軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

強かったり、強がったり

「1人だけサボってたのに勝手にカッコつけてんじゃないわよ‼」

そこへ、倒れていた冒険者達の回収を済ませたアンナが合流。

「そうだよ! 回復したんなら先にこっちを手伝ってくれても良かったよね? 意識のない人を運ぶのって結構重労働なんだよ⁉」

「アタシからすればアンタもサボってたようなもんだけどね・・・」

「そう言われてしまうと私の立場も危ういので、そこは精一杯やっていたという事実を重く受け止めていただきたいのですが・・・」

「冒険者は結果が全てでしょ! 頑張ったからって死んだら意味なんかないんだから!」

いいとこ取りをしようとしたクライフを非難するエリックを咎めるアンナを取り成すフェリシアをも一喝するアンナ。

その上で。

「だから、アンタも! 誰かのために死のうだなんて考えるんじゃないわよ‼ たとえそれが、世界のためだったとしてもよ‼ いいわね!」

力強く睨みつけられる視線。

出会った頃を思い出させる強い瞳は、いつも俺達から否を奪ってきた。

であれば、今更その返答に困ることはない。

「そのつもりなら、俺は既に死んでなきゃおかしいだろ?」

「それもそうね? なら、いい調子だわ! その感じでいきなさい‼」

俺の言葉の意味をどう受け取ったのか、鋭い顔は鋭い笑顔になり、まるでドラゴンを標的として見たような表情へ。

その変化は頼もしい限りだが、一番勇ましいのが少し年下の娘だと、男として不甲斐ない。

そう思っていたのは俺だけじゃなかったようで、

「僕も。役に立たなかったとは言われたくないから頑張るよ! もちろん。いつもは手を抜いてるとか、そんなことないけどね? 魔法は、得意だからね!」

「そうだな。サボって蓄えた力の分くらいは活躍しないと、後で立場がなさそうだ」

「僕はサボってないけどね!」

「俺だってサボってたつもりはないさ。少し休憩してただけだ。ここで活躍するために!」

「だったら僕も! 止めはもらっていくからね!」

いつになくくだらないやり取りをエリックとクライフの男2人が繰り広げる。

では残った女2人はどうなのか? というと―――

「私も決してサボってなどはいないのですが・・・・・・ですが、そう見えてしまっていたというのならば、評判を取り戻さなくてはいけませんね。いえ、別に私のいいところを見せたいとか、そういうことではなく。あくまでも相対的な意味で、役立たずの烙印を押されるのは不本意ですから。ええ、他意はありません」

「君達のパーティーは大変だね? 己の価値を戦闘でしか披露できないだなんて・・・その点私は存在しているだけで価値があるんだから、役立たずにはなり得なくて安心だ。さっきまでも、仲間の治療という掛け替えのない役目を任された私は優雅に見物でもさせてもらうよ。今から逃げても得られるものはなさそうだしね。それなら、君達の行く末とドラゴンの生態や能力の方が魅力的だ」

それぞれ長ったらしく、自分へ言い聞かせるように垂れ流していたが、

「怪我人の回収というゼネスさんからのお願いに対しては役に立っていなかったと思いますが・・・」

「えー⁉ 私はクライフ君の介抱を頼まれていたからね? この私といえど、頼まれていないことの面倒までは見切れないよ?」

「それなのですが、ゼネスさんは最初からこうしてドラゴンと戦うつもりだったと、そう思いますか?」

「そんなわけないだろう? 彼はちゃんと逃げる算段をしていたよ」

「では、それを知っていたはずのあなたが、なぜその算段の手助けをしていないのでしょう?」

「・・・・・・・・・」

「一緒に現れ、かつその算段を知っていたのなら、逃げるための手伝いも頼まれていたのでは?」

「さあ! 私の本気も見せようじゃないか‼ なあに、大したことじゃない。私の目と知識があれば、ドラゴンの弱点だって見通せるはずさ‼」

途中からどうしてか、女の争いというような雰囲気を醸し出したかと思えば、フェリシアがジーナを言い負かす形で決着を付けたようだ。

ジーナの行動については俺に責任があるんだから、言い訳ぐらいしていいものを・・・。

けれど、こんな会話が懐かしくもある。

旅の途中で逆境に出くわした時、いつもこうやって強がっていた気がする。

強がることでしか、強くはなれなかったから。

困難を乗り越えるための儀式みたいなもんだ。

《まだ完全にはほど遠いが・・・魔力は戻った。これで、汝らの攻撃は我には通じぬ‼ 時間などかけず怒涛の如く押し迫れば勝機もあったというのに。愚かだな? それとも、これは慈悲だとでもいうつもりか?》

そのせいで放っておかれたドラゴンは魔力を回復し、防御だけなら可能になったようだった。

時間を使いすぎたな。

だが、

「もう忘れたのか? 竜種は賢いってのは間違いだったか」

《なにぃ・・・?》

「俺達に、雑魚をいたぶる趣味はねぇだよ!」

強がることをやめたりはしない。

俺の言葉を合図に――全員が一斉に動き出す。