作品タイトル不明
とある理由2
「ドラゴン君の戦闘を見る限り、不意打ちでも相当な速さじゃなければ攻撃を防いでいたはずだ。なら、崩落くらい龍王でなくとも防げるんじゃないのかな? 本当にただの崩落なら前兆もあっただろうしね。それに、炎についてもそうだ。エリック君の見事な魔法を君は防いだ。それを龍王の力だとしても、普通の火災程度なら魔法を得意とする君達ドラゴンには対処法などいくらでもあるだろう?」
《い、いやしかし‼ 魔力が切れれば流石に我らドラゴンであっても―‼》
「崩落と火災。お前なら片付けるのに何秒かかる?」
《・・・・・・10秒もあれば事足りるであろうな》
「そうなると可能性は2つだね。魔力が切れるほど長い時間その家族を閉じ込め続けたか、魔力が切れたところを狙ったか。・・・・・・ドラゴン君。君達は日常生活で魔力を使い切ることはあるのかな?」
《よほどのことがなければ魔力を使い切ることなどないであろうな。我らであれば龍王となるため、そのような事態も何度かあったが。そうでなければ普通はあり得ぬ》
「だとすれば後は時間が問題だね、それだけの長時間を費やせば、周りの目に映る機会も多くなる。けど、そんな話は出ていない。となれば、時間は夜。皆が寝静まった後のことだろう。寝込みに寝床を襲えば標的を逃がすことはないしね。それだけ対応も遅らせられたはずさ」
「気になるとすりゃぁなんでそいつは巻き込まれなかったか・・・だが」
《その者は前日から、北の大陸へ向かわなければならなかったのだ。そして事件の朝。ねぐらの前に現れ、逃げた。その現場を見たものが勘違いしたものが噂になっていたのだが・・・》
「朝に帰るのを知ってて、最初から見せつけるつもりだったんだな」
「まず間違いないね。まったく、最低な気分だよ。近くで生活をしておいて、よくそんなことができるものだ」
《待て! まさか誰がしでかしたのかの見当さえつくと言うのか⁉》
「十中八九お前にそんな話をしたやつだ。事件や事故の話は当人にとっては自慢話に他ならねぇからな」
「その誰かが被害にあった家族の近辺に住んでいれば確実だね。崩落なんて大がかりな仕掛け。見知らぬ顔が頻繁に目撃されれば怪しまれるだろう?」
《なぜ、そのようなことまでわかる・・・?》
「心理だよ。心には距離がある。相手の行動や言動で位置付けを行い、それを以ってなにを許すか、許さないかの線を引くのさ。だから、自分の生活圏で見たことのない誰かが、不審な行動を取っていれば気になって声をかけるのが心情となるんだね」
「それにしても念入りなこった。いや、そうまでする必要があったのか?」
《そうだ! そこまでしなければならぬ理由とはなんだ⁉ なんのためにそのようなことを・・・‼》
それを聞きたいのは俺達の方だが・・・考えてみるか。
「まず、そんなことをした動機だが――」
「私怨に違いないね。大方ギフトの発現というのが気に食わなかったんだろう」
《どういうことだ⁉》
「確認しておくけれど、ドラゴンに取ってギフトというのは珍しいもの・・でいいんだよね?」
《それはそうだが・・・なぜわかる?》
「私たち人間からすればギフトは全員が持っているものなんだ。その種類に一喜一憂したり、嫉妬や差別の原因になることもあるけれど、発現したこと自体を気にする人間はいない。遅かれ早かれ手に入るものだからね」
ジーナがそれらしい見解を披露する。
それに合わせて、俺も思ったことを口にさせてもらおうか。