軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

相見える4

「姫様。御無事で?」

「えぇ。大丈夫よ。ちょっと処刑されそうにはなったけど、なんともなかったわ」

「それをちょっととは、いやはや・・・・・・しかし――」

ゴツイ鎧に身を包んだ男は鎧う今から降り立ち、カーナの健康と身の安全を確認したのちにこちらへと向き直り、

「私は帝国騎士団南端戦線指揮総司令官補佐、フリードリヒ将軍である。この度の協力、真に感謝する」

そう言って深々と頭を下げる。

「アタシからももう一度、お礼を言っておくわね。ありがとう。助かったわ」

「ですから姫様。申し上げました通り、今はまだ和平など・・・」

「それは嫌というほどわかったから、もういいじゃない。それに、なに? その態度。いつもみたいに話なさいよ。ほら、変な顔されてるじゃない」

「今はお客人の手前。そのようなわけにはいきません。それに、この方がこんな顔をなさっているのは姫様が原因かと」

「アタシが? アタシがなにかした?」

「そうではなく、姫様という存在がですね」

そこまで言った辺りでようやく、

「ああ! なるほどね! 一応言っておくけど、姫様っていうのはあだ名みたいなものよ? 確かに王家の生まれだし王位継承権もあるにはあるけど、今は公爵家に出されたあとだし、アタシ自身も帝王になれるとは思ってないわよ」

などと。合点がいったように釈明するが、そうじゃない。

いや確かに、その話も気にはなる。

そんな出自、立場の奴がどうして南端戦線指揮総司令なんかになったのか、なれたのか。ましてや、どうやって1人で皇国までやってきたのか。なにより、その血筋の話をどれだけの人間が知っているのか。

気になる点はいくらでもある。

それらによって内情が大きく左右するからな。皇国側の思惑だとかもな。

だが、そこじゃない!

俺が気になったのは、そっちの鎧男のことだ。

「そっちの将軍はずっと帝国騎士団にいたのか?」

「いいえ? つい最近までは諸事情で放逐されていたそうよ。というか、そうでもなければ将軍なんて地位の人間が、膠着状態にある南端戦線に置かれるわけないもの」

「・・・どういうことだ?」

「どういうって、そのままの意味よ? なんで放逐されていたかは知らないけど、将軍になるぐらい強くて偉いなら――」

「――姫様。ここは帝国ではありませんので、北部のことは・・・」

「あ! そっか! なんでもないわ! 気にしないで‼」

なんだよそれ! 気になることが増えただけじゃねぇかよ‼ とは、流石に言えねぇな。

それにしても、この将軍を名乗った男の声。

聞けば聞くほど、覚えがある。

そいつは、数年前に突如として引退を表明し、後継者を用意した。そして、その後継者にすべての権限と役割を押し付けて姿を消した個人S級冒険者。

通称:自由騎士・フリーダム

その最大の特徴は全身が重鉄鋼の鎧で覆われていたこと。

重鉄鋼の産出国は主に帝国である。

声が似てる・・・で済ませていいのか? 顔が見えれば確実なんだがな。昔の記憶にはなるが、子供から大人になるわけじゃねぇんだ。向こうからはわからなかろうが、こっちからなら判別できるだろう。

だが。

もし仮に、冒険者としての姿が偽物だったとしたら―――・・・?

とまで考えて、俺は否定する。

もし、なんてもんは冒険者に存在しねぇ。

「アンタの掲げた自由とやらはどこに行ったんだ?」

だから聞いてやった。

答えなんざどうだっていい。いまさら。冒険者でも、軍人でもない俺にとっては、なんの関係もねぇんだから。ただ、アイツの。アイツらの憧れが少し陰るってだけの話だ。

その言葉を聞いた将軍は少し面を喰らったような挙動を見せ、

「変わらんよ、昔から。自由って奴は変わりゃあしねぇのさ」

それでも、すぐにそう答えた。

意味の分からないカーナだけが、なんなのよそれ? どういう意味? と首を傾げていたが・・・本物か。

問い詰めたいことはある。あり過ぎる。

なぜ帝国騎士団を放逐されていたのか。それがなぜ、今では将軍なのか。まで増えたせいで余計にだ。

けど、時間はそれを許しちゃくれねぇ。

「将軍‼」

「わかった‼ すぐに移動を開始する‼ 隊列を組め‼」

と誰かの声に返し、カーナを馬上へ。

「それでは」

「じゃあね」

別れの言葉は少なく、急ぐ風の中に消えて行く。

見送ることなく背を向け、俺も橋を戻る。

今回の件で色々とやりにくくなった。

帝国と皇国の今後。

俺自身の進退。

考えさせられることばかりだが、今は迎えてくれた家族と、頼もしく成長した後輩の姿に喜ぼうと思う。