ができたんでな。それに、くだらねぇ話も頭を冷やすには丁度良かった。同じ過ちを繰り返したくねぇっつーんだから、そっちも話し合いぐらい出来んだろ?」

「む! うむ。儂も年甲斐もなく熱くなってしまっていたようだのぅ。大事なものを失いたくないと思うあまり、なにが大事なのか、なぜそうなってしまったのかを、忘れてしまっていたようだ。それをお主に指摘されて気付くとは、よくもこんな口で寛容であれば――などと、言えたものだ」

はっはっはと笑う爺さんは気を取り直したように思う。

確かに俺も意固地になっていた。

御父上との関係・・・無いと言いきれれば、どれだけよかっただろう。

だが、血の繋がりは消せず。なにより、英雄であるという事実が重かった。

俺達の間に育まれたものは無いも同然なのに、他人からは御父上を通して見られることが不快だった。不愉快だった。

だから違う道を選んだ。

遠い場所を目指した。

けれど、今になっても。呪いのようなしがらみは消えないまま。

目に見える形で俺の前に立ち塞がった。

そのことが気に入らなかった。

また、比べられるのか―――と、辟易した。

それは間違いなく恐れを帯びた感情だった。

それを指摘され、図星だったから、俺は爺さんの言葉に反発したんだ。

爺さんにしても、息子の二の舞は嫌だったんだろう。

重過ぎる期待をかけて、もし俺が潰れてしまえば・・・そう考えたに違いない。

考えて、拭い切れなくて、外に救いを求めた。

それが皇王陛下。

この国1番の権力者だ。

自分以上の力を持つ誰か。

きっとこの人なら、全てを解決してくれると。

国民全員がそう思っている人物。

「皇王陛下へ会いに行ったとして、まず会えるのか?」

「それは問題ない。間違いなく会えるだろう」

「それはもちろん、御父上の息子だからか?」

「そうだな。しかし、それだけではない。お主がクライフ皇子の大切な友人であり、その身を頼んだことも陛下はご存じのままだ」

昔。旅へ出る直前に陛下とお会いしたことがある。

正式な謁見ではなかったが、クライフのことを頼まれたのは俺も覚えている。

にしても皇王陛下ほどお忙しい人が、そんな些細なことまで思えていらっしゃるとは。

「それはわかったが、そこで俺はなにをすりゃぁいいんだ? 流石にその場で宮仕えの魔法使いを呼び出すわけにはいかねぇだろ? 陛下の無事ぐらいは確認できるだろうが・・・そこからなにかが進展するでもねぇ」

「可能であるなら、声明の1つでも出してもらえれば教会としては動きやすいのぅ。”教会を支持する”でも、”望福教に注意せよ”でも。陛下のお声であれば、皆従うだろう。後は代行の許可を貰うとかかのぅ・・・」

「代行許可ってのは調査だとかそういうことか?」

「うむ。調査でも取り締まりでも構わん。陛下のお墨付きがあればそれだけで正義だ」

「つってもな・・・そうなると王権の貸与だろ? 最低でも王印の持ち出しが必要になるってことだが―――」

王印とはその名の通り王の印を押印するための判だ。

書類や資料に王が目を通したり、許可を出すための判。

貸出なんてのはもっての他。

「許可証の発行ではどうだ?」

「王印自体が今はライザン皇太子殿下のところにあるんじゃねぇか? だったら無理だぞ?」

「それもそうだのぅ・・・手書きの署名ではどうにもならんからな・・・」

手書きで通るなら王印なんてもんを造りはしねぇからな。

あれほど人を煽ったくせに特に目的はねぇのかよ‼ って言いたいところだが、手詰まりなのは俺も同じだ。

既に皇王陛下の代わりはいる。しかも正統な後継者であり、国民にも下知されている人物。なにより反対するだけの理由もない。

だからこそ、この非常時にあっても国営が滞っていないのであって、それ自体はいいことなんだ。

その結果として、皇王陛下の力・・・権威に陰りが出たとしても、それは皇王位継承のための下準備にすぎない。

なんの問題もないんだ。

こんな窮地に立ってさえいなければ・・・・・・。

「ライザード。さっき言ってた名鑑ってのは陛下に頼めば借りられるか?」

「それはもう。使用人が走って取りに行くんじゃないですか?」