軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

忘れ物、落とし物

「あ⁉」

俺の意識を呼び戻すように、ジェイドもなにかを思い出し声をあげる。

「どうしたのよ⁉」

すぐさま反応したのはエイラ。

「なにか忘れ物でもしたんじゃないわよね⁉」

「別になにも忘れてねぇよ‼ あ、いや? 忘れたのか?」

「はぁ・・・だからちゃんと荷物は確かめなさいって言ったのに・・・」

「だから! ものを忘れたんじゃねぇって言ってんだろ‼」

急に母親の如く頭を抱えるエイラをジェイドが煙たがりながら、ギルドカードを取り出して、指差しながら口答えする。

「これだよこれ! カードの更新だ‼ 折角B級になれたってのに、更新してねぇからC級のままじゃねぇか‼」

「なによ。そんなこと?」

「そんなことじゃねぇよ! 重要な事だろ⁉」

上機嫌だったところにその証拠を・・・と、取り出して気付いたんだな。

「なんで言わなかったんだよ‼」

それで文句は俺に、か。

「それぐらいは自分で気付くべきだろ? 一人前になったんじゃなかったか?」

「それはそうだけどよ・・・でも‼ 教育係としても嬉しいことなんじゃねぇのかよ‼」

「そりゃ腹が立ったりはしねぇが、あくまで本人のことだからな。お手て繋いで、はいどうぞ・・・なんざやった覚えはねぇだろ? それとも、そうして欲しかったのか?」

「そんなわけねぇだろ‼」

反射的にそう言えるなら、自分で気付いて行動すべきだ。

責任を人に押し付けるのは子供のやることだからな。

「だったら、自分の責任だ。それに、いいのか? 更新には金がかかるぞ?」

「あ! ・・・って、それぐらい出してくれてもいいじゃねぇか‼」

「6人分を? 30万もするじゃねぇか! 一人前だって証明なんだからそんぐらい自分で出せ! なんのための規則だと思ってやがる」

「あんだけ金持ってんだから、それぐらい出せるだろ‼ 祝えよ‼ 俺様達を‼」

「目標金額がなんで10万なのかわかってねぇのか? それを使ってカードの更新して旅に出ろってことだ」

「これは記念に取っておくんだよ‼」

こういうところで貴族の子供ってのが出るな。

「金なんて使わずにおいておく意味がねぇだろうが‼」

「記念だって言ってんだろ‼ それに、アンタもあの金を取ってるじゃねぇか‼」

「あれはもうねぇよ‼」

「「「は?」」」

言い合ってたジェイド以外の声も重なる。

「なにに使ったんだよ‼」

「使ってねぇよ。結婚祝いってことであの2人にくれてやったんだ」

結局。マッターはC級のまま。だがギルドにもC級の依頼はないまま。

今はまだ動けているモーリィーも、出産に近付けば当然身動きは取れなくなり、出産してからもしばらくは子育てに忙殺されるだろう。

そうなりゃ生活が破綻するのは目に見えてる。

苦労してゴルドラッセから奪ったってのに、生活苦で犯罪を犯されちゃぁ俺の立場ってもんがなくなるからな。

「それにしても・・・500万ガルドなんて、大貴族の結婚祝いでも出さないわよ? そんな額」

「あー・・・まぁそうだな。むしろ、大貴族同士の結婚の場合は親族間である程度、祝儀の額は合わせておかねぇといけねぇしな。そういう意味じゃ、冒険者の結婚祝いはピンからキリまであって面白いかもな?」

「そういう話じゃねぇだろ‼ よく知りもしねぇ冒険者の結婚祝いには500万出せて! 教え子の俺様達には30万も出せないのかって話だ‼」

「だから言ってんだろ? 一人前だってんなら、そういうのは自分で出せ。A級になったら、また保険料なんかが上乗せされるんだからな」

「え、そうなんですか? その保険料っていうのはどういう意味があるんですか?」

ごまかし程度にはなった言葉にヨハンが食いつく。

「南の霊峰みたいな場所だと、どうしても怪我やらで動けなくなることがあるんだが。そういう時に、ギルドに救援を出して貰うための金だな。その場所に詳しいベテランとか、ギルド専属になってる個人S級とかを派遣して貰える」

「へぇ~‼ 個人S級なんて凄い人も来てくれるんですね‼」

「そうじゃなくて‼ 俺様が言いたいのは関係性が―――・・・」

と、その後もしばらく。

ジェイドの不満は続いたが、どうせすぐにカードの更新は出来ないと気付いて、ようやく静かになった。