軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

同じ戦略1

一目でわかった以前との違いは陣形:立ち位置の違いだ。

正面にジェイドがいるのは同じだが、そのすぐ後ろにエイラとケイトが横並びになっている。

以前まではケイトの位置にキューティーがいて、そこから出たり入ったりしていたんだが。そのキューティーはジェイドの左前に大きく展開している。

ケイトにしても最奥で守られていたのが今はジェイドのそばで援護の構え。

それなりに動きの研究はしたみたいだな。

代わりに、最奥にはリミアが収まっている。

6人で比較した時にリミアの火力が一番だったか? あるいは、リミアにサポートの才能が毛ほどもなかったか。

ヨハンはジェイドの右隣り。

キューティーと違って前には出ていない。

つまり、キューティーが先鋒。ヨハンが次鋒。リミアは大砲ってところか。

それを盾役のジェイドを柱にエイラとケイトで支える。

かなり一般的な・・・言ってしまえば、6人PTとしてはよくある戦術編成に落ち着いたようだ。

それは2人も”栄光ある騎士団”に上手く馴染んだと言うことでもある。

全員まだ子供だし、ジェイドは特にアレだからと、ギクシャクしないか不安もあったんだが、そんな心配は杞憂だったか。

そういう場面で上手くやれないのは、むしろ大人の方だったりするのかもな。

なんて。

関係のねぇつまんねぇことを考えているうちに。

「行きますわよ‼」

勢いよくキューティーが右斜め前から飛び込んでくる。

ヒュン! ヒュン! と小気味よい風切り音を伴う斬撃は目を見張る程ではないが、いくらか洗練されたような印象を受ける。

特に、それぞれの動きからの繫ぎが滑らかになった。ワンパターン化の弊害で一瞬止まったりといった、ぎこちなさが改善されている。

動き自体も。より複雑に、全身を躍動させたものへと変わり、力強さが増したか?

ただまぁ・・・それでも当たりゃしねぇんだけどな。

いくら成長したっつっても、まだまだ1対1で攻撃をもらう程じゃねぇ。

だから、もっと連携を。

それを理解させるために、キューティーの攻撃を弾いて体勢を崩してから、適当にすっ飛ばして一度リセットしようと腕を伸ばす―――が。

「なッ⁉」

弾かれたのは俺の腕だった!

キューティーへと伸ばした腕は見えねぇ壁に阻まれた。

魔法盾だ。

そのことにキューティーはニンマリと、自信たっぷりに笑って見せてから、俺の腕を叩き落した。

予想外に体勢を崩した俺は、すぐさま叩かれた腕の勢いを利用しながら反転。左の後ろ回し蹴りでキューティーを蹴り飛ばす!

当然その蹴りも魔法盾によって阻まれるが、キューティーは後退。

そこへ、

「喰らえよ‼」

ジェイドがバッシュで詰めてくる。

盾に肩を預けたまま、軽快に走る。

重さなど感じさせないように。

俺はそのまま、キューティーを蹴り飛ばした左足でジェイドの突進を受け、踏ん張って止めようと思ったが、

「チッ‼ クソッ⁉ なんで気付くんだよ!」

右足で地面を蹴り、さらにジェイドの盾も蹴り、後ろに飛び下がる。

すると左側、斜め後ろから差し込みに来ていたヨハンが視界に映る。

「僕なにかミスしましたかね⁉」

「あいつがおかしいに決まってるだろ‼」

慌てふためくヨハンをジェイドが制しながら構え直し、肉薄してくる。

「なんで気付いたんですか⁉ 先生‼」

「戦ってる最中に、敵に聞く奴があるか‼」

「気配を消すのは上手くできてたぜ? ただな? 物が動く以上は風が起きるんだ。そういうのでもわかるんだよ。それも隠したきゃ、魔法で周りの風も固定するしかねぇが・・・そしたら今度は、その魔法に気付くかもな?」

「あんたも‼ なに余裕ぶって答えてんだ‼‼」

珍しくジェイドが突っ込んでるが、お前も戦闘中にやるべきことじゃねぇからな? それ。

それとも、そういう性質なのか?

「そんな・・・、じゃあ一体どうすれば・・・⁉」

ヨハンはヨハンで頭を抱えている。

本当に意識外から攻撃したいなら、超遠距離から攻撃するか、意識を他でいっぱいにするしかない。

そのための連携なんだってのは、まだわかってねぇんだな。

「道を‼」

男3人でコントを繰り広げていると、キューティーがジェイドの後ろから割って入ってきた。

ジェイドは声を聞くなり素早く左に展開。

俺から見れば。正面にキューティー、右にジェイド、左にヨハンだ。

それにしても、元が嘘のようにキューティーは色々とやるようになったな。

今も。3人で俺に張り付きながら、ジェイドに合わせて魔法盾を広く発動させて俺の動きを阻害してくる。

そこで、常に後ろに着くヨハンが脅かしてくる。

連動した動きで、正面は開けつつ、左右を塞いで、背後から刺す。悪くない連携だ。

だが・・・だからこそ、利用しやすい。

なにより、悪い癖ってのはそう簡単には抜けねぇもんだ。