軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

side―リミア1

「この人数でもダメですか?」

「うーん・・・そうねぇ・・・」

とりあえず。私達は全員でヨハンが話をしたうちの、一番話を聞いてくれそうだと思った人にもう一度、依頼を頂けないかと交渉しています。

「でもやっぱり、そこまでじゃないのよねぇ・・・なにより申し訳ないから。ごめんねぇ?」

話しているお婆さんがゆっくり考えたのち、やはり変わらない答えを出し、謝る。

「そうですか・・・」

交渉を粘ることもなく、肩を落として引き下がるヨハン。

確かに再交渉自体が1人目で。

この後にも何人か回る予定ではありますが・・・。

『そうだ! この先、もし依頼を出し渋る奴がいたら、まずは話を聞いてみろ』

『どういうことでしょう? それでなにか変わるのでしょうか?』

『変わるんじゃねぇ。変えるんだよ』

『ますます意味がわかりませんが?』

『依頼を出し渋るってことは、なにかしら問題はあるが解決させるほどでもないって状況なわけだ。だが普通、問題がなんであれ、解決できるならその方がいいだろ?』

『それはまぁ・・・そうでしょうけれど』

『そうしねぇってことは別の事情があるはずだ。すぐに思いつくのでいやぁ報酬金が満足に用意できねぇ、とかな』

『では先生はそれを聞きだしたうえで、低い報酬でもいいから依頼を受けろと? 非効率的だと思うのですが?』

『そりゃそんなことをすればな。俺が言ってるのは問題と事情をすり合わせろってことだ』

『からかってるのでしょうか?』

『なわけねぇだろ。例えば、畑を荒らすモンスターの駆除。これを依頼できねぇ理由にありがちなのが、さっき言った”報酬が払えねぇから”だ。畑の被害がデカすぎて実入りが少ないとか、襲ってくるモンスターの数が多いとかでな』

『そういう場合、その農家の方はどうするのでしょうか? 放って置けば廃業するしかないのでは?』

『普通なら近所の力自慢に頼んだり、村だか町だかの兵士に頼る。それでもどうにもならなきゃ、領主や皇王様に頼んで軍を出してもらうだろうな。それ以外だと助成金を使ってギルドへ依頼を出す』

『だとすれば、個人からそんな依頼が来ることはありえないはずなのですが?』

『ところが、そうでもねぇのが現実なんだよ。理由は様々。兵士が役に立たねぇ、軍の予定が詰まってる、後から村にやってきたせいで助成金を出してもらえねぇ――』

『そんなことが本当にあるのでしょうか?』

『あるさ。いくらでも。世界は綺麗事でまわっちゃいねぇ。金が絡む話は特にな。だから、話を聞くんだ。モンスターの特徴だったり、どこから現れるのか、襲ってくる時間なんかもな』

『それにどんな意味が?』

『村や町の周りに生息してるモンスターってのは意外と少ねぇんだよ。縄張りってやつだ。それで聞いた話を基に、他の奴にも話を聞く。そうすると・・・同じようなモンスターに襲われてる奴が見つかったりするんだ。商人とかな。村や町のすぐ側の街道で襲撃を受けることがあるって話が出てくると、大当たりだ』

『それはつまり、その2つの問題を同じモンスターが引き起こしていたということでしょうか?』

『そういうことだ。調べればもっと色んな問題の原因になってたりするんだけどな。洗濯物が飛ばされたり汚されたり、飼っている動物が異様に騒いだり。モンスターが活動するってことは、近くの動物も移動を余儀なくされるってことだからな。風や音、地響きを理由に動物は逃げ惑うし、その動物や虫が洗濯物を汚す。おかしなことじゃねぇだろ?』

『おかしくはありませんが・・・それをどうやって証明するのでしょうか? 証明できなければ依頼として出しては頂けないのでは?』

『そこはお前の交渉力の見せどころだろ? 相手が納得すればそれでいいんだ。小さな悩みの種を、さもモンスターのせいだとでも思わせればいい』

『それは詐欺というのでは?』

『断定しなきゃ詐欺とは言われねぇさ。なにより。依頼人の数が増えれば、1人当たりの負担金は小さくなるんだから、自分の小さな悩みが解決されなくとも、周りが喜んでいればそれでよかったってなる奴は多い。それをわざわざ問題にするやつなんざ、そうは居ねぇよ』

『あまり納得できないのですが・・・それに、なぜ私なのでしょう? 私ならば、その話に賛同すると。そう思われているのでしょうか?』

『いや? 単純に、一番賢しいかなってだけだ』

『どうして賢い、ではなく。賢しい、なのかが気になるのですが?』

『言った方がよかったか?』

『いえ、言わなくて結構です。その顔は不快なので今すぐやめてください!』

その時の先生の顔を思い出して、少々腹立たしく思いましたが、

「良ければお悩みについて、お話だけでも聞かせて頂けないでしょうか?」

私は言われた通り、その言葉を思い出して実行することにした。