作品タイトル不明
捜索中1
翌朝。
作戦会議が長く続いたせいで若干の眠気を抱えたまま、ジェイド達はニアラプターの討伐に出た。
俺もその様子を見守るために森へと向かわなきゃならねぇんだが・・・まぁ大丈夫だろう。
1匹の時はもちろん。2匹同時に相手取る場合の作戦もきっちり詰めてたからな。そこは心配してねぇ。
よほどのことでもない限りは、俺が介入したりって状況にはならねぇはずだ。
むしろ今、気になってるのは―――・・・、
「ちょっと悪いんだけどさ。うちの旦那知らないかい? 昨日から帰ってないんだよ」
ジェイド達を見送った後、ギルドに現れたモォーリー・・・だったか? 試験に参加している、もう1人の冒険者の連れの女の言葉だ。
「帰ってねぇのか? 昨日から?」
「そうなんだよ! いや、まぁ今までだってそういうとこがなかったわけじゃないよ? でもさ! 今はほら、意気込んじゃってるわけだ。だからさ、なんか無理してたり、なにかに巻き込まれたりしたんじゃって・・・不安になってね」
冒険者をしていれば野宿や野営なんざ日常茶飯事だ。そう珍しいことじゃねぇ。
だが、遠出するような依頼を受けてるわけじゃねぇ。つっても、地元の森で迷子になってるとも考えられねぇ。
後は人柄によるだろうが・・・・・・。
「ねぇ! なにかしらないかい⁉ どんなことでもいいんだけどさ!」
この感じを見るに、普段からあんまりそういった行動はとってないんだろう。
そうじゃなけりゃ、これほど心配はしねぇ。
「俺がアイツを見たのは昨日の昼過ぎが最後だ。そん時はまだ森にいた。町の南東方面だな」
「その後はどこへ行ったかわからないんだね? その時になにをしてたか、教えてくれないかい?」
「鉄の花を摘んでたな。そういう依頼だったんだろう。その後ニアラプターと遭遇して、すぐに逃げていった。方角は北東側だったか? 町からすれば東側に向かったことになるな」
「ニアラプターに⁉ あぁでも、すぐに逃げたなら大丈夫だね。それにしても東? 東側には細道しかないはずだけどね・・・?」
西側なら馬車で通れる街道がある。そこまで出ればモンスターも追って来ないと思ってもおかしくはねぇし、隣町に逃げた可能性も考えられる。
だが、東側にあるのは獣道のような細道程度で。逃げるにしても、助けを求めるにしても望み薄だ。
まぁ、東側経由で北側まで抜けたのかもしれねぇが。
「わかったよ! ありがとね。それでもし、ウチの旦那を見かけたらぶん殴って、引きずってでもいいから、一度アタシの前まで連れて来てくれないかい? 報酬は出せないんだけど・・・」
「ああ。監督官として、それぐらいなら」
「ホント、悪いね・・・」
どうにも申し訳なさそうに眉を下げて言うもんで、気にしねぇわけにもいかなかった。
だから仕方なく、昨日最後にあの男マッターを見た辺りから森へ入った。
ジェイド達はもう少し西側でニアラプターの住処を捜索しているようだ。
そっちの気配も探知魔法で捕捉してはいるから、合流は戦闘が始まってからでもいいだろうと、木の上から見下ろしつつ考えていた。
「こっから北東ってなると――?」
ジェイド達が逃げたつづら折りのような地形に比べ、少し上った後に激坂が待っていた。
崖ってほどじゃねぇが、走り下りるのは難しそうな斜面。半端にある踊り場のような出っ張りが、逆に邪魔に感じる地形だ。逃げるには向いてねぇだろうに。
しかも、その坂を下った先には少しだが開けた場所が――・・・。
「ん? あれは⁉」
移動しながら見据えた先に、見覚えのある影を見つけた。