軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

面倒ごと消し去れ

やるなら今しかねぇ!

ゴルドラッセの隙をついて、空へ向かって大砲を打ち出す。

うちあげられた砲弾は青い空に、より一層の眩しい光を差し、特大の破裂音は骨の髄まで響き渡る。

「いったいなんの真似ですかな?」

当然すぐに気付かれるが、

「気にするな。大した意味はねぇよ」

この砲撃にも砲弾にも、なんの効果もありゃぁしねぇ。

ただ、

「多少騒がしくなるだけだ」

余裕を醸し出していたゴルドラッセの表情は、少なからず険しいものへと変わっていた。

「状況を確認せよ‼ 変化がないか、あればどのような変化か、現状の装備で対応可能かを模索するのだ‼」

素早く振り返ったゴルドラッセが部下たちに命令する。

「賊共は一か所へ集めておけ‼ 移送の手筈は⁉ 押収品には傷をつけるなよ‼ 負傷者はいないな⁉ すべて完了し次第中隊ごとに整列せよ‼」

言われた部下達も我先にと動き始め、その足取りには不満も不安も存在しなかった。

流石は国防を預かる精鋭たちだ。練度は上々ってとこだろう。

「それではゼネス様。そちらの賊もお引渡し願えますかな?」

「さっきも言っただろ? 断る」

「それはあの方への反逆。ひいては国家への反逆となりますが・・・よろしいですか?」

「俺は皇王陛下に仇成すつもりはねぇよ。だから御父上に言っておけ。文句があるなら直接聞いてやるってな。どうせ、会うつもりもねぇんだろうが」

そうこうしている間に、ズドン、ドスンと地響きが近付く。

周りの兵士達には、その震えが伝染したかのように動揺が広がり、支配されていく。

「なにを動揺している‼ 戦場では恐れを捨てろと教えただろう‼」

部下達の情けない姿にゴルドラッセが一喝するが、それは折り重なるように、あるいは追いすがり、追い越すように連続して迫る。

その手前には小さな6つの気配。

あいつらには悪いことをしたと思ってはいるが、俺が思っていた以上に今の状況は好都合だった。

なぜなら、その後には。2つの大きな気配は続いていたからだ。

「おいアンタ! マジでなにしたんだ⁉ これからなにが起こるんだよ⁉」

未だ縄で縛られたままのマッターが俺に聞くが、

「なにも起こりゃしねぇよ。俺は仲間を呼んだだけだ。ま、その後ろにはちょっとしたおまけが付いて来てるかもしれねぇがな?」

本当に大したことはしていない。

集合の合図を送っただけだ。

だが、マッターは知っている。

あいつらが昨日、なにと戦っていたか。

「連行か⁉ けど待て‼ あの数だぞ‼ ニアラプター1匹連れてきたところで・・・⁉」

だが、マッターは知らない。

あいつらが昨日、何匹と戦っていたか。

「1匹ならな?」

「なに⁉ いや、それでも‼ 2匹でも足りねぇだろ⁉」

そして、マッターにはわからない。

あいつらが今日、なにをしていたのか。

「ああそうだな。本来なら、な」

「どういう・・・?」

その答えを口にする必要はねぇ。

縄に巻かれたままのマッターを担ぎ、俺は山を登る。来た道を少し引き返すように。

そこへ――。

「先生‼ なにがあったんですか⁉」

ヨハンを先頭に6人が帰ってくる。

「説明しやがれ‼ なんで撤退させやがった⁉ なにが不満だったんだよ‼」

すぐに最後尾のジェイドが合流し、その瞬間。

「いいからこっちだ‼」

問答無用で脇へと逸れる。

全員で斜面を横切ると、遅れて追ってきたニアラプター達が少し先、ゴルドラッセとその部下たちが待つ、開けた窪地に飛び込んでいく!

「グゥゥゴルゥオオオオオ‼‼」

「ギャオガァアアアアアア‼‼」

棘をへし折り、木を薙ぎ倒し、地を踏み荒らしながら咆哮するニアラプター。

その姿は傷だらけ・・・とまではいかねぇが、口は開いたままよだれをまき散らし、血走った目がギョロギョロ動き回る。

どうみても平常時のそれとは違い、間違いなく命懸けの特攻だとわかる。

これで役者は揃い踏み。

後は、

「お前らの力を見せてみろ」

自分勝手だと知りながら。

それでも、俺はジェイド達に向けてそう言った。