軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

身に沁みついたやり方

「で? 吠え面かかせてくれんじゃなかったのか?」

人気のない裏路地に横たわる2人の自称傭兵に尋ねる。

「勘弁してくれ! 俺達が悪かった‼」

口ほどにもないとはこのことだろう。

歯応えどころか、大した手応えすらもなく一方的に叩きのめして終わってしまった。

これじゃ弱い者いじめと変わらねぇが・・・、

「許してほしいんなら質問に答えろ。お前らはどこの傭兵だ?」

そうなっちまったもんは仕方がねぇ。

ついでとばかりに気掛かりを片付けさせてもらおう。

「なんでそんなこと・・・ッぐぁ⁉ わかった‼ 答えるから‼」

口答えだけは一端にしようだなんてのはふざけ過ぎだろう。

足首を踏みつけて吐かせる。

「俺達はどこのもんでもねぇんだ! 北から流れてきたんだ‼」

「北・・・? 帝国か?」

「違う! 北大陸だ‼」

北大陸? いや、だがこれで1つ。気になっていたことが片付いた。

傭兵なんかがなぜこの町に、ひいてはこの国にいるのか。その答えがわかった。

傭兵は戦場を駆け回る職業だ。

今現在戦争のないガルドナットに戦場と呼べるものはなく、存在している傭兵団は1つ限り。そして、その1つの傭兵団は首都にまで出張ってくることはない。

だから気になっていたんだが・・・北大陸か。

だが、だとしたら余計気になることがある。

それは、

「こんなところでなにしてやがる?」

目的だ。

さっきも言ったが戦場のないところに傭兵の食い扶持なんかねぇ。特に、この国では冒険者とたった1つの傭兵団が幅を利かせてる。そこに割り込んでいける実力者でもなければ仕事なんかあるわけねぇ。こいつらは論外だ。

にもかかわらず、ここにいる理由は?

なにより・・・、

「敵っつーのはどういうことだ?」

こいつらはフッチを角付きと呼び、さらには敵だと叫んだ。

この国には亜人に対しての差別がある。それは過去にこの地域が亜人連合に支配されていたから。そして、その時の人の扱いが良くなかったからだろう。

支配されていた時代は200年近く前。今でもそれがこうやって残ってるのこと自体が不思議なぐらいだが、北大陸人にはそれこそ関係ねぇことのはず。

こいつらはいったい・・・どこでなにをしてるんだ?

「て、てめぇには関係ねぇだろ‼」

「そ、そうだ‼ 答えてやる義理なんてないね‼」

俺はチラリと路地の入口を見る。

そこにはホウが立っていて、この行き止まりに人が入り込まないように見張っている。

スイはこの場に来ていない。初めからこちらには来ず、おそらく今頃はフッチと合流でもしているだろう。

・・・・・・さて。気乗りはしないが。

護衛の仕事に支障をきたすわけにもいかねぇ。

ここにいる間、俺と蒸気の騎乗者の面々は間違いなく仲間だ。

危険にさらされれば助けなきゃならねぇし、そうすると護衛に問題が出る可能性もある。

だから、

「いッ⁉ ぎぃあああああああ⁉」

今度は膝を。一切の躊躇なく踏み砕く。

断末魔の如き声を聞いてホウが駆け寄ろうとするが、それを開いた手を見せることで止める。

「アニキ⁉」

全てとは言わずとも、ワンダーゴーレムの素材をふんだんに使った靴だ。装備の上からでも関節など粉々にするのは容易い。

「安心しろ。死にやしねぇ。ただちょっと、痛てぇだけだ」

「ふざッ⁉ ふざけるなッ‼⁉ なんで俺がッあああああああああああ‼‼⁉⁉」

また足首を。砕いた膝の先を壊す。

踏み抜いた足は地面に縫い留められるように、消して離れることはない。

「あああッ⁉ ぐぎぃいいあああああ‼⁉⁉」

痛みにのた打ち回れば、身体に引きずられ膝が喚き。そうでなくとも、壊れたままピン刺しされた足首の悲鳴は消えない。

「話したくなったら言ってくれ? その時は足をどけてやるよ」

「ころッ‼ 殺せぇええええ‼‼‼ コイツを‼ 殺せぇええええ⁉‼」

汚ねぇつばをまき散らしながら脂汗にまみれた顔で子分に命令するが、

「ッ‼ ッ⁉」

言われた方はどうにも出来ねぇ事を知ってる。

腰を抜かして立ち上がれもしないまま、どうすればいいんだと、首だけをあっちにこっちにと忙しなく動かして見せる。

「も、もうやめてくれ‼ アニキが死んじまう‼」

ようやく導き出した答えが懇願。

だらしのねぇ姿で頭を地面にこすりつけ始める。

「なに言ってやがる? 初めに言っただろ? 安心しろ。死にやしねぇって」

「けどこのままじゃ⁉」

「大丈夫だ。俺は再生魔法も使えるからな。死ぬ前にキッチリ治してやるよ」

「そ・・・それって・・・」

「ああ。何度でもくれてやるよ。痛みも、恐怖も、絶望も。やめたくなったら言ってくれ? それとも、役を代えて欲しいのか?」

「そんな・・・う、うぁああぅ・・・」

全てを悟って。諦観か、絶望か、後悔か。滲むように漏れ出した声には感情など残っておらず、虚空を映す瞳には残影だけが焼き付いていた。

程なくして、子分の方が口を割った。