作品タイトル不明
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「ああもう! そんなことはいいんだよ‼ 俺様にはまだ気になることがあんだよ‼」
小突き回されていたジェイドが周りを振り払いつつ、俺に話を振ってくる。
「さっきの話だけどな! ギルドの依頼で稼がない理由はなんだ⁉ 俺様達が舐められてようが、ギルドに依頼さえありゃ正々堂々、抜け道なんか使わなくったってB級に成れるんじゃねぇのか⁉」
ジェイドとしてはどうしても実力で、真っ向から上がりたいと考えているようだが。
「まぁそうだな。それが出来るならやりゃぁいいが・・・そのためには目安として、C級の依頼を毎日4つ以上は消化する必要があるんだが・・・どうだ? 出来ると思うか?」
「そんなにか⁉」
「個人C級の依頼じゃ良くて1万だからな。3日で10万稼ごうと思うならそんなもんだろ」
全依頼の報酬が1万だったとしても12万。そこから道具代や移動費などの雑費も引かれるから10万残るかは装備と運次第か。割のいい依頼であっても移動時間が長ければ効率も悪くなるしな。
「なんでそんな安いんだよ‼」
「そりゃギルドの依頼だからな。全ての報酬はギルドと折半した後の数字になる。討伐依頼の素材売却なんかもな。だから冒険者は個人依頼を受けるし、ギルドはカードの更新料で回収しようとする」
個人依頼を受けるためにはある程度の名声か、ギルドカードのステータスが重要になる。そのためにはギルドカードの更新は必須。結果として頻繁にカードを更新すればするほど、ギルドはなにもせずとも儲かると。そういう仕組みになっている。
「個人依頼については以前話したよな?」
「ギルドが責任を取らない依頼・・・でしたよね? その代わり報酬も冒険者だけが受け取る」
「そうだ。よく覚えてたな」
ジェイドに代わって答えたヨハンを褒める。
「ギルドが責任を取るからって折半はやり過ぎだろ‼」
「そうでもねぇよ。ギルドは依頼主の意向には最大限譲歩はするが、契約にねぇことを依頼主が言ってきても全部突っぱねるからな。例えば、畑を荒らすモンスターを駆除してくれって依頼で、畑やその付近で戦闘が発生した結果、畑に被害が出たとしても。契約になければギルドが依頼主にそのことを指摘して、冒険者には一切の苦情が来ねぇ」
これはよくあるケースで、畑に出るモンスターがどこからきているかわからない場合や、聞いていた数より多かった場合などで頻繁に起こり得る。
そして、そうなった時に。ギルドは謝罪こそするが、賠償などの要求には絶対に応じない。
畑に被害を出さない。という契約を結んでいなかったとか、申告されていた数より多かったため、当該戦力では不可避だった。として冒険者を守ってくれる。
「だから、ギルドは契約を結ぶ時に。細かい事項まで記入してくれって説明もしてる。ただ、特別項目が増えるほど依頼料は高くなるんで、依頼主はそれを嫌って避ける。その結果が・・・・・・アレだな」
俺は依頼ボードに残った紙を指差す。
「報酬が少ねぇ依頼は塩漬けみてぇに残り続ける」
つまらねぇせめぎ合いの結果生まれた旨みのない依頼達。誰も受けようとはせず、けれど意地になってるのか剥がされることもない。
「ギルドはそれでやっていけんのかよ⁉」
「ここは・・・どうだろうな? ギルド自体がなくなってねぇってことはギリギリでもやっていけてるってことなんだろうが。他の地域なら依頼の数でどうにでもなるさ」
依頼主にも、問題解決のために出せる金には限界がある。
いくらギルドに依頼した方が解決への信頼があるからと言って、出せない金額は端から出せない。そこで、個人への特別依頼ってわけだ。
解決できるかどうかは未知数だが、ギルドに出すよりは安い。
実力についても、評判を聞くかギルドカードを見せてもらえば十分だ。
「数って・・・それだけでかよ?」
「ギルドは冒険者が依頼を受けても、それを達成できなかった場合には報酬を払わなくていいんだぞ? その時に冒険者へなにかを出すわけでもねぇ。精々、残念でしてたね。とか言って終わりだ。依頼の失敗なんざ自己責任だからな。冒険者の数さえいれば、いつかは誰かが依頼を達成して、その半分はギルドに入る。軍の影響が強いここが特別なんだよ」
冒険者への依頼の多くはモンスター関連。
だが、ガルバリオ皇国北部は軍が強い。そして、その性質上数も多い。
なにかあったとしても、軍が派遣される以上、ギルドへの依頼が少なくなるのは仕方のないことだ。
「じゃあ結局は抜け道を使うしかねぇってことかよ・・・ッ‼」
「なにをそんなに気にしてるかは知らねぇが、別に違反でもねぇんだ使ったから実力がねぇってわけでもねぇ。それに今回は正式なB級昇格試験じゃなく、予行演習だぜ? 気楽にいけよ」
「それじゃあアンタに――クソッ‼」
ジェイドがなにかを言おうとしてやめる。
俺に。なんなのか、そいつはわからねぇが・・・――
「おい。今のはなんかの冗談か? それとも俺の聞き違いか? そいつらがB級昇格試験だと⁉」
――来た‼
わざわざデカい声でしゃべってた甲斐があるってもんだ。わかりやすい奴は助かるぜ、全く。
カウンターでの話が終わった後、壁際で連れの女と話していた男が、イラついた声で絡んできた。