軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

side――栄光ある騎士団1

苦しいと・・・思った瞬間、心の中を見透かされたみたいに名前を呼ばれた。

逃げそうになった俺を嘲笑うみたいに。でも、この足を地面に縫い付けるには十分な声だった。

いつだってそうだ。

俺様は誰かに言われなきゃ苦しい時に、辛い時に、逃げ出したくなる。

直前までは余裕だって! 本気で思っていても。

ここぞ! って時にはいつも、失敗が頭をよぎる。

なんでだ⁉ 蟻の事件を起こしたせいか⁉

それをわかっていて、せめて逃げないように。俺様に盾を持たせたのか? だから、剣を持たせなかったのか? 教えなかったのか? それをなんで今さら?

他にも言いたいことは山ほどあった。聞きたいことは幾らでもあった。

なんで俺様が――とか、もっとちゃんと思ってることを話せ――とか。

けど、あの人の後ろをついて行けば、成長できるってことだけは間違いなかった。

なにをしていいのか、わからなかった。なにをさせられてるのかも、わからなかった。

それでも・・・俺様は気付けば強くなっていた。

1年も経たないうちにB級冒険者にまで、なっていたんだ。

だから、疑う余地はなかった。

憧れの存在までもう少し。誰の味方かなんてのは関係ない。俺様は自分の為に、困難へと立ち向かうことにしたんだ。

その先に、こんなのが待ってるとは――欠片も想像してなかったんだけどな。

言われた通りにしてみただけなのですが――確かに皆さん。揃って嫌そうな顔をしますわね?

元々隙だらけでしたのに、ここまでくるとただの雑踏とさして違いありませんわ。無秩序な分、町の人だかりの方がいくらか移動がしづらいのではないでしょうか?

背後への警戒も、魔法盾で対処しろと言われたおかげで、ほとんど気にしなくてもいいことに気付けましたわ。これってこんなに便利なものだったんですのね。

魔力の扱いが下手な私を心配したお父様に持たせて頂いたのですが、これはお父様に感謝しなければいけませんわね。帰ったらなにか、感謝の印でも手作りするとしましょうか。

それにしても、師範から聞いた話では北の軍隊といえば、もっと強固な印象があったのですが・・・まぁ、これだけ空間や自由があるのでしたら、色々と試してみたくなりますわね? 捕まることもないでしょうし、構わないはずですの!

周りをよく観察して。特に、お相手の表情を見ていれば恐らくは大丈夫!

ですけれど、あまりやり過ぎては淑女としてはしたないので、そこだけは注意ですわね‼

やったことのないことを言葉でだけ説明されても、わかるわけがないじゃない。そう思ってた。

私のやるべきことは皆のサポート。なのに、今回それはしなくていいって・・・だったら、どうすればいいの? って思わない? 思うでしょ?

そしたら、一番前で好きに戦えって・・・・・・馬鹿じゃないかしら?

『今までやってきたことをそのままやれば、結果は後からついてくる』

なんて。そんなこと言われても、信じられるわけがないでしょ?

だって! やってきたことってほとんどが強化魔法とかのサポートじゃない! それ以外は簡単な護身術とギフトを応用して手のひらから簡単な魔法を出す練習だけよ?

それで本当になんとかなるんでしょうね? って聞いたら、

『仲間がなんとかしてくれるだろ』

・・・って、どっちなのよ‼

確かに私達でも勝てた相手だけど。それは人数差を利用して無理やり押し切っただけ。今度は相手の方が何倍も数が多いのに、本当に大丈夫なの⁉

でも、やるしかないのよね。

他に出来ることがないんだもの。仕方ないわ。

いいわよ。やってやるわよ!

女は度胸って聞いたことあるし‼

それにきっと、皆なら本当にどうにかしてくれると思うもの。