軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

答えなど知っているくせに3

「つまりは勘違いだと?」

「というよりは混同された可能性が高い」

「混同・・・ということは、ゴルドラッセの後継者こそが次の領主になると思われたってことですか?」

「父上がそうだったように、兵士を束ねられなければこの地の領主には相応しくない。という概念から生まれた誤解だと言えるかもしれないな」

言ってることはわかる。

なにより、見ようによってはゴルドラッセ自身が俺を次期領主の後継者に推薦しているようにも取れるだろう。

そこから広がった誤解が噂になった。表面上だけ見れば納得できる。

だが、

「それにしたって。領内はまだしも、それがなんで帝国側にまで知れ渡ってるんです? それどころか、町の様子には変化を感じられなかったのですが?」

この2点が腑に落ちない。

帝国側の。しかも、最近就任したばかりだっつー指揮官にまで噂が広がっているんなら、もっと町にもその手のうわさが広がってていいはずだ。

そうなれば、流石に俺の顔に見覚えのあるやつがなにかしらの動きを見せるだろう。

例えば、”なにしに帰ってきやがった‼”などといって石を投げる、とかな。

ここの領民は俺を受け入れてねぇ。ここを離れて20年とは言え、顔もまぁ見りゃわかるだろうしな。現に、爺さんに会いに行く途中や門番の態度を想えば間違いない。

だとすると、町には噂が広がってねぇのに帝国側にだけはなぜか知れ渡ってるっつーことになる。

そんなことがあり得るか?

もし、あり得るとするならば?

「そうだな。あまり信じたくはないが・・・・・・」

「――間者ですか」

「そうでなければ、こんな状況にはなっていないからな」

「じゃぁカーナ・・・帝国の指揮官をもてなしたのは――」

「なにか情報が得られないかと思ったからだ」

アイツを客人として扱かったのは兄上で確定か。

「結果は?」

「皇国に詳しい信頼している者に聞いた、とだけ。こちら側のことはなにもわからず仕舞いだ」

「だから牢屋へ移したんですか?」

「いいや。初めから牢屋に入っているはずだったんだ」

「敵という認識は変わらずにあったってことですね。ただ、期限までに間者をあぶり出せれば、そっちを担ぎ上げればよかった」

「聞こえは悪いが、そういうことだ。裏切りより重い罪はここにはないからな」

国境線を預かる以上、敵への内通には敏感だ。

過去に侵略をうけたことがあれば尚更。

それが原因で処刑人数が膨れ上がった年もあったな。

「本人にこのままでは処刑される旨を伝えなかったのは?」

「下手に脅せば嘘を吐くかもしれないだろう? そうなれば余計に混乱する。これ以上は流石に避けたかった」

「来訪の目的や経緯は聞いてますが、性別の公表もしたんですか?」

「いや、下卑た嗜好に走るものが出るかもしれないからなにも公表はしていない」

「なにも? 単身で乗り込んできただとか、指揮総司令だとかの情報もですか?」

「そのはずだ。帝国貴族を不法入国で捕らえたという情報しか出してはいない」

思わず、ここまで蚊帳の外だったジェイド達に視線を送る。同様に、話を聞いていた全員が頷く。

「俺達はここに来る前にその話を聞きましたよ」

「馬鹿な⁉ そんなはずは・・・ッ⁉」

「いえ、間違いなく。帝国貴族の子息で単身この国へやってきた敵軍の司令官。全てご意見番から手に入れた情報です」

「彼の御老輩か・・・しかし、彼が知っているということは――」

「――領民の多くが知っているでしょうね。なにしろ、あの爺さんは自由に歩き回れない」

「だが、一体誰がそんなことを・・・・・・―――まさか!」

この国に潜んでいる間者が。と考えるのが手っ取り早いが、それにしたっておかしさが残る。

まるで本当に厄介払いをしたいような。

それほどまでにあのカーナという女を殺すことに意味があるのか?