軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

上手くは言えなくても

朝。

今頃はすっかり寒さに怯え、ベッドのまどろみから抜け出し難くなった。

そんなぬるい頭に、こんこんとノックの音が届く。

「おにーちゃん? 起きてる?」

ガチャリ。と俺が断るまでもなく、ミリーは部屋の扉を開けて侵入してくる。

「・・・せめて返事を待てよ」

「ノックしただけ褒めて欲しいくらいだけど?」

おかしい。

俺の言ってることこそが正論のはずだが・・・。

何食わぬ顔で暴論を浴びせ、ねじ伏せてきた。

「で? 朝っぱらからなんだよ・・・」

未だにベッドのぬくもりを捨てきれない俺に、

「マスターが呼んでたよ」

ミリーはしゃっきりとした態度である。

朝が早くても元気なところは若さの力か?

まったくもって羨ましい限りだ。

「・・・わかった」

そう言いながら、ダラダラ起き上がるとミリーはすでに部屋を後にしていた。

それにしても、こんな朝も早くからギルドにいるなんて、あいつも大変だな。

とかなんとか考えながら着替えを済ませて教官の部屋へと向かった。

「なんだぁ? 寝てたのか?」

部屋に入るなり早々、教官は変な顔でそんなことを言ってくれるが。

「そりゃ朝なんですから寝てるでしょうよ。こっちは約2ヵ月の小旅行の後ですよ? しっかり休んでなにが悪いってんですか?」

そう。俺は仕事上がりだ。休むことはなにもおかしなことじゃない。

昨日も。

疲れがなければもっと色々やってたさ。

それこそ、忘れずにベルへ魔法関連のことで話を聞けそうな知り合いがいねぇか? とか、聞けたはずだ。

まぁ、聞いたところで結果は予想できるんだけどな。

共通の知り合いが1人。

貴族学園時代からの悪友が皇都の魔法研究所に務めちゃいるが・・・。

あいつは話が長くて思わせぶりな癖に、適当にあしらうと機嫌を損ねて黙るからな。

やっぱり聞かなくて正解だったかもしれねぇ。

「お前さん、聞いてないのか?」

「なにを?」

「ったく。仕方ねぇな・・・」

教官は頭をガリガリかいて、なにか悩み事だろうか?

生え際さえめっきりと後退したというのに、今度は後頭部までいじめて大丈夫なのか? 見守っていると。

「変な目で見るな‼」

と。心でも覗かれたか?

くだらないことを考えている俺に、教官が。

「まぁいい。とりあえず、出かけるから準備して来い。戦闘の可能性もあるぞ」

「戦闘? どこに行くつもりなんですか?」

「気にするな。そう遠くはない。むしろ、よく見知った場所だ」

「はぁ・・・? まぁいいですけど」

要領は得ないが、なにも冗談というわけでもないだろう。

ギルドマスターの指示だし、従うのが筋ってもんだ。

「じゃぁ、まぁ。準備してきますね」

わざわざやってきたにもかかわらず、俺は踵を返してすぐに部屋を出ようとする。

そこへ、

「それと・・・感謝してる。圧力の件もそうだが。金のことも。お前さんばっかりに・・・もっと儂が、出来れば良かったんだが・・・」

教官がつまらない言葉を投げかける。

「今は俺も。ここの一員なんでね。当然でしょ?」

それを最後まで言わせるつもりはねぇし、聞くつもりもねぇ。

さっさと切り上げて部屋を出る。

そんなもんは適材適所ってだけだ。

教官がギルドマスターじゃなければ、この冒険者ギルドはとっくの昔になかっただろうし、俺がこうしていることもなかっただろう。そして、俺が教官の話を聞いて協力するといったのも、教官の人柄あってのことだ。

だから、なにも出来てねぇなんて言わせてたまるかってんだよ。

そのためには、このギルドの問題も早いとこ解決してしまいたいんだが・・・どうにも時間がかかった計画らしいからな。そう上手くはいかねぇだろう。

なんにせよ、今はとりあえず。

顔を洗って、出かけの支度をすることだ。