作品タイトル不明
side―ジェイド
「それで? 私達はどうするのかしら?」
周りを煽るように声を張り、手を振る大男を見ながらエイラが聞いてくる。
「どうするもこうするも、こうなったらやるしかねぇだろ」
「だから、なにをどうするの? って聞いてるんじゃない。リーダーなんでしょ?」
「言われた通りにするしかねぇだろ」
「そうですわね! それでしたら、私達はパーティーとして依頼を受けにいくということで、いいですわね?」
俺はどうしても考えがまとまんねぇまま。エイラとキューティーが話を進めていく。
「異論はありません。どちらにしても、私達は1人では依頼を受けられないというのは実証済みですので」
「僕も大丈夫です。というか、よろしくお願いします」
リミアとヨハンの2人はあいつのことを先生と慕っている辺り、お行儀よく指示通りにこなすつもりみたいだ。
だが俺は・・・俺様は・・・。
ここに至るまで、皇都からこの荊棘の庭園に来るまでの道中で、夜の見張りを一緒にした時、俺はあいつに言われたんだ。
『本当はどうなんだよ?』
『なにが?』
『今回の旅だ! 俺様達が本当にB級になれると思ってんのか⁉』
『思ってなけりゃ連れてこねぇよ。それとも。勢いだけで、本当は自信がねぇのか?』
『そんなわけねぇだろ‼ ただ・・・』
『ただ?』
『――なんでもねぇ!』
『ハッ! 安心しろよ。そんなビビるほどのもんでもねぇし、なにより”お前の実力は十分認めてる”んだからな』
その後俺はごまかすように当然だと返したが。
本当に”認めてる”のか?
いいや。俺は、俺様は”認めさせられた”のか?
”認められた”かったんじゃない。
”認めさせた”かったんだ‼
それに、今回の旅。
その発端は――。
「よろしくなんて、いわなくても。私達はもう、仲間なんだから・・・ね?」
「はい! ケイトさん! ありがとうございます!」
嬉しそうに答えているヨハンを見て思う。
あいつこそが――今回の旅の発端だと。
あの手合わせの時。
ゼネス・・・さんに本気を出させたのはヨハンだった。
最初からずっと、俺なんかとは違って。
あの人を信じて、願って、直接じゃなくても、追いかけていた。
その結果がアレだったんじゃないのか?
認めさせたのも、認められたのも、本当は・・・・・・。
あいつだけ、なんじゃないのか?
「ちょっと! ジェイド‼ なにしてるの?」
気付けば、エイラを残して全員が歩き出している。
「あ・・・? ああ、どこ行くんだ?」
「聞いてなかったの? 1人で依頼を探し回ってた時に1番手ごたえがありそうだった人のところに行くって言ったじゃない‼」
「そうか・・・いや、悪い」
「どうしたの? 調子が悪いなら回復魔法をかけるけど?」
「そうじゃねぇよ。ただ・・・」
「ただ?」
「急がねぇとな‼」
「あ‼ こら、待ちなさいよ‼」
エイラを置き去りにするように俺は走り出した。
急がないと―――その一心で。
夜の見張りでのことだけじゃねぇ。
ここに来るまでも、ここに来てからも、あの人の態度は前より柔らかかったというか、優しかった。
それは俺様達を認めたからだと思ってた。
けど、違うんじゃねぇか?
さっき言ってた。
『ずっと一緒にはいられねぇ』
それと、B級昇格。
B級冒険者は一人前の証で。
一人前ってことは・・・もう教えることはねぇってことだろ。
じゃあ俺様達との関係は?
ふざけるんじゃねぇぞ‼
そんなの認められるかよ‼
俺は! 俺様は‼
絶対にアンタに認めさせるんだ‼
そのためになら、なんだってやってやる‼