作品タイトル不明
秘密の力
どうする・・・か。
心底楽しそうなこの顔に、なんて言えばいいだろう?
初めからそのつもりだった?
だが、それにしてはもう一つの顔が天然すぎる。
「はぁ・・・ったく・・・」
「どうしたんですか?」
後ろに隠れてるニンマリ笑顔を張り倒したくなっただけだ。
気にするな。
決めただろ。
「どうもしねぇよ。別に、どうってことはねぇんだ」
「それなら、どうするのか・・・お聞かせいただいても?」
本当に、いい性格してやがる。
「俺のギフトは”加護の恩寵”。効果は一定範囲内の人物に加護を与える。正確じゃないだろうが、成長を促進させる効果があるらしい」
「聞いたこともないギフトですね。少なくともカタログには載っていなかったと思いますが・・・」
「でも本当ならすごいんじゃないかな⁉ 僕らにはうってつけだよ⁉」
俺のギフト”加護の恩寵”。これを持つせいか、俺には加護のステータスが存在しない。
そのせいで幼少期はなかなかハードな人生だったと思う。なんせ、生まれつき持っているはずの加護が無いんだからな。
神に見放された、見限られた子供だと、よく言われたものだ。
ギフトが発現したのは貴族学園に入る少し前。
このギフトの情報はどこにもなかったが、俺の周りでは変わったことが起きていた。
それが、加護レベルの上昇。
加護レベルは最高で5最低が1と言われていて、生まれた時からほとんど変わることがない。
理由は不明。
神様の気分次第と言われても違和感がない。
一応、教会には加護レベルを上げるための修行、修道の旅なんてのがあるが・・・個人差の塊みたいな結果しかなかったはずだ。
そしてもう一つ、パーティーメンバーのステータス上昇。
クライフのレベルはもうすぐ300というところまで来ていた。
トップ冒険者のレベルですら200越え程度だったにもかかわらず、まだ20代の親友が300の大台に乗ろうというのだから大したものだ。
次に長い付き合いのアンナが250を超え、エリックも200を超えていた。一番付き合いの短いフェリシアですら200の手前まで行っていた。
このことを俺のギフトを知っていたクライフとフェリシアの二人と話し、効果を暫定とした。
「それを証明することはできるのでしょうか?」
「不可能だな。体感しろ。それでも気になるんなら、俺の元パーティーメンバーにでも聞きに行けばいいさ」
「でもその人たちって・・・」
「あぁ。今も霊峰にいるだろうな」
無事にSランクになったとは聞いたが、今はなにを目指してるんだろうな。
「そこまで行けと?」
「目指さないのか? 冒険者の聖地を」
南の霊峰は冒険者ギルドが出来た理由で永遠の目標でもある。
「出来るかな? 僕に・・・」
「それはやってみないとわからねぇよな?」
「・・・なるほど。それまでに体感させられると、そういうことですか」
言ってしまえばそういうことだ。
証言に使えそうな人物は皇都にはいない。
なら、四の五の言わせずわからせた方が早い。
「それで・・・成長の促進でしたか? なにがどう変わるのでしょう?」
「レベルが上がりやすくなるってのは確かだ」
「レベルが⁉ すごいですね!」
「そうでしょうか? 私達にはあまり関係がないような?」
「どうだろうな? まぁお前らの頑張り次第では、世にも珍しいレベルダウンが見れるかもってぐらいか?」
「そっか・・・僕らはまだ・・・」
「そうです。体が出来ていないとレベルには大して意味がないと、先ほど聞きましたからね」
レベル100以下ではどういう違いがあるのか。
もしかしたら体が出来上がるまでが早くなるのか。
そもそも本当に成長の促進なんて効果があるのか。
残念ながら証明する手段は持ち合わせていない。
レベル100以降についても、早すぎるんじゃないか? という認識でしかないしな。
他の冒険者とレベルの上昇速度についてなんて話したこともない。
「加護のレベルも上がるぞ?」
「それって意味あるんですか?」
「冒険者にはほとんど関係ないな」
「・・・それは本当ですか?」
「ステータスの方はかもしれない程度だが、加護については間違いない」
残念がるヨハンをおいて、リミアが熱を上げる。
「でしたらなぜ、冒険者になったのでしょうか?」
元は教会に行くつもりだったと資料にあったんだから、そうなるよな。