作品タイトル不明
訪れ1
「はぁ~・・・・・・」
ジェイド達と別れ、冒険者ギルドへと戻り、1階にいたミリーと自室にいたブロンソン教官に挨拶と報告を終えて部屋に帰る。
とたんに、身体の力が抜けるのを感じてソファーへ身体を投げ出した。
だらしなく投げ出された手足はソファーからはみ出たり、背もたれに引っ掛かったり。可能な限り楽な姿勢を取った。
「こんなに疲れてるなんてな・・・なまったか? まぁ、だとしても・・・か」
年齢的にも体力は衰え始めてしかるべきだし、冒険者も引退したんだ。多少なまったところで問題があるわけでもない。
こうしてだれる姿はみっともねぇが、見せる相手がいない。
それこそ、ミリーや教官の前ではまだ元気なつもりだったし、これほどの疲れを覚えちゃいなかった。
実家で色々あったから――と言えばそうなんだが、新年早々それを理由に寝過ごすわけにもいかない。
俺は装備を脱ぎ捨てながらも座り直し、ポケットからベルザフォンとの連絡に使っているメッセージカードを取り出して質問する。
『聞きたいことがあるんだが・・・』
そう送ってしばらく、しかし返信がない。
なにかあったのか? と思ったが、まだ夕方にも少し早い時間。なにより新年を迎えて間もない頃だ。親族のなんだかんだと忙しいのかもしれねぇな。アイツも一応は侯爵家の一員である。しがらみも少なくはない。
そう考えると、受付にいたミリーは働き者だな。
冒険者ギルドも開いちゃいるが、稼働率は低い。
冒険者は冬に働かねぇからな。
この時期に活動できるモンスターは強いのが多いし、依頼も少ねぇんじゃどうしようもないってのも、わかるけどな。
だが、だとすると・・・独り立ちっつってジェイド達を送り出したのは間違いだったか?
いや、逆に今から南の霊峰に向かえば到着することには春直前。悪くはない・・・はず。アイツらがそれを選ぶかは別として、ではあるが。
ったく、無駄に時間があると下手な事ばっか考えるな。ベルの野郎・・・さっさと連絡返しやがれ!
と、念じてみるも。そんな都合のいい結果が出るわけもなく。うんとも、すんともいいやしない。
仕方がねぇと立ち上がろうとしたところ。
―――カサリ。
離れていた机から一通の手紙が封筒ごと落ちてきた。
封印は冒険者ギルド本部のモノ。
こいつは・・・出頭命令だったか?
封は切ってあるし、確かに1度見た記憶がある。
色々と面倒だったから後回しにしたんだったな。
改めて目を通すと、事情の聴取を行いたい為に本部へと赴くこと。そう書いてあった。
事情ってのは立替金のことか? さっき下でミリーから2回目の支払いが来てたって聞いたが、まだ半分しか来てねぇのは額がアレだから、もう半分は事実確認が済んでから~とかそういうことか?
他に思いつくもんがねぇし、たぶんそうだよな? ワンダーゴーレム? いや、アレは倒したのも2回目だし、当時も報告には行ったから今さら聞きてぇことなんざねぇだろ。
別に金には困ってねぇし、最悪全額支払われなくても、今の分だけで死にゃしねぇから面倒なら無視してもいいかもな―――って、前回も思った気がするな。
まぁ、この手紙自体が何か月も前のもんだし、どうしてもってなら催促が来る。そうなってからの対応でもなんとかなるはずだ。
とか、くだらねぇコットを考えているうちに、
《それはこっちの台詞だ!》
ベルから返信が来た。