作品タイトル不明
因果、応報
っつーのも―――・・・貴族学園幼少部の教壇に立つ数日前。
《連絡が遅れてすまない。言うまでもないと思うが、色々と立て込んでてな》
『わかってる。それで? 最終的にどうなってるんだ?』
連絡を入れても音沙汰のなかったベル。
ベルザフォン・ノクアッドから返信があったんだ。
《手短に話すぞ?》
そう前置きしてから、ベルは自身の周りで起きたことを丁寧にまとめて報告してくれた。
まず、カールから聞いたように。ベルは御父上直属の部下として軍部に引き上げられたようだ。
そしてカールの評価を行い、おもり隊の隊長にしたのも間違いなく御父上だったらしい。
『それについて聞いておきたいんだが・・・以前から御父上と交流があったのか? カールの話では、お前が引き上げられる前から言い含められてたって話だったが』
《誓っていうが、英雄様が皇都へ来る以前に接点はない。皇王陛下への謁見時や、枢密院への出入りで顔を見たことがある程度だ》
『そのあたりは昔聞いたな。お前にからかわれたのを覚えてる。だが・・・だったら、なにがあって御父上はお前を選んだ?』
《それがわかれば苦労してないさ! 今までとは打って変わって、軍上層部の会議なんかにも出席させられてる。おもり隊なんかとは比べ物にならないぐらい、ちゃんとした役割が割り振られてくる。それは嬉しいけど、責任も重大だ。ぬるま湯に浸っていた分、適応までにまだ時間がかかるだろう》
『だとすりゃぁ、あるとすればノクアッド侯爵家との繋がりか・・・』
《あるいはお前との、だろうな》
『なんでそうなる? 俺は御父上の顔なんざ――』
《生まれてこの方、数えるほどしか見たことねぇんだぞ! だろ? 知ってるさ。昔、お前をからかったのもそれが理由だったことも覚えてる。けど、他に思い当たる節がない。カールの昇進にしてもそうだ。アイツは副隊長どころか、下から数えた方が早い席次だったんだぞ? それがたった1つの功績で隊長に就任できるはずがない。恐らく、年末のお前の動きと合わせて、入れ知恵に気付かれたんだ》
『つまり、俺の動きを封じるために・・・?』
《そこまではまだ・・・・・・しかし、関係しているかもしれないのは事実。いざという時の覚悟はしておいてくれ》
敵対する可能性か。
『わかった。そっちも覚悟しておけよ? 今の俺は強いからな』
《俺だって。負けはしないさ》
次に失踪事件。
『最終的に軍から消えたのは何人だった?』
《訓練兵まで含めれば200人強》
『ハッ! 一個中隊が組めるな』
《士官の数も考えれば理想的な部隊だったかもしれないな》
『士官の数は30人前後だったか・・・』
《ああ。未だに全員の行方がわかっていない。唐突に姿を消すにしても、度が過ぎるほどに痕跡が残っていないんだ。それも、軍だけじゃない》
『町の連中も?』
《そうだ。枢密院、商会、商会からも。貴族や庶民に関わらず行方不明者が出てる》
『町全体でどの程度の数かわかるか?』
《ざっと調べた限りでも1000人以上。まだ増えるかもしれない》
直近でも人は消え続けているらしい。
最後に人が消えたのはつい昨日のことだとか。
《ゼネス。お前はどうする? 冒険者は辞めたんだろう? わだかまりがあるのはわかるが・・・軍へ来ないか? 俺から進言すれば――》
『そのことなんだがな。俺は貴族学園の教師になる』
《な⁉ お前が、教師に⁉ なんでまた⁉》
『ジーナの奴が押し付けてきてな』
《あっ‼ そういえば聞いたぞ‼ ゼネス‼ お前あの変態に求婚したそうだな‼》
『してねぇよ‼ あの変態が勝手なことを吹聴してるだけだ‼』
《そ、そうなのか? けど、結構な噂になっているぞ?》
『それはもう諦めた・・・今更取返しも付かねぇだろうしな』
《そうか・・・・・・なんて言っていいかわからないが、気の毒にな》
『ああ。それで、ジーナから聞いた話だが、学園からも失踪者が出てるらしいな? 人員不足がどうだとか言ってやがった』
《そう! そうだ‼ そのことで伝えようと思ってたんだ‼ 以前、学園のことで調べてほしいと言っていただろう? 今はどんな教育をしてるのか》
そういえばそんなことを頼んだような覚えがある。
ジェイド達のことで不思議に思ったことがあったから、だった気がするな。
《その結果なんだが、教育方針や授業内容についてはわからなかった。学園に通う子を持つ家からも事情を聞いたが、これといって怪しい点はなかった。ただ―――》
『ただ?』
《教員の入れ替えが激しかった。特に、ここ10年でほとんどの古株教師が辞めさせられていた。勤続10年以上の教師はもう学園には居ないんだ》
『その上、失踪したってのか? そりゃ人員不足にもなるだろうな』
《しかも、軍を除けばその失踪率は飛び抜けている。学園を調べるのはいい手かもしれないぞ!》
『確かに気になるな。赴任したら失踪者についても調べてみる』
《それと、だ》
『まだあるのか?』
《とっておきがな。その教師達の経歴だ》
『教師じゃなかったのか?』
《いや、教師ではあった。問題なのは土地の方だ》
『教師をやってた土地ってことか・・・まさか!』
《その通り、望福教の噂が広がっている土地からばかり採用されていた》