作品タイトル不明
考領、一推
そこからも発表は続いていく。
その中でも、気になった話題が出たのはしばらくしてからだ。
「領地の運営と税収についてですが、それぞれの領地には特色があります。私の実家ではそれが鉱山の採掘になりまして―――」
という切り口から始まった話題。
教壇に立つその子の実家は、皇都から東側に位置している土地で、確かに採掘を主に資金調達していることで有名だ。
さらに派生して、
「皇都はその裏に大きな山を所有しているにもかかわらず、採掘を行っているという話を聞いたことがありません。鉱山ではないという可能性はもちろんあると思うのですが、私としては。皇都は採掘に頼らずとも収入が安定していることから、そのようなことをする必要がないのだろうと考えます」
と、持論を展開していく。
「その理由は採掘の危険性にあると思います。それは―――」
その子の話はまだ続いたが、俺はその理由に違和感を覚えた。
鉱山ではないから採掘はしない。
そんな単純な話だろうか?
皇都の裏に控える山は北側を覆う形で存在している。
そのため、北側へ抜けるには一度大きく東側に回り込む必要がある。
これは明確な損失だ。
特に北側は現在でも戦争が続く帝国へと通じる道すがらであり、軍の行き来も少なくない。
その間には荊棘の庭園と呼ばれる少々厄介な土地もあり、その周りに広がる雄大な土地では作物の生産や酪農も行われている。
交通の便が悪いのは大きな損失なはずなんだ。
万が一帝国に攻め込まれた場合の最終防壁っつー見方も出来なくはねぇが、数十年睨み合いが続いているってのに、それだけが理由とは思えねぇ。
なにより、 隧道(ずいどう) 如き・・・緊急時には爆破すれば埋められるはずだ。
だとすりゃぁ、なぜ採掘が行われねぇ?
鉱山でもなく、隧道すら掘らない理由は・・・?
ここは曲がりなりにも皇都だ。この国で一番栄えている場所。金がねぇとは言わせねぇ。
利権の問題? それもねぇだろう。なにせ皇都周りの土地は全て、皇王陛下の所有物であり、北以外の道は全てほぼ直線で次の町へつながっている。
じゃぁやっぱり防衛力を気にして? 爆破程度じゃビクともしねぇほど岩盤が硬いとか? それが理由で掘るに掘れねぇってのは・・・なくはねぇか。だが、魔法でなら隧道の1本ぐらいは通せるだろう。
それ以外の可能性があるとすれば―――既になにかに使用されている、か。
これが一番ありそうな話だ。
聖女認定試験で最後に入ったあの場所。
ワンダーゴーレムが待ち構えてやがったあの場所なんかは、完全にどこかの地下だ。
ああいった場所は山に作られていることが多い。
フェリシアに付き合わされた修道の旅で、向かった場所のこと如くが山だったから間違いねぇ。
そうなりゃ皇都の裏にあるのは教会の関連施設ってことになるが・・・、あの山は大きい。皇都の北側を丸っと包むぐらいだ。
それほどの施設が必要か? 仮に必要だったとして、それはどんな施設で、なんのためにある?
・・・・・・ここで考えたって答えは出ねぇ。
教会の地下もかなり広そうだったしな。
もしかすりゃぁなにかある・・・程度に留めておくべきか。
どうしようもなく行き詰った思考を放棄して、俺は意識外に追いやってしまっていた子供達の発表へ、もう一度耳を傾けた。