軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

変化

「それじゃぁ、世話になったな」

「いえいえ、こちらこそ。予想外の事ばかりでしたが、思ってもみない形で念願が叶いましたからなぁ。感謝ばかり。といったところですとも!」

馬車を降りて礼を述べると、なぜか同じように馬車から降りてまで礼を返すサンパダ。

わざわざギルド近くまで送ってくれなくとも良かったんだがな。商会に帰るには遠回りだろうに。

「足を引っ張る結果にならなくてよかったよ」

「足を引っ張るだなんて⁉ 依頼人として、私に不満はありませんでしたよ? 大満足と言って差し支えないほどです‼ むしろ、そのお礼が本当にあんなことでよかったのか? と思うくらいです」

「アレに関しては俺が満足してるってことで、気にしないでくれ。実際に、アレ自体はいいもんだからな。依頼の方は・・・まぁ、アンタがそれでいいならいいんだ。今回の件で俺自身、色んなことを考えさせられた。変わらねぇと思ってたことが、いつの間にか変わってたり、実は違うんもんだったり・・・。見つめ直すいいきっかけになったよ。最後の醜態も含めて、な」

「誰でも失敗はするものです。欲をかきすぎると碌な目に合わないというのも、皆が通る道ですよ。若さの特権とも言えますな‼」

「もうそこまで若いつもりはねぇんだけどな?」

「はっはっは! ですが、ゼネス様はまだまだ私よりは若いですからなぁ‼ 今後も、そういう機会はあるでしょう」

「かもな。そうで無けりゃいいと思うばかりだが」

人生の先輩に失敗を笑われるのは世の常だ。気にするな、と励まされるまでがセットと言える。

「それでは、また。なにか機会があれば、お声掛けさせていただきます」

「その時は是非。今回みたいな面倒事じゃなければ、尚のこといいんだが」

「それは難しいでしょうなぁ」

「なんでだろうな?」

「それは当然、私共がゼネス様を頼るということはすなわち、それ相応の大きなお話ということになるでしょうから」

「それでも、面倒事じゃねぇことを祈ってるよ」

「私としても、そうであると嬉しい限りですな!」

そう言い残して、サンパダは馬車に乗り込み消えていった。

見送る馬車は行きに乗っていたものではなく、評議会から頂いたもので、乗り心地も良く、それなりに豪奢で目立っていたが、しばらくもしないうちに見えなくなった。

俺は馬車が見えなくなるまで見送った後、冒険者ギルドまでの十数メートル程を歩く。

昼より少し早い時間。

人通りは疎らで、ガルドナットの首都と比べれば賑やかさに欠けるが、見慣れた街並みは心に落ち着く。

サン達、蒸気の騎乗者は途中で寄るところがあるとのことで、皇都に着くなり先に解散となった。

その別れ際、サンとタンには相談事があるからまた話を聞いて欲しいと言われ、ホウには再生魔法、フッチにはナイフの扱いを教えることを約束させられ、スイには共鳴魔法を含め”俺の魔法”になにか進展があったら教えるようにと、釘を刺された。

「人気者ですなぁ」

それを見て苦笑していたサンパダにさえも、どうか我が商会を御贔屓に。と言われ、からかわれる始末だった。

約束したことは果たすつもりでいるが、あいつらも忙しいな。

てっきり、ギルドに戻るまでは一緒だと思ってたんだが・・・。

そんなことを考えながら、俺はギルドの扉に手を掛け――開いた。

「―――あッ⁉ おい‼」

「え? あっ‼ 戻ってきたぞ‼」

「本当かよ⁉ おい、お前話しかけろよ‼」

「いや! お前がいけよ‼」

約2か月ぶりに帰ってきたギルドの中で、俺は嫌な気配を感じ取る。

遠巻きに見られ、ヒソヒソとしたやり取りにさらされる感覚だ。

昔から、慣れ親しんだ光景ではあるが、愉快かと言われればそんなことはない。

視界の端で一瞥だけして、気にしないフリで受付へ。

そこにいたミリーが俺を見つけて、一瞬顔をほころばせるが、

「ごめん‼」

受付にたどり着くなり、両手を合わせて謝ってきた。