作品タイトル不明
かなえたい未来1
「全員C級に上がったのか?」
他の5人の方へ聞く。
「はい!」
力強く答えるヨハンに続いて、
「あたりまえだ――」
「――もちろんですわ‼」
答えようとしたジェイドの声を、かき消す勢いでキューティーが答えた。
「私達にしてみれば、なんてことはございませんでしたわ!」
こちらは少しどころか、盛大に自慢げだ。
「そりゃぁ良かったが、あんまり調子に乗るなよ?」
「調子になど乗ってはいませんわ! あなた様も。私の成長をご覧になったでしょう? そして、驚いていたではありませんか‼ 今の私の強さに‼」
「それは認めてやるよ。最初のアレは確かに驚いた。器用になったもんだと感心もしたさ。だがな? その後の連携は相変わらずのワンパターンだっただろうが‼ そんで! そこから崩されたのをもう忘れたのか⁉」
誰がどうみても調子に乗っているキューティーに釘を刺すが、
「あら? そうでしたの? であれば、その成長も。次の機会にはお披露目させていただきたく存じますわ!」
わかってるのか、わかってねぇのか。
別の意味で頭が痛くなりそうだったが、それは俺だけじゃねぇ。
近くにいた教官も眉間を抑えていた。
「すまん。ワシが乗せすぎたせいかもしれん」
教官のことだ。うまい具合に褒めて伸ばしたんだろう。
その弊害・・・なら、仕方ねぇ。
頼んだのは俺だしな。
なにより、C級昇格の一番の立役者は駆け出しじゃなく、ギルドマスター:ブロンソン。この人で間違いない。
普段の仕事に加えて、問題児達の指導と昇級試験の準備から監督まで務めただろうからだ。
「あぁ、いいですよ。そのうちどうにかするんで」
だから、文句なんざ言えるわけがねぇ。
「それより、大変だったんじゃないですか? 色々と。人に教えるのだって久しぶりだったんでしょう?」
「まぁなぁ・・・だが。忙しかぁあったが、思ってたほど大変ってこともなかったぞ?」
「そんなこと言って。本当は無理してんじゃないですか?」
俺でも結構持て余す相手なんだが。
「はっはっは! なぁに、お前さんほどじゃぁねぇよ」
それは俺が無理をしてるって言いてぇのか?
それとも、俺の方が問題児だったとでも言うつもりじゃねぇよな?
含みを見せて笑う教官をどうにかしてぇな。とか考えていたところに、
「それで先生! 僕はどうでしたか⁉」
ヨハンが袖を引くように尋ねてきた。
「なにがだ?」
「成長したかどうか。ですよ!」
「ああ・・・それか」
かなり積極的というか、自分を出せるようになったな、ヨハンは。
新しい魔法も習得出来たことで、自信も付いたんだろう。
「私も、気になるわ」
「そ、その・・・私も、です」
それを聞いていたエイラとケイトも、すぐ後ろに控えていた。
「まずはヨハンからだな。正直お前が一番驚いた。魔法の習得もそうだが、なにより。駆け引きで俺の思考を読んだところには感動すら覚えたぞ」
「やった‼‼ ”新しい技なら見せたがるだろう”って考えるんじゃないかな? と思ったんですよね! まぁ、先生のことだからわかったってだけなんですけどね」
俺だから、か。痛いところを突くな。
要は”俺ならそれぐらい下に見てくる”と、ヨハンに思われてたってことだからな。
まぁ、俺の反省はいい。
「それがわかったなら、今度はその先の動きまで読めるようにしろ。その上で自分はどうするのか、も含めてな。折角思考を読めても、利用できなきゃ意味ねぇぞ?」
「はい‼」
「それと、罠を使わなかったのはなんでだ?」
「えっと・・・僕個人ならいいんですけど・・・」
「連携だと使いづらい、か?」
「はい。どこで使うべきなのか」
「それも今後の課題だな。仲間と話し合って決めるんだ」
「わかりました」
ヨハンは素直にうなずいた後、顎に手を当て考えながら横に捌ける。
「次はエイラだが・・・連携や状況判断が良かったな。体術も、形になってきて出来ることが増えてるのがわかる。踏み込みや攻撃に迷いがなかったってのも、いいところになるか」
「まぁ。私が手加減なんて、出来ないでしょ?」
「そうだな。ただ、あれが全力ってんなら、なにか他に工夫が欲しいな。強化魔法とか・・・どうなんだ?」
「そうね。使えなくはないけど・・・ってところかしら。まだ両立は難しいと思うわ。誰かに掛けるんならまだしも」
「なら両立を優先した方がいいな。現状だと遅すぎる。モンスター相手だと立ち会う前にやられる可能性がある」
「わかったわ。得意じゃないけどやってみましょう」
「お前の魔法について、今回は見てねぇしどうなってるのかわからねぇが、期待していいのか?」
「しすぎなければ。かしら? 私も、1人で置いて行かれるなんて嫌だもの」
離れ際にそう言ってのけるエイラにやる気を感じた。
これもまた、変化だろうか?
どっちかっつーと、仕方なくジェイド達に付き合ってるって感じだったが。
「・・・最後はケイトか」
俺の声に、ビクリと身を震わせるケイト。
これは――なんて言うべきだろうな?