軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

起始、改正

「はぁ~・・・・・・それは、お前の言動を除いてか?」

「・・・うん。いや、自覚はしていたけれど、そんなに深いため息をつかれると私も傷付くからね? とはいえ、そうだね。もちろん。私を抜きにして、だよ」

「それを聞いてどうするつもりだ?」

「なに。少し解決に協力しようかと思ってね?」

「本音は?」

「君が無職だと私の体裁に触るだろう?」

面子のため、か。

まぁ、ありえないほどの希少品を贈られたからといって、公爵家当主が無職になびくのは確かに世間体が悪い。

貴族はなにより見栄えや風聞を気にする生き物だからな。

「一応聞いてやる。お前が提供する職場ってのはどこだ?」

「私の研究所・・・と言ってしまえば君は逃げるだろう? 安心したまえ、君も良く知る場所だ」

「俺が?」

「そうだとも! そして、君が調べていることとも関係のある場所だ。率直に言えば、一石二鳥というやつだね!」

「軍部じゃねぇだろうな?」

「信用がないね⁉ 私だって、君のことは少なからず知っているつもりだよ。君が嫌がるような話を持ってはこないさ」

その割には詐欺みてぇな手口で、あたかも結婚を予定しているかのような雰囲気を作ってくれてるがな?

「不満げな顔だね? まぁいいさ。けれど、もう予想ぐらいはついているんじゃないかな? 君がよく知っていて、調べたことがあって、関係している場所。そう、それは―――」

「っつーわけで、ゼネス・C・グラーニンだ。この春から、お前らの担当をする事になった。より実践的な方法でお前らを鍛えていくつもりだ。出自や爵位だとかで贔屓はしねぇ。覚悟はしておくように。以上だ」

春、俺は貴族学園幼少部の教師になった。

『――学園だよ‼』

とことこ歩きながら、大きく身振り手振りを加え、さも驚くべきことのように振り返りながらジーナが言った。

『学園って・・・貴族学園のことか?』

『そうだよ? 他に学園という言葉で心当たりがあるのかい?』

『いや・・・だが、なんでそんな話がお前から出る?』

『端的に言えば、私に打診があったんだ。学園で教師をしてくれないか? とね』

『お前に?』

『そんなに不思議かい? 私はこれでも高名な研究者だよ? 教師のような立場に引っ張り出されてもおかしくはないと思うんだけれどね・・・言ってしまえば、”すべては魔法の上に”だって似たようなものだからね』

『そいつらはお前のことを知ってて、お前に倣いに来たんだから話が違うだろう。お前は人にものを教えるのが下手だ。俺も人のことは言えねぇがな』

『はっはっは! それは自覚しているさ。だから、その話は断ったのだしね。そこで、だったら代わりの人間を紹介してほしい、とも言われてしまってね。君のことを思い出したというわけだ』

『それでこんな場所で待ち構えてやがったのか? 随分と暇なことだな? そいつの研究は進んだのか?』

指輪をさして指摘したが、

『心配は無用だよ。面白いぐらいに捗っているからね! それに、こんな場所で君を待ち伏せるわけがないだろう? これも、研究の結果だよ』

ジーナはそれを自慢げに否定する。

こんな場所・・・っつーには整った景観なんだが、いかんせん興味がねぇ。

それは俺達だけじゃなく、ここらに住む貴族に共通して言えることだ。

この噴水は庶民や、初めて皇都の貴族街へやってきた者たちに見せつけるためのモノであって、ここいらに住む貴族にとっては目を向けるようなものじゃねぇ。

だからこそ人も寄り付かず、こんな話を堂々としていても、誰も気にかけられたりしねぇわけだが。

『なんの研究だよ』

『もちろん、あのドラゴン君との連絡だよ。元は君の居場所を見失わないためのモノだよ? これは。そのためにも、私は君の居場所を常に知っておかなければね』

『つまり、俺がどこにいようとわかるような魔法を作ったってわけか?』

『転移扉を使って君の位置を特定する魔法を試してみた・・・が近いかな? けれど、これで君を見失うことはなくなったと言っていい。いやはや、便利なものだね? この理論を考えついたのは君だけれど、今の気分はどうだい?』

『最悪だ』

『だろうね。そんな顔だ。けれど、これをもう少し発展出来れば、失くしたものを見つけたり、行方不明者を探したり出来そうじゃないかい?』

『っ‼ そういうことか・・・』

『なにも、失踪したのは軍人だけじゃない。この皇都中で似たようなことが起こっている』

『学園もその例に漏れずってことだな』

『そのようだ。急いで教員を補充しようにも、貴族の子息が多く通う学園だ。それなりの家格が必要になる。枢密院ほどじゃないけれどね』

『枢密院からも失踪者が出てんのか⁉』

『らしいよ? 後釜をどうするかで相当にもめているみたいだね。まぁ、政治に大きく関わるのだから仕方がないけれど、そっちに潜りこめはしないだろう?』

『まぁ、そうだな。なにかが掴めるかもしれねぇしな』

こうして、俺は学園の教師になることを選んだ。