軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

翼竜について

「あの、先生。いいですか?」

ヨハンが手を上げる。

「どうした?」

「翼竜はブレスも使えますよね? それに不意打ちをされたら、どうにもならないと思うんですけど・・・」

「あぁー・・・それはな」

翼竜について、、もっといえばモンスターについて。

知らなければ当然の疑問ではあるんだが、ここで話すべきことか? と一瞬考えたが、知っておいて損をする情報でもねぇし、話さないでおく意味もなかった。

「基本的に危険度がB級以上になってるモンスターは不意打ちしてこねぇ」

「え⁉ どうしてですか?」

「奴らは自分の強さを知ってるからだ。それを理解した上で、相手の反応を見て、実力を測って、どうするかを決める。その時に慌てふためいてれば、余裕だと判断されて即行仕掛けてくるし。構えられたなら、まずは様子見するだろう。相手にしなけりゃ姿だけ見せて逃げることもある。まぁ、ハッタリは通じねぇけどな」

「それも野生の知恵。ということなのでしょうか?」

「たぶんな。最後のは本当に力量の差がある時だけだし、その辺りの判断も野生の勘って奴なんだろう」

質問してきたリミアはその答えになるほど、と感心しているが・・・いう程だろうか?

「じゃあブレスはどうなんですか?」

ヨハンも不意打ちについてはある程度納得できたようで、続いてブレスの話になる。

「さっきもちょっと言ったが。翼竜は竜種ではあるんだが、どっちかっつーと蝙蝠の方が近い」

「蝙蝠・・・ですか?」

「あぁ。つっても、自力で飛べる分、蝙蝠の方が優秀かもな」

「翼竜なのに飛べないんですか⁉」

「飛べはするさ。魔法のおかげでな」

「ですよね⁉ ビックリしましたよ」

「ただ、魔法を使うってことは魔力を消費するってことだ。同じく、しかも大量に魔力を消費する”竜の息吹”なんざ気軽に使ってみろ。すぐに魔力切れで飛べなくなるぞ」

翼竜は飛ぶことが脅威なんだ。

飛べねぇ翼竜なんざ動かねぇ的と代わらねぇ。

鳥系統のモンスターもそうだが、飛ばれると攻撃が限定される。特に飛行魔法で飛ぶタイプには弓矢なんかの物理攻撃は、はじき落されるせいで魔法以外が使えねぇ。

だが、飛ぶモンスターは地上にいるモンスターより行動範囲が広く、魔法が当てづらい。

それが翼竜ともなれば、その名の通り翼を自由に使って、まるで風に揺れる木の葉の如く。直撃させるのは至難の業と言える。

「本当に自力じゃ飛べないんですか? 翼竜、なんですよね?」

なんでそこまで気になるのか、わからねぇが。

「そう言われてもな・・・」

アレが飛べねぇのは見りゃぁわかる。

あんな腕の部分から脇腹辺りまでに生えた翼だけで、持ち上げられるような体格なんかじゃ――と、そこで思い出した。

「教会の迷宮で戦ったガーゴイル・・・覚えてるか?」

「それは、もちろん。覚えてますよ?」

「あれが大体、翼竜だ」

「えぇ⁉ 本当ですか⁉」

「だから嘘ついてどうすんだよ・・・」

「でも翼竜っていうと、大きな翼を持っているってよく・・・」

「まぁあれより多少長いが・・・デカいってわけじゃねぇ。あんな体型で飛べると思うか?」

「思わ・・・ないです」

なぜか項垂れるヨハンを見てると。竜種になんらかの思い入れでもあったのかもしれねぇ。

悪かったか? いや、どうせ時間の問題でもあった。これも、成長ってやつだ。

「待てよ! あのガーゴイルは突進と尻尾の薙ぎ払い以外にも翼で攻撃して来たじゃねぇかよ‼ アンタの想定と違うじゃねぇか‼」

「そりゃあいつがガーゴイルだからだ。あいつらは飛べねぇからな。翼は飾りだ。翼竜は翼で攻撃なんざしてこねぇよ。折れたら飛べなくなるだろうが」

変わったかと思ったジェイドだったが、気のせいだったか?

「まぁ、そういう理由で翼竜がブレスを使うことはほとんどねぇ。逃げる時か、道連れ覚悟か。どっちにしても稀だ。逃げる時に使う場合は、逃げ切れる算段が付いてる状態で、かつ余裕があって今後も出会うかもしれない相手だと認識している時。道連れ覚悟に至っては、巣に乗り込んだ時ぐらいだ」

「なぜ道連れはそれほど珍しいのでしょう?」

「よっぽど遊んでなけりゃ死を覚悟させる前に倒せるだろ? 相手だって最初から死にたがってるわけじゃねぇんだし、追い込まれても、まずは逃げようとするだろ」

それは確かに。そう言いながら頷くリミア。

「やけに熱心だな? こういうとアレだが、そんなに興味あったのか?」

「竜種が持つ魔力袋は高額で取引されると聞いたので。今後の参考に、と」

モンスターだけが持つ魔力袋は高額素材になりがちだが、その中でも竜種はさらに高い。それは翼竜のものであってもだ。

にしても、そういうことにリミアが興味を持つとは。

冒険者らしくなったとも言えるが、意外だな?

などと思ってたら、

「意外でしたか? ですが私達も、もうC級の冒険者ですので」

ふふん。と少しばかり自慢げにするリミアをもって。

そういえば、そんな宿題を出していたな。と思い出した。