作品タイトル不明
同じ戦略2
俺は正面にエイラ達を捕らえるようにして、好機を待つ。
ヨハンを抑え、キューティーの剣戟を1つ2つと見送って、ジェイドのバッシュを受け止めて、押し返すように正面をこじ開ける‼
そうすると、
「うぉおッ⁉」
「きゃぁッ⁉」
盾を押し返されたジェイドと魔法盾を展開したキューティーが弾き飛ばされ、正面が拓く。
ワンパターン化ってやつだ。
この動きを考えたのがキューティーだったのか、あるいはキューティーのやりやすいように合わせたのかは知らねぇが、魔法盾を使うタイミングがあからさますぎだ。
最初のは驚かされたが、来るのがわかってれば脅威にはなりえない。
途中、飛び下がった俺を追っていた3人はエイラとケイトから、それなりに遠ざかっていて、抜き去った後に追いつかれることはない。
懸念としては背後にピッタリとヨハンがついてきたらどうするか。ってところだったが、予想に反してヨハンはついてこなかった。
俺は1人。一気に駆け抜け、ケイトに迫る。
エイラと並んではいるが、自衛力のなさもそうだが、魔法使いは残ってるとそれだけで面倒だから、先に狙う。
そして、そんなことは相手もお見通しで、
「ケイト! お願い!」
そう言ってエイラが迎撃に来る。
ケイトは返事をするより早く、魔法を詠唱し始める。
「敵を縛れ! 連なる雷輪!」
拘束魔法⁉
攻撃が来ると思ったが・・・と驚くのは早かった。
姿勢を低く走ってきたエイラが、
「はぁあっ‼」
という掛け声と共に、一転して上半身を起こし殴りかかってきやがった‼
これは完璧に予想外で。
つい、右手を開いて受けてしまった。
バシン‼ と全力と思われるぐらいの拳の音が響いてすぐに!
「今よ‼」
エイラの声が続いた。
すると身体に、紫に光る鎖が纏わりつく。
見た目こそ厳ついが、それほど強力な魔法でもねぇ。
力を入れればすぐに引きちぎれる‼
そう思って、視線を戻そうとしたら――地面が見える。
なにが起こった?
よく見れば。俺の右手はいつの間にか、エイラに指を絡めるようにして握られていた。
そして、それを引っ張られたのだ。
結果。
拘束魔法と相まって、俺は前に傾き、倒れかけているというわけだ。
「やるじゃねぇか‼」
本心から出た声だ。
ケイトは詠唱を変えてきた。
それは俺自身が教えたことでもあり、そこから学びを得て、自分なりに考えてそうしたということだ。
より短く、より強力に、より効率よく。
そのすべては仲間の為に。
最近、仲間という言葉を問い直された俺には耳が痛い。
そして、エイラも。
格闘の術を磨き、自分にできる最大限を考えた。
それが、防がせて引っ掛ける。
掴んで動かす。
卓越した技術がなくても、より大きな有利を作れる状況を狙った。
まさに戦術だ。
惜しむらくは、続きがなかったことか。
ジェイド達は遠く、2人には決定打がない。
後発の詠唱も聞こえねぇしな。
拘束を千切り払って一歩、足を前に踏ん張る。
傾いていた身体は安定性を取り戻し、顔を上げた時。
「ガイザージェット‼」
空を貫く激流が視界を覆う。
あぁ、なるほどな。
俺はその瞬間に理解した。
さっきの”今よ‼”というのはケイトにではなく、リミアに向けられたものだったのか。
お互いの位置と詠唱の時間、発動から直撃までを計算に入れた連携。
そして、それを悟らせないためのグループを分けた会話。そういうちょっとした細工まで考えて。
確かに、驚く程の成長速度だ。