作品タイトル不明
side――栄光ある騎士団2
キューティーさん楽しそうだな。
でもそうだよね。あんなに自由に動けるなら、楽しいよね。
こう・・・僕達を手玉に取る先生みたいに、相手の動きをずっと先まで読めるから、あれだけ自由に動けるのかな?
周りはどういう風に見えてるんだろう・・・? たぶん、僕とは違った見え方をしてると思うんだけど、想像できないなぁ。羨ましい。
っと! ボーっと見てちゃだめだよね!
ジェイドさんは――大丈夫そう。先生が声をかけてたみたいだし、危なくなったら言ってくれるよね。
それよりエイラさんを見た方がいいよね? 今日はいつもと違うことをやるんだし。
リミア達は・・・準備万端って感じだね。
じゃあ僕も準備しようかな!
とりあえず、キューティーさんに注意がいってる間に罠を仕掛けて、バレないように影に隠しておこう。僕の役目は注意を分散させることだからね。他の人や自分だけに負担がかかり過ぎないよう、状況を見て攻撃に参加しなきゃ!
それから、事前に籠手の中に魔法をいつでも発動できる状態で保留して・・・そうだ! これって、罠を発動してから籠手の魔法を発射。さらに自分でも魔法を使いながら飛び込めば、強引でも強力な奇襲になるんじゃ⁉
そうすれば一時的に混乱を起こせるかも!
上手く行けば、全員の存在が意識から消せるんじゃないかな?
誰かが危なくなったら試してみようかな‼
エイラの位置がいつもと違うから、私がリミアちゃんを守る。
魔法は威力より速さと正確さを意識しないと。
でも、あんまり心配はないのかも。
私達は2人で孤立していると言える位置にいるけれど、敵はおろか魔法も飛んでこない。というか、それどころじゃなさそう。
相手の後衛はキューティーが掻き乱してるし、前衛の何割かはその対応に迫られてる。
正面はジェイドが押さえてるし、他の人達も勝手には前に出てこれないみたいだし・・・・・・。
最低限ジェイドやキューティー、ヨハン君が囲まれないようにしておけばいいのかな?
エイラの援護は――どうしよう?
もちろん。しないわけでも、したくないわけでもないんだけど‼ どれくらいの頻度というか、強度というかで迷ってる。
今回のことは経験の為だと思うし、ある程度エイラ自身の実力を測るために様子見した方がいいのか。慣れてないことをするんだし、いつも以上に手厚く支援した方がいいのか。どっちなのかなって!
万が一はあったら嫌だ。
それなら、集中しよう。後悔しないために。
いつでも、どんな魔法でも、私に出来ることが出来るように。
必要な時に必要であるために。
準備して、待てばいいんだ! 名前を呼ばれる瞬間を!
一番後ろ・・・というのはいいですね。
全体を見れているという実感があります。
どこをどうすれば効果的か、なにをどうするのがより効率的か、それが直感的にわかるのが堪りません。
いつもならば、最後列というのは背後にも警戒しなければならないのですが、今回はその限りでもありませんし、それもまた私の気分を高揚させている原因でしょうか。
私達、たった6人で相対するのは40人を超える精鋭部隊の兵士。
その指揮を執るのは直属の上司である軍団長。
普通に考えれば敵うはずのない相手です。事実、ここへ来る途中ではありますが、敵対しそうになった時には、下手に刺激するなと先生に言われたのですから間違いないでしょう。
しかしながら、今私達はその部隊を圧倒しています。
こちらの指揮を執る先生がすごいのでしょうか? それはわかりません。だって私には指示が来ませんから。
ですが、わざわざ指示を仰ぐ必要もないでしょう。なぜなら、魔法を打ち込むべき場所がすでに明白だからです。
まずはジェイドさんが押さえている正面の少し奥とその両脇。
ジェイドさんは常に正面が3人になるように調整しながら、少しずつ後退することで敵の隊列を間延びさせていて、そこへ押し込むように敵の裏でキューティーさんが暴れているから、滞留している兵士の数が多いんですよね。
その次がヨハンが紛れている周辺。
というより、ヨハンを目掛けて魔法を撃つ・・・が正しいでしょうか?
押し込まれた兵士達に追いやられて、隊列から少しはみ出した集団。数はそれほど多くないですが、隊列の横に位置しているし、それを合図にヨハンが動いてくれるなら一気に崩せそうな気配があります。
そして最後が、最初にキューティーさんが切り込んで行って、浮いた兵士がいる場所。
でもここは・・・たぶん、任せた方がいいのでしょう。
なにかは知りませんが、いつもとは違うことをするみたいですからね。その結果を見てからでも、遅くはないはずです。