軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

作戦

「やることは決まったわけだが・・・」

「どうやら、なにか問題が起きたみたいだね?」

ジーナがそう言った理由は、ヨハンがこっちへ向けて手で大きくバツ印を作っているからだ。

さぁこれから! って時にこそ問題が起きるのは世の常だな。

「エリックの魔力が切れたな」

「間が悪いね。仕掛けるにはもう一度、ドラゴンを檻へ閉じ込めてからか」

「いや、それは無理だな」

「は? 無理って・・・⁉ どうしてだい?」

「今まであんな合図なかっただろ? たぶん魔力回復用の丸薬が切れたんだ。魔力酔いになるまでには、まだ多少の余裕があるはずだが・・・俺が持ってた分はもう使われちまったし。流石のお前でも、そんな薬なんざ持ち合わせてねぇよな?」

「君は私をなんだと思ってるんだい? 残念ながら、そんなものを持ち合わせてはいないさ。便利な人間になり切れなくて申し訳ないね」

そうなると大前提としていたドラゴンの動きを封じることができなくなる。

エリックの代わりが勤まるほどの魔法の使い手となると、残るは――。

「君から頼りにされるのは、私としては喜ばしいこと・・・なんだけれど。研究や開発においては天才であると自負していても、こと威力という点では彼ほどのものを期待されても応えられはしないよ」

「まぁそうか。ギフトの関係もあるしな」

エリックのギフトは魔力充填。

効果は魔法への魔力供給量が増えるほか、魔力の自然回復速度が早くなる。

その有無は目に見えるほど分かりやすく、威力という意味でならこれほど単純なこともねぇ。

「魔法道具の中に使えそうなもんは?」

「どうかな? あるといえばあるけれど、この状況を引っ繰り返せるような代物はないよ? せいぜい極短時間。純粋な魔力の集約ができなくなる装置があるくらいさ」

「・・・十分だろ」

「それがそうでもなくてね。これ単体じゃドラゴン相手に十分な効果は得られないだろう。そうだね。せめて、もう2つは同じものが欲しいところだ」

「当然そんなもんは・・・」

「ああ、ないね。それに純粋な魔力が集約できなくなるということは、君の大砲も使えなくなるということだよ。元は君が無茶しないように持ってきたものだからね」

そう言いながらジーナが懐から実物を取り出して見せる。

こいつ俺の邪魔するつもりだったのか? と思ったが、最初は上手く逃げおおせる計画だったんだから、応戦しようとするのを止めるのはなにもおかしいことじゃなかったな。

「そいつの見た目。罠と大差がねぇように見えるんだが、見た目だけか?」

「いいや? 君の言う通り。これはよく罠などと呼ばれる記憶式魔法遠隔起動装置、その後継機だよ? これの重要な部分はその中身がなんであるか、だからね」

「っつーことは、罠があと2つありゃぁ・・・」

「1分・・・いや、2分くらいは竜の息吹を使えないはずだよ!」

罠2つなら俺からヨハンへ贈った分で足りる!

「ちなみにそれは設置してから起動するのか? 後、魔力を通して効果の複写は可能か?」

「起動はどちらでもいいけれど、今回の場合なら範囲を指定したほうが使いやすいだろうね? 複写についてはもちろん可能だとも。使い勝手というのは重要だからね」

「よし! ならそれ使うぞ! ヨハン‼」

遠くにいるヨハンへこっちに来いと掬うように手を振る。

「ちょっ‼ 私にもちゃんと説明しておくれよ‼」

すぐに近寄ってくるヨハンを他所にジーナが不満を叫んだ。