作品タイトル不明
流されたのだろうか?
未だ、多くの謎を持つギフト。
その中の一つが進化と言われるギフトの変化・成長。
「なんでまたそんなもんを?」
正直、進化について語って聞かせてやれるほどの知識はない。
「僕のギフトは・・・その、あんまりいいものではないそうなので・・・」
言いたいことは分かるんだが・・・。
「進化つっても、別物になるわけじゃない。それだけは覚えておけよ?」
ヨハンは黙って頷く。
言うまでもなかったか? とも思うが、向き合うべき現実に違いはない。
「とは言っても、出回ってる以上のことは俺も知らねぇ。ただ、元パーティーメンバーの一人が実際にギフトの進化を体験していた。そいつが言うには、力の使い方がわかった気がした・・・だそうだ」
この時の進化は”怪力”が”怪力無双”になった。
怪力は全体の10%近くに与えられるギフトで情報も多い。なにより、言葉通りの単純な力だ。
使い方がわかる。というのも、そのままの意味だったと思う。
「だから、 憶測(おくそく) ではあるが・・・ギフトの進化もステータスのレベル100みたいなもんなんじゃないか? って話になったことがあった」
あくまでも可能性でしかないが、その身に起こった張本人が言ったのだから、そういうものなんだろうと。
それを聞いて頭を抱えながら、
「僕のギフトはカタログにも詳しくは載ってなかったのに・・・」
と、漏らす。
まぁそうだろう。
闇・・・いや影か。ただそれだけに強い影響を持つギフトなんてのはかなり珍しい部類のものに違いない。
しかも、影となれば情報をばらまいたりもしないだろう。
「ギフトを明かさず話せるのはこのぐらいだろう。これ以上は・・・なにを言っても大した意味はない」
むしろ、分からないまま話を進めて勘違いを起こせばマイナスだ。
「ギフトを明かせと?」
リミアが問う。
これまでのやり取りから、短い言葉に不機嫌なのかと思ったが、表情は硬くない。
ただ聞いてみたということか。
「それは自分で決めてくれ」
ギフトを教えるというのは手札を見せるというより、山札を見せるという方が近い。
出来ることの根源に迫るわけだからな。
「・・・誰かに教えたことはありますか?」
そういうのはヨハンだ。
「一緒に冒険者になった親友と物好きなおっさん・・・今はもう爺さんか。それ以外にも知ってる奴はいたが、自分から話したのはその二人ぐらいだな」
人に話す。その時点で秘密が広がるのはどうしようもないことだ。
それでも、自分から話す相手というのは言うまでもなく、特別な存在でなければならない。
ヨハンは一瞬リミアの方を見て、一つの大きな決断を下した。
「僕のギフトは”影なるもの”。カタログには存在感を薄れさせる。とだけ書いてありました」
「よかったのか?」
俺も、リミアの方に視線を飛ばす。
「はい。一緒に冒険者になった人ですから」
「私のギフトは”魔力操作”です」
笑うヨハンの横っ面を殴るかのような、高速の詰めでリミアが続いた。
「・・・いいのか?」
「えぇ。珍しいものでもないでしょう? それに・・・」
今度はリミアがヨハンを見て、
「こうした方が、後が楽になると思いましたので」
俺に向けて挑戦的に笑って見せる。
わざわざ俺の言葉を使ってまで、となれば・・・ヨハンの悩みも知っていたのか? あるいは見ていて思うところがあったか・・・。
二人は少なくとも学園で2年は同じ教室で過ごした仲で、一緒に冒険者になった間柄でもある。
それを考えれば、思うところがあってもおかしくはない。というか、あってしかるべきか。
「お願いします! 僕にどうするべきか、なにができるか、生き方を教えてください! 先生‼」
こっちもこっちで俺の言葉を・・・。
打合せでもしてきたのか?
「どうしましょう? 先生」
脅迫・・・と言ってもいいだろう言動と呼び名。
我ながら、人に見せたくない柔らかい部分を鷲掴みにされたような感覚と共に、特別な存在にならなければならないなど、笑えないにも程がある。