作品タイトル不明
とある理由3
「だが、お前の口ぶりからすればドラゴンはそうじゃねぇ。恩寵の継承からもわかるように、基本的にはギフトを持たないか、恩寵と同じように誰かから受け継ぐんだろう」
「なのに、だ。龍王の候補に選ばれ、けれども龍王には選ばれなかった結果、落ちこぼれと呼ばれるようになったドラゴン君にギフトが発現した。そうなれば、それを気にするものが出てくるのは当然だ」
「そうだな。例えば―――同時期に生まれたのに龍王になる資格を持たず、龍王にはなれなかった近所の同世代を、落ちこぼれだと内心で馬鹿にして、優越感に浸っていた奴。とかな?」
《あまりにも具体的すぎるだろう・・・》
「思い当たる節は?」
《龍王の下にいた我にはわからぬ。だが、確かに。その話を我にした者は。我らと同じ世代の者であったはずだ》
「許せなかったんだろうね。自分が選ばれなかったことが・・・。それでも、近くにいたそのドラゴン君が龍王に選ばれなかったことで、自分が選ばれていたら――と怒りを鎮めていたんだろう。そこへ、ギフトの発現。自分ばかりが選ばれないことで我慢が出来なくなってしまったんだ」
《そのような馬鹿げた理由で・・・・・・》
「馬鹿げてなどいないさ! 神が実在すると信じている君達ドラゴンにとって、感じる不公平は神の匙加減だろう? それをすべて運命なんて言葉一つで納得できるものは、君が思うよりもずっと少ないよ‼」
「まぁ、そこはどうでもいいだろ。結局は主観だ。そいつがなにをどう思ったかなんざ関係ねぇ。問題なのは偽装した理由だ」
そこまでして証拠を隠した理由はなんだ?
「断罪を恐れて・・・ならば、まだいいけれどね」
「・・・普通、大事な家族や仲間が生き埋めにされたとして。その現場を目の当たりにして逃げると思うか?」
「そう言われてみれば妙だね?」
「一目見て死んでるとわかるほど酷い状況だったか、あるいは――」
「すでに死んでいると説明されたか、だね」
《説明だと⁉ 誰がそんなことをするというのだ‼ そんなことがわかるのは――ッ‼》
「犯人だけだね。反応が見たかったんだろう。現場を少し崩して、灼けた体が外からでも見えるようにしていたかもしれないね」
「その説明をする時。お前なら何て言う?」
答えの分かりきった俺の問いに、ジーナは人が悪いね? とでも言いたそうな顔をして明確に答える。
「私ならばこういうはずさ。”運が悪かった・・・”とね」
俺も同じ意見だ。
同じ不条理を味わわせ、その反応を楽しみ、それでいて怒りの矛先を歪ませる。
共に恨むは運命。
復讐の標的は神。
なるほど、ちょっとはわかってきたな。
《いや! 全ては憶測であろう? ただの偶然ということも――‼》
「だとすりゃぁ残酷すぎる話だ」
ドラゴンが取り繕うように希望にすがるが如く、そんなことを口走るが。
「けどな? より知性を持つ者だけが、残虐になり得るんだぜ?」
そんなに甘く優しい答えはない。
命が費える瞬間には必ず。何かの、誰かの意思が関わっている。
《そうか―――だから、あのような行動を起こしたのか・・・》
呟くドラゴンの口から、ようやく事の顛末に繋がる事件が語られることになる。