作品タイトル不明
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「それは分かったのだけれど・・・さっきから、なにをしているんだい?」
「アイツの真似だ。アレが時空魔法で出来てるんなら、俺にも同じことが出来るはずだろ?」
話しながら魔力障壁を作っていた俺の行動にジーナが食いつく。
「そういう私が気になるようなことをするのなら、もっと早くから言っておいてくれないかな? ドラゴンを観察しなければならないというのに! 気が散ってしまうじゃないか‼」
「どう考えてもドラゴンの方がお前の興味の対象だろうが‼ もっとよく見とけ‼」
「残念だったね‼ あれほど代り映えしないのだ! 既に飽きてしまったよ‼ 私には君の方がよっぽど興味深いね‼」
「おい‼ 言われてんぞ芋ドラゴン‼ どうにかしろ!」
《なにを勝手なっ―――‼ この状況を作っているのは誰だとっ‼ ・・・だが、良いのか? 汝らにそんな余裕はないように思うがな?》
そう言いながら目配せをするように視線をずらす。その先に居るのはエリック。そろそろまた魔力回復を挟む頃合いか。
《このような不出来な檻では、いつまでもは続かぬだろう? そうなった時にどうなるか・・・理解しているか? 汝はもちろん。ここまでしてくれたのだ。ここにいるもの全員を粛清するぞ‼》
「今なら俺だけで見逃してやるって? そんなダセェことデケェ声で言ってんなよ。そん時になったら好きにすりゃぁいいだろ? 覚悟も無しにこんなとこへ残ってる奴は居ねぇよ。ま、そうはならねぇんだけどな!」
《フッ! 言葉の割には手こずっているようだが、どうした?》
それがしたり顔なのかまではわからねぇが、小馬鹿にした口調で言うように、俺の真似事はどうにも上手くいかねぇ。
やはりどうしても、時間を止めるなんて芸当はできそうにない。
《次元が違うのだ‼ 人如きと! 我ら竜では‼》
檻に囚われ縮こまりながら勝ち誇る龍王の図は後世に残るほど滑稽に見えるが、言ってることはその通りだ。
急ぐ必要があるってのに肝心の糸口が見えねぇ。
じりじりと髪の先から焦がされていくような感覚が脳を襲う。
指先が痺れ、目が霞むような、なにか・・・。
《汝などに‼ 我が次元を超えることなど! 出来はしないのだ‼ さぁ‼ 諦めて、潔く! 死に逝く良い‼‼》
しばらく身動きが取れないせいで鬱憤でも溜まったか、滑稽な姿勢そのまま。けれど、射殺さんとばかりの視線が突き刺さる。
そこに――なにかが引っかかる。
なんだ?
焦ってはいる。
が、ここに至って恐怖なんぞありはしねぇ。
・・・本当にそうか?
ここにいる全員が、肚を括って、覚悟を決めて、この場に来たか?
「どうかしたのかい? もしかして、なにかに気付いたとか⁉」
「いや、そうじゃねぇよ。ただ・・・」
「ただ・・・なんだい? 私が言うのもなんだけれどね。あのドラゴンの言うように、あまり悠長にしている時間はないんじゃないかな? それを踏まえて、手短に頼むよ」
「ただ気になっただけだ。さっきは勢いでああ言ったが、本当に全員。死ぬことを覚悟してるのかってな」
クライフ達も。ジェイド達も。
神話的生物であるドラゴンへ挑むことの意味は流石に理解してるはず。
最悪の場合も。
だが―――、
「少なくとも、私はしているつもりだよ? こうなってしまった時点でね。君が見ているワイバーンにだって、本能的にわかっているんじゃないかな? それを覚悟と呼ぶかは・・・君次第だ」
エリックの魔力が切れ、解放されたドラゴン相手に。9人+1頭が死に物狂いで攻撃を仕掛け続け、ようやく再三の拘束。
その奮闘には焦りこそあれど、怯えなど感じられはしなかった。
だとすれば、そうであるならば!
本当に焦り、恐れ、死に怯えているのは―――‼
「なぁジーナ。お前は”次元”って言葉になにか・・・引っかからねぇか?」
ドラゴンにさえ、同じ感情があってしかるべきなんじゃねぇのか?