軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間語に落ちる

「言うことだけは立派じゃねぇか! だったらどうする⁉ 俺が絡めとられた後は! どうやって巻き返すつもりだ⁉ どうやって決着をつけるつもりだ⁉ その答えが出ねぇから、俺を呼んだんじゃねぇのか⁉ 俺を神として、神輿として担ぎ上げるために・・・呼んだんじゃねぇのかよ⁉」

今のこの状況から落ちを着けるためには、それ以外の方法を思いつかない。

それは俺も同じだ。

だから、そのつもりでここへ来た。

覚悟だって、決めてきたつもりだった。

なのに―――。

「全てをお前に背負わせ、それで解決だなんて方法を取るつもりは甚だない‼ 同じ過ちを・・・誰かに責任を押し付けて潰してしまうなどという失敗を、繰り返すつもりは毛頭ない‼ そんなことのために、お前をここへ呼んだわけではないぞ‼ ゼネス‼‼‼」

「それなら答えてみやがれよ‼ 最悪の場合のその先を‼ 神に代わる最強の手を‼」

「そんなものはない‼ そんな都合のいいものは・・・この世界のどこにもありはしない‼ それでも、なんとでもして見せる‼ この宗教戦争の発端は私にあるのだから‼ どんな手を使ってでも! 教会の全てを明かしてでも! 偽りだけは暴いて見せる‼ 誤りこそは正して見せる‼」

「だから! 根拠を示せって言ってんだよ‼ 心意気だけでどうにかなるなら、もうすでに決着はついているはずだろうが‼ そんな言葉だけじゃぁ、なんにもならねぇんだよ‼」

「ま、待ってください‼」

いがみ合う俺達の間に割って入ったのはサンパダだ。

その恰幅の良さを生かして挟まりにくれば、視覚的にも、思考は多少なりと丸くもなる。

「どうしても気になるところがあったので聞きたいのですが・・・よろしいでしょうか?」

しばらくにらみ合った後、一時休戦だと俺達は頷く。

「ではお聞きしますが――教皇様。宗教戦争の発端が教皇様にあるというのは、どういう意味でしょう?」

「そのままの意味だ。恥ずかしい話なのだが、あの望福教なる団体を築き上げた内の1人は儂の息子だ。まだ確認は取れておらんが、その妻も在籍しておるはずだ」

「息子さんが・・・ですか?」

「うむ。さっきも言ったが、恥ずかしい話なのでな。詳しくは割愛するが。要するに、息子へ過ぎる期待をかけ厳しく接し続けた結果、グレてしまったというわけだのぅ」

「息子さんの気持ちもわかる気はしますが・・・失礼ながら、それだけで新しい宗教団体を築き上げ、更には宗教戦争まで起こしますかな?」

「そうなったのは教会の教義が原因だろぅ。教会は加護レベルの高さが地位の高さにも直結している。当時の儂はまだ大司教だったが、時期教皇の候補にまでなっておった。しかし、息子の加護レベルは低かった。低いどころか1だったのだ」

「それは――・・・」

サンパダでさえ言葉を失う。

最大が5の中で最低値の1。それが教皇候補の息子だってんだから、さぞ息苦しいだろう。

加護のレベルは遺伝だなんだと言われているが、詳細は不明なまま。

だが質の悪いことにレベルは固定じゃなく、努力で上げられる可能性がある。

肝になるのはこの”可能性がある”って部分だ。

確実に上げられるわけでもない。

この曖昧さが足を引っ張った。

「それでも私は息子に期待したのです。修道の旅に出よと、学院で教えを学ぶだけではなく、旅を通してその身に収めよと。何度でも送り出し、あまつさえ、結婚の相手に聖女を選んだりなどもしたのだ」

しかし、そう――しかし、だ。

「結果が実を結ぶことはなかった。そして、2人の間には娘が生れた。加護レベルの高い娘が。それが最後。息子は嫁を連れて出て行ってしまった」

「娘を置いて・・・ですか? 宛がわれただけの妻は連れて?」

「そうなのだ。愛していたのか・・・あるいは、恨んでおったのか。聖女としての立場に返したくなかっただけなのかもしれん。真相は闇の中にある」

そういえば、さっきその妻の在籍については確認が取れてねぇつってたな。

気持ち悪さがある。

愛していたなら手元におくはずだ。

隠すだけの意味がねぇ。

恨んでいたにしても同じ。

とっくに捨ててやったと分かるようにしてるだろう。

その方が爺にとって辛いだろうからな。

だっつーのに、隠したままってのはどういうことだ?

なんのためにそんなことをする必要がある?

爺のくだらない身の上話もよそに、俺は得体のしれない不気味さの正体を探った。