作品タイトル不明
思い留まる
あった――――・・・・・・んだけどな。
「どうした? まだ依頼の1つも受けられねぇのか?」
「うるせぇな‼ 普通は依頼なんてギルドで受けるもんじゃねぇか‼」
「じゃぁそのギルドに行ってみたらどうだ? あるんだろ? 依頼が」
「ぐっ⁉ それは・・・」
「稼げねぇ冒険者は野垂れ死ぬぞ?」
「わかってんだよ‼」
フン! とそっぽを向いてズンズンと歩き出すジェイド。
見送る背中はなんとも頼りねぇ。
「しっかし、どうすっかな? 1つ目ぐらい俺が受けてやるべきか?」
つっても、裏技や抜け道を堂々全部紹介するのもな・・・。
それで実力不足のまま昇格しても、苦労するのはあいつらだ。
ただ――、
「実力は十分あるはずなんだがな?」
ここに来るまでの道中、1人ずつ話を聞いたり軽い演習もやってみたが、B級ぐらいの実力はついていた。
後はそれを発揮する機会が作れるかどうか。
そしてそれは対人能力の有無と言える。対応力と言ってもいい。
態度だったり話し方だったり、そういうもんは個人の差だしなぁ。指図されるのも癪だろうし、されてどうにかなるもんでもねぇし。
「はぁ・・・」
「どうしたんですか? 先生?」
盛大にため息を吐いていると背後からヨハンが現れた。
「そっちはどうだ? 依頼、受けられたか?」
「駄目でした。やっぱり僕だけじゃ頼りないみたいで・・・」
「・・・そうか」
「それより! 今の感じはどうでした⁉ 結構うまくいったと思うんですけど‼」
「確かに気配はかなりわかり難くなってる。が、まだ足音なんかが聞こえるな。誰かはわからねぇが後ろにいるのがわかる・・・ってとこだ」
「うっ⁉ 難しいですね、音を消すのって。意識してるつもりなんですけどね・・・」
「装備まで含めて自分の体にする感覚が、そんなすぐ身についてたまるかよ。だが、いい感じなのは間違いねぇんだ。そのまま続けてりゃいづれは、な?」
「本当ですか⁉ 僕、頑張りますね‼」
ヨハンは飛び上がるように喜びながら街に消える。
「はしゃぎすぎだ。折角馴染んでたのに浮いちまってるじゃねぇか・・・」
ヨハンが消えた先からは歓喜の気配が漏れていた。これじゃ、隠密スキルの習得にはまだ時間がかかりそうだ。
「いいではありませんの! 嬉しいのならば、喜ぶべきですわ!」
今度はお嬢様です! という気配を全身に纏ったキューティーと、他の女メンバーが訪れる。
「お前は嬉しいのか?」
「嬉しくはありませんわ! 悪い気はしませんでしたが」
「こっちも収穫なし、かしら。やっぱり女1人じゃ話を聞いてくれないのよね」
「わ、私はその・・・上手く、話しかけられず・・・」
「相手にされないのではどうしようもないでしょう」
全員が口々に愚痴る。
「全滅じゃねぇか・・・」
「仕方がありませんわ! リミアが言うように、相手にされないのですから!」
「そうね。取り付く島もないって言うか・・・どうしてなのかしら?」
「私は馬鹿にされているような気さえしたので、キューティーさんとは違い、気分も悪くなってしまったと言えるでしょう」
「私は――・・・ご、ごめんなさい」
内3人は同じような感想を述べ、それとは別に謝るケイト。
「相手にされてねぇと感じるんなら、その原因があるはずだろ? 調べたのか?」
「いいえ! 全く知らべてなどいませんわ!」
「調べろよ‼ なんでそんなに自信満々なんだお前は‼」
「私の場合、まずはゼネスさんに聞いてみようかと思って・・・」
「聞くって選択は悪くねぇが、俺はここの人間じゃねぇから詳しく知ってるわけねぇだろ? それに。あわよくば最初から正解を引き出そうって考えは、甘いと言わざるを得ねぇな?」
「それは――ッ⁉ そうね。私が甘かったわ」
己を恥じるエイラが、やはり一番頼りがいを感じる。それと同時に、期待しすぎるな。と自重を促す。本人も言ってたしな。
「私は気分が悪かったのと他に気になることがあったので、教会へ行っていました」
「なんかわかったか?」
「いえ。ここの教会も普通の教会でした。そのせいもあって、気分が余計に悪くなったくらいでしょうか」
「わざわざ機嫌を悪化させに行くなよ・・・」
呆れつつ視線をズラす。
「わ、私は・・・」
「そこら辺の奴に話しかけるのが難しいなら、図書館とかにいったらどうだ? 確かここにもあっただろ?」
「図書館には行ってきました! すごく貴重な本もあって‼ で、でも、その。本を読んでる人に声をかけるのは・・・迷惑じゃないかって・・・」
言わんとすることはわかるし、ある意味その通りなんだが。
「まぁ。次から頑張れ・・・」
「・・・・・・はぃ」
小さくなっているケイトにこれ以上は言えやしねぇ。
ただ、それにしたって―――。
出発前の意気込みはどこへやら。
作戦会議と称して集合させて、入れ知恵でもするべきか?