作品タイトル不明
かなえたい未来2
俺の前に立つケイトには未だ、怯えた影が見え隠れしている。
当然だろう。
あんな・・・自殺のような真似をさせちまったんだから。
それは俺の勝手な考えや、甘えが原因で、ケイトにはなんの非もなかった。
にもかかわらず俺はしばらく、こうしてケイトの前に立たず、碌に姿も見せず、都合よく頼み事だけしたんだ。
確かに謝りはしたが、十分に向き合ってやれなかった。
そうして、今。
俺が掛けるべき言葉はなんだ?
長くはない沈黙を経て。
「・・・・・・ありがとう」
自然と出た言葉は感謝だった。
「え、あ、いえ・・・・・・はい」
おそらく、他の面子にしたように。そのまま評価を言い渡されると思っていたんだろう。俺の言葉を一瞬理解できず、けれど受け取ってくれた。
俺を見上げることもなく、少し頭を下げたままのケイトに迷いながらも、俺は評価を口にする。
「詠唱が短くなってたな。発動が早く、効果も高くなってた。連携の為に攻撃じゃねぇ手段を迷いなく選んでたのもいい。俺なんかの言葉を、よく覚えていてくれた。それと・・・ヨハンのことも」
「そ、そんな・・・ことは! それに、あの。彼には! その、才能が・・・あります」
「だとしても。お前のおかげだ。さっきも言ったが、ありがとう」
「い、いえそんな・・・」
「ただ、気になるところがあるとすれば・・・やっぱり武器だな。杖と本の両手持ち」
「こ、これだけは・・・その‼」
ケイトが一生懸命に伝えようとしてくれるが、
「わかってる。こだわりがあるんだろ? やめろなんざ言わねぇよ」
無理強いするつもりはない。
「そう、なんです。よかった・・・」
それを聞いてケイトもホッと胸を撫で下ろす。
「だが。折角こだわるなら明確な利点が欲しい。捨てきれねぇのは俺も似たようなもんだったからよくわかるが、引きずられるだけじゃもったいねぇ。なにか、強みを一緒に探していこう」
「それなら今度、時間のある時に聞きたいことがあるんですけど・・・い、いいぃですか⁉」
なにか。に心当たりでもあるのか?
上擦ったような勢いで聞いてくるが、断る理由もない。
「わかった。約束だ」
「あ、ありがとうございます!」
バッ! と頭を下げて、ビュッ! と俺の前から去った。
その後ろにはリミアがいて。
「先程は最後とおっしゃっていましたが、私のことはお忘れでしょうか? 先生?」
評価を寄こせとせがむ。
「魔法の威力は大したもんだったな。つっても、相手を見失うような魔法を軽率に使うのはやめた方がいい」
しかし、
「私の評価だけ手を抜いていませんか?」
「そんなことねぇよ」
その内容は気に入らなかったようだ。
まぁ、手抜きじゃないか? と言われたところで、魔法を2つ見ただけじゃ他に評価のしようもねぇしな。
ヨハンに協力を要請し、なだめてもらいながらどうにか適当にあしらっていると、
「悪ぃが急いでギルドに戻らにゃならんくなった。お前さんらもついてきてくれ!」
離れたところでなにやら連絡を受け取ったらしい教官の一声で、俺達は冒険者ギルドまで帰ることになった。
そして帰り着いた冒険者ギルドにて。
「申し訳ないけど、見失ったから戻ってきたよ。被害はどうだった?」
と受付で聞く”蒸気の騎乗者”のサンに、
「いえ、こちらのミスに突き合わせてしまって。大変申し訳ありません‼ ご協力ありがとうございました‼ それと被害状況なんですが、現在私達だけでは確認できない状況で・・・」
そう言って頭を下げるミリーに出くわす。
そこへ、
「いったいなにがあったってぇんだぁ⁉」
ギルドマスターたるブロンソン教官が声をかけた。