軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

一成、健居

「騎士爵について・・・お話させて、貰います」

それは騎士爵の父を持つ少年の発表。

「騎士爵というのは、功勲によって賜る1代限りの爵位をさします。1代限りなので、その子供には爵位は受け継がれません。ですが、僕の父は幸運にも皇王陛下から爵位の他に屋敷をも授かり、皇都の・・・しかも。外れとはいっても、貴族街に立派な家を構えています」

ともすれば自慢に聞こえるかもしれねぇが、実際にはその逆だ。

「立派な家があるというのは、有難いことです・・・ですが、僕のマントからもわかる通り、僕には受け継ぐ爵位はありません。この学園へ通うのも、そのための教育も、父が決めたことで。可能なら、そのことを理解していてほしいです。僕が望んだことじゃない。後ろ指をさされても、僕にはどうすることもできない。騎士爵は名誉です。領地が貰えるわけじゃない。お金があるわけじゃないんです。だから、礼儀だって・・・なので、僕のことはちゃんと、庶民として見てほしいです。よろしくお願いします」

身を縮こまらせての一礼と共に、教壇から降りる。

その態度から、普段受けているだろう扱い片鱗が窺えた。

特に”後ろ指をさされても”の部分。

皇都の貴族街に庶民が家を持つ・・・ってのは、つまりそういうことだ。

貴族は清く正しくはない。

むしろその逆、汚く卑しい。

中でも、皇都貴族はことさらに。

領地を持つ場合には、税収や両軍の強さ。民の数、特産品の値段、取引数。その他、幾らでも競う余地があり、評価の対象たり得るが・・・。

領地を持たない皇都貴族は、風聞や体裁といった見てくれ、政への発言力を注視する。

だから、功勲のみで自分達と並ばれることが許せねぇんだ。

それが例え、ただの住まいだけだったとしても。

だが、こういった時になにかをするのは、基本的に嫁入りした妻の方だ。

自らが爵位を持つ男には、それだけの仕事がある。

それを保つため、子供や周りにかかずらうほどの余裕はなかったりする。

そして、そういった時になにかをされるのは大抵が子供の方だ。

母親が子供へ吹き込み、一緒になって嗤う。

いや、もしかすれば・・・それ以上の嫌がらせもあったかもしれねぇ。

しかし、それに抵抗できる身分でもねぇ。

ただ耐えることしかできず。

だが、この学園に入れられた。

堪ったもんじゃなかっただろうな。

学園ではマントの着用が義務付けられていて、身分はそのマントを見れば一目瞭然だ。

なぜそんなものを着けなきゃならねぇと思うかもしれねぇが、この学園にはそれだけの子供が在籍している。幼少部だけでも6学年。

出来るだけ簡単に問題を減らそうとすれば、身分を使うのが手っ取り早かったんだろう。

なんの模様もない無地のマントは庶民の証。

どうぞ標的にしてくださいと言っているようなものだ。

子供にまで、いや子供だからこそ・・・だろうか? そんなことを考えなきゃならねぇ。

そんな状況が出来上がっちまってる。

もちろん。それを黙って見過ごすつもりはねぇが・・・どうしたって見える範囲でしか動けねぇ。具体的に言えば教室内が限度。上級生だとかまでは対処しきれねぇだろう。

そのことについてわかってはいたつもりだが、見捨てるには忍びねぇ。

どうにか、今の学園の――下らねぇ貴族社会の縮図のような体制への対抗策が欲しいところだ。

それができりゃぁ、なにかしらの干渉があるはず。

そこから失踪事件との繋がりや、ギルドへの圧力なんかの正体が掴めると、そう踏んでるんだがな。