軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

消えてはないもの

地面に突き立てていた爪が、ガシャン! と引っ込む。

「え⁉ どういうことですか⁉ なにをしたんですか? 先生」

「それって・・・」

「今、丁度話してた吸収の応用・・・になるのかもな?」

あんまり詳しく聞かれたところで、残念ながら俺にもわからねぇ。

わからねぇからこそ、こうやって話を聞こうと思ったわけだしな。

「これが出来るようになったのは最近だ。最初に、っていうなら迷宮でワンダーゴーレムと闘ってた時だろうな。その時の奇妙な感覚について、”蒸気の騎乗者”のスイって魔法使いと話したり、色々試した結果。魔道具から魔力を吸収できることに気付いた」

「つまり聞きたいこと、っていうのは・・・」

「そう。これがなんなのか、っつーことだ」

スイとの話じゃ共鳴魔法が近いって話になってたが、スイと行った実験は失敗に終わったし、なにより魔道具の話なんざ出なかった。

だが、ガルドナットで起きた騒動の最後。

俺は周りにある魔道具から迷宮の時と同じ感覚に襲われて、試してみたらこれが出来た。

「なにか・・・って聞かれても、これだけじゃわからない・・・としか言えない。今のは、本当に吸収しただけ?」

「あー・・・さっきはそういったが、吸収っつーよりは繋がるって感覚の方が近い。ただ、さっき見せたのは吸収で間違いねぇ」

「繋がる・・・? それはどう、違うの? 魔力を回収する、だけじゃなくて?」

「魔力の回収だと薬での魔力回復と同じだろ? そうじゃなくて、一時的に魔力の総量が増えるような感覚だ。魔道具の魔力と繋がることで、本来の魔力総量を超えた魔法が使えたんだよ」

もし回復効果しかったなら、俺はこの現象を気にも留めなかっただろう。

だが、あの時。

ガルドナットで使った魔法は、本来の俺の魔力量じゃ発動こそ出来ても、持続させることは不可能だったはずだ。

広く、大きく、高く、長く。

全て膨大な魔力を消費する条件だ。

「そんなことが・・・?」

「ああ。それでスイが言うには、共鳴魔法の中にそういう効果があるからそれなんじゃねぇかって話になったんだが・・・その時に試したが上手くいかなかった。だから、お前にも聞いてみようかと思ってな」

「そう・・」

ケイトはその一言を発した後は、なにかを思い出すように俯いて考え込んだ。

「あれ? でもそれって・・・」

一瞬で会話からはじき出されていたヨハンがなにかに気付いたのか口を突く。

「なにか知ってるのか?」

以外なところから情報が⁉ とヨハンに向き直るが、

「いえ! そうじゃなくて‼ 本来の魔力量より大きい魔法が使えるなら、先生が引退した理由はなくなるんじゃ・・・? って思っただけで・・・」

なんだ、そんなことか。

「1回引退した身だ。今さら荷物を増やしてまで復帰しようなんざ思わねぇよ」

今帰ろうとしている実家には、冒険者時代に使わなくなった装備やらを送っていたから、探せばその中には罠なんかの魔道具もあるにはあるだろうが・・・だからといって、それをもう一度待ち出して”いざ。冒険へ!”とはならねぇ。

「ただ・・・この現象が俺以外にも確実に使えるなら、俺みてぇに魔力不足で悩まなくても良くなるんじゃねぇかと思っただけだ」

「先生・・・」

「そうなりゃヨハン。お前も、効率だとかくだらねぇことに囚われず、思うままに魔法が使えるようになるかもな?」

「僕はそれでも先生に教わった魔法を使いますよ! いつか、相手の魔法を奪ったりもしてみたいですね‼」

「なら、毎日飽きるぐらい練習しねぇとな?」

「頑張ります!」

そう言ってまた魔法の訓練を始めるヨハンを横目に、

「これを見て、欲しいんだけど・・・」

ケイトが鞄から取り出した本を開いて手渡してきた。